E.P.C.S.R.

◇第22回目!◇

こんにちは、土屋です。いよいよ6月も中旬ですね~。梅雨に入ってジメジメして来てますし、ダレ気味の方もいらっしゃるかと思います。そんな方も、そうでない方も、ちょっと朗報をまず1つ。
ここしばらく、アルトネリコは町民会報しか活動していないように見えるかもしれませんが、決してそんなことはありません。ちょっとビックリするようなモノを裏でやってたりします。まだまだアルトネリコは終わりませんよ?いや、これからもガンガン関連商品が出ます!
既にドラマCDは公開されていますが、それとは別に、何とボーカルメインの語りCDも出たり、オリカやミシャの事が更に分かってしまうあんなモノや、更には他にも色々色々色々色々色々色々…とにかく、アルトネリコはまだ終わりません!ファンの皆さんのために頑張り続けます!皆さんが支持し続けてくれる限り、私たちは皆さんと共に走り続けます!
公式サイトの7月以降の動きに、大いにご期待ください!

というわけで、今回の本題に入ります。 アルトネリコ、セカンドアンケート結果発表最終回は「テーマである愛や絆の表現に反している部分は何か?」という設問に対する結果発表です。結果は前回の「感じられた部分」に比べ、非常に分かりやすい、まとまった結果となりました。

▼大勢の方が回答されていた御意見

  • ライナーが「ミシャ、謳ってくれ」と言うシーン
  • ライナーが3人のヒロイン全てと恋愛沙汰になる。浮気すぎ。
  • 精神世界で、全員がLv9を迎えられること。
  • ミシャの過去を思い出せないこと。

▼その他少数意見

  • エピローグイベントでの選択肢
  • ライナーが鈍感すぎる
  • 天覇のレーヴァテイルに対する仕打ち
  • 各所のえろいセリフ

多くの方が予想されていた結果ではないかと思います。
これらの結果をゲーム発売直後から聞き続け、そしてずっと「どうしてこのような結果を生み出したのか」という事を止まって見たとき、1つの共通する問題点に達しました。これらをお伝えすることは非常に勇気が要ることですし、もしかしたら皆さんに不快を与えてしまいかねない事です。ですが、今後同じ過ちを繰り返さないためにもここに記します。最後までお読みいただければ幸いです。

まずは1つめです。今作のゲームコンセプト「愛」や「絆」を盛り込むために、私はかなりの部分をわかりやすく、記号化することをしてきました。それが結果として、ライナーというキャラクターを無知にしてしまう結果となりました。例えば「本当に護るという事は、身体が傷つかないように護るのではなく、本当に相手の事を想い、その全てを相手と共にいること」をゲーム中で伝えるために、敢えてライナーがそういうことを知らないヤツと定義してスタートし、それを体験を通じて学んでいくというシチュエーションを創っています。そういった「愛ってこういうもの」というシチュエーションを1つ伝えたい度に、ライナーは1つ知らない子になっていき、結果的に「常軌を逸した愛を何も知らないヤツ」を創り出す結果となりました。創ってる当時は「(愛や絆の)要素を表現すること」をにばかり目が行っており、また、ヒロイン視点からヒロインの感情を最優先することを第一としていました。それが結果として主人公を落とし込み、ゲームとしての印象を下げているということに気づくことが出来なかったのです。

ミシャに謳ってくれと言うシーンにも、上記事項の影響が少なからずあります。このシーンで表現したかったことは色々あります。まず、極限の状況下における究極の選択に対し揺れる心の表現、そしてミシャからのフィードバックで成長するライナーという点。ここで表現したかったことは「自分がシュレリア様を再起動してその後ミュールを倒す(この時点では「倒す」です)。そしてもうミシャが謳わなくて住む世界を創り出すから、共に闘ってくれ」という事でした。ここでいう「共に闘う」とは、ライナーはミュールを倒すという過酷な決断をする、その間、信頼しているミシャには詩によるバックアップを頼む、という意味です。しばらく離ればなれになるけど、これはミシャにしかできない、ミシャを信頼していなければ出来ない事で、かつミシャがいなければ為し得ないこと。だから、ミシャが辛いのを承知の上で「俺を信頼して一時的に命(=自由)を預けてくれ。一緒に行動は出来ないけど、共に闘ってくれ」という想いを込めていました。
その後の展開で、ライナーの言葉足らずを指摘するために「シュレリア様の十分の一でも心配して欲しかった」とミシャが誤解するシーンを差し込みました。ライナーの想いは全世界が丸く収まることだけに集中している。でもライナーの言葉が足りないために、ミシャにはライナーがシュレリア様の事しか考えていないように感じた。だからミシャは飛び出していきました。ここで伝えたかったことは、ライナーとミシャ、信頼し合う二人の間にも誤解があり、想いを伝えるには言葉にすることは大切です…という事だったのですが…
今思うこのシーン最大の過ちは、その後のライナーでした。即ち、これら全てを解決する言葉を「どうして、誰かが幸せになるために誰かが苦しまなければならないのだろう」という一言で済ませてしまった事です。この一文に込められた想いは「互いの幸せのために互いが犠牲になる世界なんておかしい!俺がそんな宿命ぶちこわして、二人とも自由に生きられる世界を創る!」という、ミシャとシュレリアの不憫さに対する憤りでした。その中には「ミシャを不幸にする宿命なんて絶対に許せない」という想いもありました。しかし、当時冗長になることを恐れ、それをダイレクトに表現しなかった。それが最大の過ちでした。
またこの一文は、結果的にミュールを助けるきっかけとなる一文でもあります。複数の想いが重なったこの文章が、制作中誰に対する想いなのかを曖昧にしてしまったという事も、過ちだったのだと思います。
とにかく、これらの事から自ら思うことは、愛や絆という純粋な想いを表現するのに、様々な「見せるための不自然」や「他の要素と絡めるために歪めてしまった部分」を生み出してしまったという事、そして非常に言葉が足りなかったことです。愛や絆というものを表現する上で決してやってはいけないことを、沢山やってしまいました。正直、今見れば最低です。だから今改めて、不快感を与えてしまった皆様に慎んでお詫び申し上げます。本当に申し訳ございませんでした。

制作期間中には制作期間中の120%全力で臨んでいて、これからもそれは変わりません。今回の事で様々な事を学び、御意見を頂いた皆様にはそのきっかけを頂いたことに大変感謝しております。こうして沢山の想いのこもった意見を聴くことは自分の成長にもなり、それは必ず私の次の作品に繋がっていきます。 続編か別ゲームかはわかりませんが、次の作品はこれらのことは決して行わないことを決め、その証人として皆さんに存在してもらうために、また自分にも改めて言い聞かせるために、今回の文章を書かせていただきました。実際は今回に限らず、セカンドアンケートの結果を皆さんにお伝えしていること全てが、次作以降へのコミットメント(約束)を含んでいます。 この記事を毎回読んでいただいているファンの皆さんと、これからも「よりよいモノを創り出していく仲間」として歩んでいくために、様々な努力をしていきます。そして、それに応えられる良作を創ることを、日々決めて生きていきます。今回ダメだった部分で見切らないで、今後も共にお付き合いいただければ、私としてはこの上ない幸せです。 今後ともどうか、よろしくお願いします!

さて、この「ほたる町民会報」は、次回で最終回とさせていただきます。 ただし!これはアルトネリコの終わりを告げるモノではありません。 言うならば、蝶になるためのサナギの期間だと思っていただければ幸いです。

というわけで次回、ほたる町民会報怒濤の最終回は 『アルトネリコ今後の展開のこと』をお送りします。お楽しみに!!

それでは、また!