E.P.C.S.R.

SCWSDwiki

サージュコンチェルトの深淵へようこそ。

このwikiは、サージュコンチェルト開発時に
スタッフが世界観を共有する為に制作した内部資料の中から、
世界観設定パートを切り離し、一般公開しているものです。

本編では薄くしか語られていなかった歴史や地理、文明設定等
様々な事について記載されています。
今まで謎だった事についての解明に、役立つこともあるかもしれません。

文章メインの為、読むのにかなり労力を要すると思いますが、
一部を読むだけでも、あなたのサージュコンチェルトライフを
より豊かにしてくれるでしょう。

第六紀世界

惑星ラシェーラ

太陽ベゼルと惑星ラシェーラ

5紀末期に別惑星ラシェーラ人による侵略があってから、数千年が経過しているラシェーラ。
六紀が始まってからすぐ、太陽はみるみるうちに赤色巨星となっていった。

大気は青くなく、赤方変移により赤みがかっており、常に美しいオーロラのような空が広がる。
光量は弱く、昼間でも灯りは絶やせない。
日の出は山のような赤い太陽が昇り、日中も天井はほぼ太陽。日が沈んでもすぐに日が昇る。

この時期、恒星ベゼルは外宇宙の存在であるネロが紛れ込んでいることにより、6次元空間上にウェイトが出来、膨張していた。
高温にして放射線量の高いガスがラシェーラを包み込む前に、ラシェーラ人は存亡を懸けた計画を必要とされた。

惑星ラシェーラの外観

その殆どが「死の大地」と化しており、現在人々が住んでいるのは磁北の数十キロ圏のみである。
特に磁北には、人々が最後に足掻いた残骸のような遺跡が沢山広がっている。
その遺跡は、沢山の小さな(といっても人間スケールから見たら町1つ分くらいの大きさ)ドームと、
巨大な時計盤(羅針盤)のような地上絵で構成されている。

現在人々が住んでいる場所は、その「壊れかけたドーム」の1つの内側。
そこに全ての生命の営みが凝縮されている。

宇宙から見れば、既に海は干からびており、大地は赤く割れ、マグマが吹き出たところも多数存在する。
既に終焉を迎えたような、そんな光景である。

惑星ラシェーラと、ベゼル恒星系の実態

太陽ベゼルが膨張し出したのは、このエクサピーコ宇宙の外側の存在が、現在惑星ラシェーラに存在するためである。
それによって、この7次元空間(世界)内でのウェイトバランスが崩れ、ありとあらゆるものがラシェーラに引き寄せられている。
ベゼルは、ネロとイオンが居なくなれば、次第に元の大きさに戻っていくものと思われる。

統一帝国

インペリア(帝国)

帝都とその周辺地域による統一国家。その帝国民のほぼ100%が帝都に住む。
帝都は大きく分けて「地文」「天文」「コロン」「旧市街」に分かれている。

帝国は、女帝である皇帝陛下を中心とする立憲君主制のコミュニティである。

帝国議会

遙か昔、群雄割拠の時代は終わり、統一帝国が建立してからのこと。
人々は軍事よりも民事や科学を重視するようになり、政治もまたその方向に進む。
そこには3代前の皇帝の、「民衆の為の独裁」と呼ばれた伝説の政権時代があったからである。
3代前の皇帝は、飴と鞭を上手く使い、旧敵国の地域に住む人々を手名付けた。
共に栄え、共に発展する事こそが、次の戦争を無くし、土地を互いに疲弊させる事もなくなるという思想である。

その結果、科学技術が政治の主権を握る事になる。
特にそれは、この星はいずれ近い将来捨て、素晴らしい大地へと移り住むことが前提となっているラシェーラ人ならではかもしれない。
移住の為の政策には莫大なお金がかかるが、説得力のある政策を立案出来れば、帝国民はそれを支持するからである。

かくして、政権は「天文(てんもん)」と「地文(ちもん)」という2つの団体に委ねられた。
現在、与党は天文であり、故に帝国中心の首都は上空100kmにある天文の都市に所在する。
もし地文が与党となれば、遷都ということになる。

地文・天文

天文、地文という2つの組織は、現在の地球ではあまり例のない組織形態である。
それは世界規模の組織であり、宗教団体でもあり、研究施設の役割をも持つ。
また、天文と地文は政治団体としての色も持つ。
更に、住基ネットやクレジットカードの与信ネットワークとしての属性も持つ。
そして、双方とも絶対的権限を持つ首領によって統治される組織である。

このように多彩な性質を持つ組織になった理由は幾つかあるが、その最も大きな理由はやはりジェノムだろう。
以下に、それぞれの組織についての詳細を記述する。

地文

地文の歴史は古く、昔は「地文」とは呼ばれていなかった。
正式名称は「帝立ジェノメトリクス同調調停院」と呼ぶ。
地文の歴史は「人間とジェノムが、互いに最大限の利益を保持しつつ棲み分ける為の調停機関」から始まった為である。
その後、「ジェノムと人間が更に豊かに暮らせる為の施策」として、最先端の遺伝子工学の研究開発を行うようになり、地文は多岐にわたる組織の集合体になった。
現在では、ジェノムと同調した場合、その旨を地文に申請登録することが義務づけられており、地文はジェノムを保有する全員の個人情報を持っている。

まだジェノムを持つ者が少なかった頃、この事はさしたる問題にはならなかった。
だが、文明の進歩により、誰でもジェノムと簡単にコンタクトをとれるようになると、それに比例して地文はメキメキと力をつけてきた。
なぜなら、ほぼ全帝国民の個人情報を持っているのである。自ずと権力は強くなる。

そして、全ての民がジェノムと同調をするようになった近代において、地文は世界一権力を持つ団体となっていた。
しかし、その栄華も長くは続かなかった。天文が「シェルノトロン」を開発した為である。
僅か10年足らずの年月で、8割近くの人が、生身ジェノムからシェルノトロンへと鞍替えした。あっという間に地文は衰退したのだ。

地文は、天文の開発したシェルノトロンに民衆を取られた事にも危機感を持っていたが、それ以上に深刻な危機を予測し、民衆に啓蒙していた。
それは、シェルノトロンを使う事で生身のジェノムが絶滅の危機に瀕してしまうという事だった。
何百年、何千年もの間共存してきたジェノムが、ここ10年で激減していたのだ。
そしてそれに追い打ちを掛けるように、天文は第3世代端末(アルノサージュ管)の開発に着手する。
地文は地文の正義において、ついに天文の行いを諫める決意をせざるを得なくなった。

地文は実に真面目な組織である。また、宗教色の強い組織でもある。
古きを重んじ、伝統を大切にする。万物の生命サイクルを研究対象としてきた地文は、だからこそ自然を畏れ敬っている。
そのバランスを崩す事を、人間はしてはならない、という事が、地文にとっての根底の考え方だ。
そんなノリであるが故に、民衆からも「頑固親父」的な印象を受けていたようだ。
そして、世の中が便利になってきた第六紀末期にもなると、シェルノトロンの出現もあってか、若者を中心に地文離れが起こったのである。

帝立ジェノメトリクス同調調停院

俗に言われる「地文」のこと。
「地文」とは、政治として関わるときの組織名称であり、また俗称である。
正式には、「帝立ジェノメトリクス同調調停院」といい、本来はジェノムと人間の仲裁、調停を行う組織であった。
それがなぜ政治にまで関わる大母体になってしまったのかというと、ジェノムと人間が切っても切り離せない関係になってしまった為である。
調停というと裁判などを思い出すかもしれないが、相手が人間ではないということもあり、実際には宗教に近い感覚だ。
ジェノムは人間を超越した存在であり、いわば天使や神といった存在。
だがそれと同時に、人間に寄生しなければ種の存続や意思表示もままならない、欠けた生命なのである。
こうした「神になりきれない神」であるが故に、ジェノムと人間との間では、過去から優劣や主導権の争いが絶えなかった。
その混乱の絶頂期に、双方の種の繁栄と平和を大義として作られた組織、それが調停院である。

現在では、ジェノムとの初期同調(ファーストハーモニクス、いわゆる恋愛成就の瞬間)を経てパートナーとなった人間は、必ずこの地文に届け出ることになっている。
地文には様々な役割がある。文字通りの調停業務から、政治家としてジェノムと人間双方の利益を追求する役割、そして新たな快適性を生み出す遺伝子工学の担い手など、多岐にわたる。
そしてそれを一手に統括し、最高決裁者として存在するのが「大司教」と呼ばれる存在だ。
大司教は、まだ天文が組織として成立する前、何度か皇帝と兼任したこともあった。
そして現大司教の名を、カノイール・シェルシュ・オ・ドムネク・ジェノメトリカ、別名をカノイール・ククルル・プリシェール。

天文

天文の正式な名前は「帝立天文学量子波動学研究所」。
天文の歴史は浅い。
天文の発足理由は、当時の皇帝(イオン達の先代皇帝)がまだジェノムと同調していた頃、ジェノム「コーザル」からの啓示を受けて、ジェノムが巨大な力を駆使できるよう、バイオと機械の橋渡しをするような管を作るよう命令したためである。
それは、地文が当時進めていた生命救済計画である「箱舟計画」を加速させるためであり、いわば「箱舟計画を促進させるために作られた科学者集団」なのだ。
すなわち、高度な技術を集結させ、一時も早く人々の移住を可能にするために生まれた機関なのである。

宇宙や時空間を専門に扱うため、「量子力学」をベースとした研究機関の組織である。
発足当時、天文は単体で動くことはなく、常に地文の付属組織として活動していた。
それは当時の「生命救済計画」が、「科学技術」と「ジェノムの魔法力」の融合によるものであった為だ。
また「生命救済計画」という、全人類レベルにおいて最優先の課題を背負っている事もあり、行政にも関わっていた。

そんな巨大な組織であった天文だが、民衆からの評判はイマイチぱっとしなかった(というか、知名度は低かった)。
なぜなら、民衆にとって惑星移住などの話は大きすぎてついていけず、よくわからない研究機関という印象が強かったのである。
また、当然民衆からの支持が厚いわけでもなく、法的には政治顧問の片翼を担ってはいたものの、天文の発案が採択される事は殆ど無かった。
だが、そんな裏方稼業が一変する事態が訪れる。それは「シェルノトロン」の開発と普及であった。

シェルノトロンは、いわゆる「人工ジェノム」とも言える存在だ。しかも、シェルノトロンの方がジェノムより優れた点は幾つもある。
まず、ファーストハーモニクスが必要ない、シェルノトロンが人間に合わせてくれる、形状が可変であり好きな形を作れるなどなど…。
シェルノトロンは次世代のジェノムであるともてはやされ、10年の間に殆どの人が移行した。
それと同時に、政治的な面でも天文の発言力は大変大きなものとなった。

天文は地文と違い、元々が皇帝の寄せ集めた技術者集団である。
地文のような、古き悪しき伝統は持たず、枷となるような観念もない。
自由な研究と自由な環境を最も大切な事とし、観念に縛られる事を良くない事と考える。
そんな組織カラーによって、第六紀末期の若者を中心に爆発的に受け入れられる事になる。
実際、シェルノトロンも天文への利用者登録は必要だが、地文のように厳格でもなければ手続きも煩雑ではない。
そういった「今風の」感覚を持っていた事も、民衆を惹きつけた要因の一つであろう。

帝立天文学量子波動学研究所

俗に言われる「天文」の事である。
この研究所は、帝国が国策として科学技術者のエキスパートを集めた官営組織で、当初の目的は「箱舟計画の早期実現」であった。
その名の通り、「宇宙航行」「素材」「宇宙船システム」「圏外アメニティ(宇宙放射線や磁場)」のエキスパートを集めた、箱舟のためのの組織だ。
帝国はこの帝立天文学量子波動学研究所(以下天文)が、調停院の推進する箱舟計画のアクセラレータとなることを大いに期待していた。
だが実際は、倫理的問題なども含め、様々な面で調停院と天文は意見が対立することがあり、結果、発足から40年経過した時点での進展は、想定よりかなり遅いものだった。
クラケットの所属する「ジェノミライプロジェクト」は、肩書き上は調停院直轄研究所(地文)所属だが、実質的な管理は地文と天文の双方が関与していた。

その後、ジェノミライ・パンデミックの時に、地文と天文とで対応処理などに相違が出たことから、最終的には共同開発の決裂にまで発展した。
だが本当の決別理由は、この頃既にシェルノトロンは相当数普及しており、天文は地文に頼らなくても自活できるようになっていたからである。
元々、箱舟計画でも衝突の多かった天文と地文であり、進むべき方法も文化もタブーも、全然違ったのである。

ジェノミライが強制解散となった後に、ウンドゥ以外のメンバーを天文が吸収した。
そして、アルノサージュ管とグランフェニックス計画に荷担させたのである。
だが、既にジェノミライプロジェクトで相当精神的に病んでいたクラケットは、1年も持たずにギブアップ。自分を死んだことにして隠居した。

現在では、シェルノトロンの総元締めとして、地文に代わり皇室に対して最も権力を持つ組織となっている。
だが、イオン召喚の為の月破壊以後、民衆の支持率はかなり低下している。

シェルノトロンをめぐる問題

シェルノトロンの登場以後、地文と天文の関係は最悪である。
そしてお互いは、お互いの正義を貫く為に、決して対立姿勢を崩したりはしない。

特に地文の天文に対する警鐘の激しさは半端無かった。

1つ目としては、ジェノムと人間が交流しなくなる事による、自然サイクルの破壊である。
実際、民衆がシェルノトロンへと移行した事により、ジェノム絶滅の危機が訪れている。
また、ジェノムとの交流による精神的な鍛錬が、シェルノトロンでは出来ない。
それによって、横柄で我が儘な若者が増えているという。
古来より数千年続いてきたスピリットが、急速に失われつつある。

これに対し天文は、時代の変遷とはそういうものであるという考えを持っている。
我々人間もジェノムも、数億年前は存在せず、恐らく数億年後にも存在しない。
全てに於いて「変わらない事」は一つも無いのであると。
もしシェルノトロンの登場によってジェノムが絶滅するのであれば、それは自然の摂理である。
なぜなら、自然の一部である人間が考え、自然に行動した結果の産物なのだから。
例えば太陽が今の10万倍のガンマ線を放出して人類が絶滅するのと何が違うのか。
ジェノムからシェルノトロンへと人の心が移っていったのは、我々が強制したものではない。
彼らが自然から授かった「マインド」がそうさせたのだ、と。

2つ目は、天文の次世代トロン(アルノサージュ管)の研究が公になったときに起こった。
アルノサージュ管は、外宇宙からエネルギーを取り入れる事を前提としていた。
この事に地文は大変な危機感を感じていたのである。
ジェノムとシェルノトロンの問題は、まだ自分たちの権力の問題も絡む不純な要素を含むものであったが、この2つめの問題は純粋にこの世界の未来を憂いでのものだった。
アルノサージュ管は、この完結した宇宙空間の外側から未知のエネルギーを取り入れるという、この宇宙全体に対しての未曾有の危険をはらんでいる。
この宇宙はこの宇宙で完結し、保存されたエネルギーの中で循環している。
それを外宇宙から取り入れる事でバランスを乱し、宇宙全体が取り返しのつかない事になったら、誰が責任をとるのかと。

それに対する天文の答えは単純である。
我々に可能な事でバランスを崩すほど宇宙がヤワな存在なら、とうの昔におかしくなって消えている、と。
我々さえも自然の一部であり、我々の行動自体も自然の営みである。植物が酸素を排出するのも、太陽が核融合するのも、我々が外宇宙とリンクを試みるのも同じ。
もしそれが宇宙にとって良くない事であれば、そもそも外宇宙とのリンクは成功しないだけだ。
そして、我々はそういった未知の領域に疑問を抱くように作られている。
それに挑戦し、新たな真理を発見する事こそ、我々の成長であり、生きる目的なのである…。

この議論は永遠の平行線であり、第六紀終焉まで続くこととなった。
そして第六紀末期には、この双方の正義に対し、知識人を中心に派閥が出来るようになる。
この論争は、最終的には惑星の寿命を縮め、人々を宇宙難民にする引き金を引く事になる。

インペラトル(皇帝)

皇帝とはすなわち、星の人になるということ。
アルシエル流に言えば、皇帝は人間の感情限界である、精神周波数11MHz以上を授かっている。
また、特殊な声帯を継承する事で、人間の声とは思えない声で詩を謳う事も出来る。

この世界で、皇帝の資格を持つ者は「女性のみ」である。

皇帝はこの世界を安定させる為に様々な祭祀を行う。
それは形骸化したものではなく、しっかりとした効果を持つものである。
皇帝には皇帝専用のジェノムが存在し、歴代皇帝と共に歩む。
だが、現在のジェノムは「シェルノトロン」に取って代わっている。
皇帝専属のジェノムは、通常の人間に扱えるものではない(現在の皇帝専用シェルノトロンも同様)。
先述の通り、皇帝は通常人間の出せる音域以上の声で謳える。
その為皇帝専属ジェノムは、その発声帯域を欲するジェノムであり、故に詩による効力も半端無い。
この世界では皇帝の力無くしては成り立たない。
故に、戦争のない近代的な国家となった現在でも、皇帝はこの世界を掌握する存在であり、立憲君主でもある。

そんな独裁者である皇帝に対し、民衆の支持は厚い。
その理由としては、皇帝に即位する形式が特殊であり、民衆の支持を得やすいという事が挙げられる。

皇帝は半世襲制であるが、実力主義でもある。
歴代の皇帝は、最低3人は子供を生むのが習わしとなっている。
歴代には15人もの子供を産んだ皇帝もいる。
そしてその中で最も優性な遺伝子を次の皇帝にするのだ。

皇位継承の儀(皇帝即位の際の過酷な試練)

皇帝は女性であり、代々先帝から声帯を賜ることで世代交代をする。
声帯を賜る時に非常に厳しい試練があり、皇帝になるのは楽ではない。
試練は公にして行う。
嫁達は綺麗に着飾り、民衆の前に並ぶ。
そして、スタジアム的な儀式の場に詰めかけた民衆の前からスタートする。
この日はオリンピック初日以上の盛り上がりになる。

ルール

儀式のルールは単純。
全てのステータスを剥奪され、世継ぎはその試練の間、全ての民の中で最も低い地位になる。
その状態で皇女は、自分の力で3年間を切り抜け、宮城に帰還しなければならない。
そして帰還した際に行われる国民投票で、最高の票数を得た者が皇帝となる。
3年間は身分証明も無くお金も一切持ち合わせない。一人ではどこにも入れず、何をする権利もない。
その為、如何にして他人を惹きつけてやってもらうか、という所が生き延びるポイントとなる。

皇女達がスタートすると、まず大抵は観衆が殺到し、その場は大乱闘のようになる。
これは、自分の選択した皇女に対し、支持を表明する為であり、かつ皇女が皇帝になったときに自分が出世するチャンスを作る為。
毎回即位後に、この3年間での功労者、自分の恩人は出世するか、宮城入りするか、手厚い保護を受けるのだ。
故に民衆はしたたかであり、相当重要な事情が無い限りは、最も皇帝になりそうな皇女に着こうとする。
この時既に試練が始まっている。皇女はその民衆を統率し、騒ぎを沈静化しなければならない。
そして、如何にスムーズに、沢山の味方を増やすかは、初期においてはこの場で大きく差が付く。

大抵最初の1年間は、全皇女は困る事はない。支援者がいなくなる事はまず無い為だ。
だが、時が経つにつれて、皇女の事を民衆はわかっていく。
そして、民衆は比較的さらっと支持する皇女を変更していく。
だから、カリスマのない皇女は3年目ともなれば、殆ど支持者もいなく、孤独に過ごす者も出る程だ。
というか、だいたいそれ程までカリスマが無くなると、民衆に見つかる度にいじめられる事すらある。
民衆はもてはやすだけもてはやし、何か不祥事が有ればさーっと消え、存在自体を忌み始めれば排除にかかる。
カリスマを失った皇女は生きていく事は出来ない。3年の間、全くの社会的権利を持たないのだから。

皇女の衣

さて、この試練において重要な要素として「皇女の衣」というものがある。
これは、皇女が初期状態で全員身に纏っている布の事で、だいたい2m四方の布だ。
この布は、唯一自らが正統なる皇女である事を証明する手段である。
当然この布を失えば、皇帝になる権利は剥奪されてしまう。だが、一片でも持っていれば権利は十分にある。
何が言いたいかというと、最終的に持っていれば良いのは1cm四方の欠片でも良く、それ以外は自由に使って良いという事である。

皇女の衣の切れ端は、この3年間を生き延びる為に重要な役割を担う。
それは、それが民衆に対して絶対的な権力を持つ為だ。
皇女の衣を持っていると、例えばその皇女が皇帝となった時に、布の大きさに比例して強大な力を持つ。
だからこそ、皇女は衣の使い方にもの凄い頭を使う。
取引に使うか、感謝の気持ちで渡すか、大きめで少数か、小さく刻んで多数の人か。
初期でどれだけ使い後期にどれだけ残すか、そして、布を狙ってくるずる賢い民衆をはねのける事が出来るか。
この衣の使い方一つとっても、政治力の試練なのだ。

尚、皇女の衣を複数皇女分持つ事はタブーとされている。法的には問題ないが、民衆的に許さない。
大抵の場合、皇女が衣を与える場合、他の皇女の衣は捨てさせる。
もちろん隠しておけば簡単に隠せるが、見つかったら周りの同志から、良くて半殺しの目に遭うのは必至である。

民衆の反応

さて、この一種の「3年間の祭り」とも言える試練は、民衆にとっても特別な時期である。
だが、実際にこの時期に(下心が殆どだが)皇女と接触しようとする輩は少ない。
全人口の10%いるかいないかだろう。残りの民衆は、興味がないか、興味有るけど諦めているか(自分が皇女様の目に止まるわけがない、など)である。
民衆が比較的諦めがちなのには、そういう所に寄っていく人間は大抵、力が強かったり頭が良かったり金持ちだったり、普通ではない人が多い為である。
下手にその中に足を突っ込んで痛い目に合えば、今の安穏な生活すらも失う危険性を孕んでいるのだ。

では、そういった民衆はどこで皇女を判断するかというと、「噂」や「ニュース」、そして「遠巻きに見て」判断するのである。
だから皇女は、自分の取り巻きがガッチリガードしてくれるからとか、資金提供を無尽蔵にしてくれるからといって、安心していてはならない。
3年間ガードしてくれた連中が全員ヤクザだったら、民衆はその皇女には投票しないだろう。
自分が皇帝になれるか否かは、自分の周りにいない90%の人々にかかっているのである。
故に、そういった人々に如何にいい印象を与えるか、といった事にも頭を使わねばならない。

タブー

この試練の間のタブーは、民衆の生活上のタブーと何ら変わらない。
犯罪は厳禁であるという事だ。それも更に手厳しい。
例えば犯罪を犯した者が、とある皇女と繋がっている証拠がある場合、その皇女にも責任が行く。
人殺しをした者が衣の切れ端を持っていた場合などは絶望的である。その時点で殆どの場合、その皇女は皇帝即位権剥奪になる。
故に、皇女たちは少なくとも表面上は、争いが起こる事を恐れるのが普通である。
それはシンパもわかっている(ケンカをすれば自分の皇女が不利になる)為、シンパ同士のケンカなどが大っぴらに行われる事は無い。
皇女自身も、もの凄いバカか、もの凄い頭が良くなければ、おいそれと皇帝即位権剥奪の為の工作をしたりはしないだろう。
仮に剥奪皇女が出てしまった場合、その皇女や狂信者たちが他の皇女をズリ下ろす為に捨て身の行動をとる事は想像に難くない。

ジェノム及びシェルノトロンについて

この大会中、皇帝候補であってもジェノム、シェルノトロンの登録や行使は認められている。が、譲渡は認められていない。
ジェノム、シェルノトロンの直接的な贈与は禁止されているのである。
(そもそも法律上でも、ジェノムやシェルノトロンを譲渡するときは、天文地文への申請が必要。単純に候補者への譲渡が許可されていないだけ)
更にシェルノトロンについては販売も禁止されている。実質、期間中候補者は、理屈上シェルノトロンを手にすることは出来ない。

なぜジェノムはOKでシェルノトロンはNGかというと、ジェノムの場合、まず探してファーストハーモニクスする事自体が試練の一つとなりうるからである。
故に、過去の候補者は、ジェノムを自分で見つける事によって手に入れてきたし、入手が早いほど勝機が高まる。
シェルノトロンという存在は、今回の試練で初めて登場したものだ。
故に委員会では様々な議論が飛び交ったが、最終的にはシェルノトロンは全面禁止の決議がなされた。
理由は「シェルノトロンの入手があまりに容易であるため」である。
天文はこれに大反発したが、皇室の決定により、この決議が覆ることはなかった。

地文天文の荷担

皇女の中には、地文、天文の高官を父に持つ皇女も存在する。
そういった場合、地文や天文といった組織総出、もしくは派閥で支援する事もあるが、それも特に問題はない。
ただ唯一決まっている禁止事項は、天文、地文、皇室の母体組織に属する全員とその家族は、支援も不可であり投票権もない。
日本で言えば、政治家とその家族、もしくは国土交通省の官僚とその家族は支援禁止で投票権もないのである。
これも隠れて行う事は出来なくもないが、警察機関は3年の期間中、対象者の支援行為も犯罪として扱う事になっており、目を光らせている。

ジャッジメントとロガー

現皇帝は、この試練を開催する前に、天文地文、そして皇室の、政局に関わる全員に対し、開催に同意する契約をしなければならない。
その同意は、全ての該当者は期間中皇女と関わらない事、そして期間中の監視ログをジェノム経由で取られる事、の2点も含まれる。
要するに、開催期間中にこの2点が行われる事に全員が同意しなければ、試練を開催する事は出来ないのだ。
この同意によって、期間中、皇女と接触した宿主のジェノムは、ロガーと呼ばれる特殊なジェノムに正確にその内容を報告しなければならない。
それ以外にも、関係有ると疑われる全ての行動は、ロガーに伝えられる事になる。
ロガーは全ての情報をジャッジメントと呼ばれる人間に伝え、ジャッジメントはそれを判断し、過干渉か否かを判断する。
この取り決めは絶対であり、ジェノムは宿主と結託して、情報を偽造する事は許されない。
この期間だけは、契約に同意した宿主とジェノムはロガーによって定期的に監視される事になる為、おいそれと悪巧みは出来ない。
これによって政局と皇女はほぼ断絶される形となり、皇女達は民衆の間で、自分の力だけで生き延びる事になる。

この試練は言わずもがな「カリスマ」「政治力」「戦略思考」「体力」「決断力」「運」といった、民衆をまとめていくのに必要な力を一番持っている皇女を選出する為のものである。
また同時に、民衆と交流をさせる事で、民衆が選んだ皇帝に対して不和やクーデターなどを起こす事を防ぎ、平和な社会を永続させる狙いもある。

最後の試練にだけ起きた特殊な状況

イオンの時と、先代までの時との決定的な違いは、それまでは警察役としてジェノムが中立的立場からログを集めていたが、それが微妙にあやしい点である。
前回の試練の時はまだジェノム全盛の時代だったわけなので、実はイオンの回がシェルノトロン時代の第一回目なのだ。
今まで生ジェノムがやってきた「契約と監視」を、今回はシェルノトロンが行う事になる。
だが地文はそれを不服とし、従来の伝統通り、生ジェノムが行うべきであると主張した。
それに対し天文は、ジェノムは既に中立的立場には存在しないと指摘する。
結果、今回は生ジェノムとシェルノトロンの両方で監視を行い、両者の報告がほぼ一致する場合に正確な報告とする事とした。

一見ガードが強化されたかのように見えるが、実際は天文と地文の泥沼の争いが発生する事になる。
また今回において、確かに生ジェノムは中立の立場ではなかった。自らの生き残りを賭けた戦いが重要である為、その役割に歪みが生じていたのである。
それでも表面上は決して悟られてはいけない(ジェノムの向こう側にはロガーが存在するから)ので、主に水面下での争いになる。

帝国の景観と施設設定

惑星ラシェーラについて

惑星ラシェーラは第六紀末期において、生命が居住できる範囲はほんの一部である。
それは、地球でいうところの北極に近い磁極を中心とした、半径数10km圏のみである。
この場所は、遙か数百年前までは人が住めるような所ではなかった。地球と同じで永久凍土と分厚い氷に覆われた大陸だった為だ。
だが、数百年前にラシェーラの太陽が膨張を始め、この世界は一気に変わった。
気温と放射線量は上がり、赤道付近から極に向けて徐々に人が住めなくなっていく。
そして現在、この北極付近の磁極だけが居住可能領域となっている。

人々は数百年かけて、淘汰を繰り返しながら「選ばれし者」のみが磁極に集まってきていた。
最終的に磁極にしか人々が住めなくなったのは、第六期末期から200年程前の事である。
現在、惑星ラシェーラは枯れた木々と廃墟となった都市群に覆われている。

現時点において、この惑星は温度よりも放射線量の方が問題である。
そしてこの放射線量は、人々が何も対策をしなければ、既にこの最後の砦「磁極」であっても人が生活できる限界値を超えている。
この磁極において、強力な「金属対流フィールド(=ダイナモ)」を用いてシールドを張っているから、今も人々は生きられている。
フィールドは「天文」と呼ばれる国の機関によって造られ、現在も管理されている。

磁極地域の状況

天文の造った金属対流フィールドの影響圏内においてのみ、植物が育成している。
その外側は一面、荒れ地と枯れ木が続いている。
またこの磁極は海と陸の狭間にあるため、生命が住めるフィールドの一部は海である。(陸70%、海30%)
フィールドの内側にはかなり樹木や植物が多い。
これは、局地的であっても植物によって少しでも酸素や作物を供給するため、また様々な放射線、太陽光による輻射熱を和らげるためである。
また、この惑星ラシェーラにおいては更に、植物が情報伝達の役割を担っている事も重要な要素の1つだ。
それ故に、フィールド内は都市部から郊外、限界地域に至るまで、その地域における最大限の植物を育成している。
中心に行くほど背の高い樹木や幅の広い巨大な樹木が生え、限界地域に行くほど植物の背丈は減っていく。
最終的に、限界域には雑草が生え、その先は荒涼とした死の大地という感じである。

さて、この唯一人々が済んでいる場所、フィールド内を治めているのは1つの帝国である。
昔は名前が有ったが、群雄割拠の時代を経て、更に人々の生存可能領域がここだけとなった今、敢えてその固有名詞を使う人はいない。
人々はただ、自分たちを統治する国家を指して「帝国」と言うのみである。
(アメリカ国民が自国のことを「アメリカ」と呼ばず「合衆国」と呼ぶのに近いかも)

そもそもこの磁極は、地球で言えばソ連やアメリカといった巨大な統治国家であったこの帝国の領土であったものである。
まだ数千年~数百年程前、ラシェーラ全土に人々が住んでいた頃は、この磁極地域は何の魅力もない場所だった。
今で例えればロシアのシベリア、それも極東かつ北極海に面した無人の場所のような感じだ。
その、どちらかと言えば仕方なく管理している土地が、数百年後、自国の生命を救うことになるとは当時思わなかっただろう。

とにかく、帝国は数百年の刻を経て、帝都を何度か遷都しながら、最終的にこの地に落ち着いた。
そして、落ち着いたときには既に、他に人が住める場所は無かったのである。

帝国の全体景観

人の住める領域が相当限定されているため、帝国すなわち居住区域は縦型の配置になっている。まずは大きなくくりで、上から順に概要を説明する。 塔と地球の断面図塔と地球の断面図

謳う丘

塔と地球の断面図惑星ラシェーラの静止衛星軌道より更に少し上、鳥かごとラシェーラを見渡せる位置に存在する。
ここは、鳥かごを作動させる詩「ラシェール・フューザー」を謳う為に作られた場所である。
鳥かごの外側にあるのは、鳥かごの内側はラシェール・フューザーを謳うことによって全て消失する為。
謳う丘は、人々が一時的に避難する施設と、実際に皇帝が詩を謳うためのデッキ、行政機関などが存在する。
謳うためのデッキは唯一、外側の部分である(それ以外の施設は全部屋内)。
このデッキは半ば儀式的な様相を呈していて、避難している人達が皇帝陛下の詩を見られるようになっている。スタジアム的とも言える。

鳥かご

惑星ラシェーラをエネルギーとして時空角をずらし、惑星アルシエルの存在する空間を呼び込むシステム。
ラジオのチューニングと要領は同じだが、規模が全然違う(次元的な意味で)。
リングは全部で3つあり、稼働時にはそれぞれ独立して動く。
静止衛星軌道上に浮いており、リングの円周方向に高速で回転しながら、それ以外の方向にもゆっくりと回転する。
3つのリングの速度が臨界に達すると、その中心部=惑星ラシェーラの中心部に超重力場(ミニブラックホール)が出来、惑星ラシェーラは直径1cm程度にまで圧縮される。
リングは同時に重力場の切り離しをする役割も持つため、鳥かご本体と謳う丘は超重力場の影響を受けることはない。

天文

鳥かごから下の方へぐっと下がったところに「天文」と呼ばれる場所がある。
天文は、鳥かごや謳う丘を管理する組織であり、量子力学をベースとした研究機関である。
天文の外観的特徴と言えば、巨大なサイクロトロン(粒子加速器)とその内側にある多数の施設群、そしてど真ん中に存在する巨大な真空管である。
また、天文の施設上部はTz波(シェルノトロンを稼働させるエネルギー)を取得する為のパネルになっている。
下部はと言えば、大小様々な真空管がひしめき合っており、夜下から仰げば、それはあたかも星空のようである。

天文には大きく分けると、研究施設が林立する場所と居住地域の2箇所が存在する。
居住地域は天文で働く人達が住む社宅のような場所だが、後述するコロンなどに比べて様々なものが優遇されている。
それは、天文で働いている人達が、この世界の命運を担う最高の職であることを物語っている。
建築様式としては最も近代的で、新素材系の外装(宇宙船のような)により、放射線などを防いでいる。
全ての居住施設の中で最も高い位置に存在するため、特に放射線に関しては慎重であり、基本居住施設、研究施設共に、ほぼ全ての場所が屋内で完結している。

天文という組織についての概要

帝国宮城

今となっては、この世界全てを治めることになった帝国。その宮城は、天文よりやや下に存在する。
天文が宮城より上にあるのは失礼に当たるというのは、ずいぶん前から指摘されている事項ではあるが、天文は宮城を宇宙線などから護る役割があって上にいる。

宮城は現在は天文の真下にあるが、昔からこの位置にあったわけではない。現在は天文が「与党」である為に、ここに存在しているだけである。
今後「地文」が与党となれば、宮城は地文の傍に移動する。
ちなみに天文はかなり上の方にあるが、地文は地面よりも下にあるため、宮城はエレベーターのように縦に移動することになる。
その宮城が移動する道(というか空間)の事を「御幸通(みゆきどおり)」と言って、通常時であってもここに入ることは許されない。
後述するコロンの建設では、この空間は避けて建設されるし、航空機や鉄道も迂回する。
御幸通はこのラシェーラの磁極ど真ん中に存在し、実質この世界の中心と呼ばれる場所にある。

コロン

コロンはこの世界を語る上で最も重要なものである。
コロンとはいわばコロニーのことで、ビジュアル的に例えるならラピュタ、アルトネリコⅠで言えばほたる横丁のことである。
このコロンが、この世界には数多の数存在していて、宙を漂っている。
先に説明した「天文」や「宮城」も、大きな意味ではコロンの1つである。

コロンは様々な形をしている。ほたる横丁のように無秩序であったり、スッキリした卵形であったり、お菓子のコロンのように筒型であったり…
そしてそれらの形は得てしてそのコロンの売りを体現している。
例えば卵形のコロンは全部内側に都市があり、環境放射線に強くクリーンであったり、無秩序コロンは自由が売りであったり、といった感じである。
それらのコロンは、それ1つ1つが自治体となっており、コロンを建設した企業体がその維持管理にあたる。
もちろん帝国の法規を逸脱することは出来ないから、いわばアメリカの州制度の更に極端化したようなものである。

またコロンは、帝国の傘下に存在する自治体であるが、更にその下に「天文」「地文」どちらかの傘下であるコロンも多い。
例えば天文もしくは地文直営のコロンであったり、元天文のえらい人が作ったコロン、また地文信奉企業のコロンであったりである。
というか、7割方のコロンが天文、地文のいずれかの派閥の色合いが強い。残りの3割はそれらが入り乱れた「るつぼ」的コロンである。
天文派、地文派コロンは、見かけでそれを判別できる。
それは、天文と地文で技術体系が全く違うので「最新技術」が2通り存在する為だ(これはアースでは考えられない事である)。
すなわち、天文派であれば、宇宙船のような素材が目立ち、地文派であれば、錬金術的な真鍮の色合いが目立つ。

コロンはそれぞれが宙に浮いているため、歩いてコロン間の移動はできない。
通常は鉄道、軌道エレベータ、ワイヤーシップ等によって移動し、個人でコロン間の移動手段を持つ者は、帝国が認めたごく一部のVIPのみである。
これがコロンのセキュリティ向上にも一役買っており、コロンの特長をより顕著にしている。

箱舟(ソレイル)

研究機関でもあり、行政機関でもある「地文」が建設を進めていた巨大な移民船。名を「ソレイル」という。
基本的に地文の眷属の施設などはほぼ全て、地上に近い位置に存在しているが、この箱舟だけは別で、かなり天文側に浮いている。
それが理由では無いが、現在は天文の管轄下におかれ、その表面には「ぱれすにゅろきーる」という遊園地が建設されている。
箱舟は巨大な宇宙船であり、その形状は、棒状の機械部分と玉状の居住部分とに分かれており、それは巨大な鍵を彷彿とさせる。
箱舟は、沢山の人々を運ぶためにそのガタイは大きく、居住区域の直径は8kmにも及ぶ。

箱舟の渡航について

旧市街

旧市街は唯一、地上に存在する居住地である。
ここは、この地に人が住むようになり、そして放射線レベルが上がりここにしか人が住めなくなるに連れて活性化してきた。
その後旧市街は、難民による人口の飽和でゴミゴミとした住みにくい街となり、また地上に降り注ぐ放射線量が増えたことも相まって、大混乱を来す。
それらが遠因となって、裕福層が中心となって旧市街から脱出し、コロンというものを作り住み始めたのである。
コロンは小規模な居住単位であるが為に、それ単体を護るだけの電磁場を作ることは容易である。その為、コロンにいれば放射線の心配をする必要がない。
最初は裕福層だけのものであったコロンも徐々に中流階級にも浸透していき、現在では旧市街は貧困層のみの居住地域となっている。

旧市街は地文文化が色濃く、建物は昭和初期のような和洋アレンジ系であり、金属は真鍮文化である(詳しくは後述)。
面積は広いが、中心部分(御幸通)には巨大な穴が空いており、そこから下は地文の研究施設である。
以前、地文が与党だったとき、宮城はこの旧市街とほぼ同じ高さに浮いていた。
御幸通自体は旧市街(地上)が始点に当たるが、更にその下に穴が続いており、そこは地文の研究施設となっている。

地文

地文は天文とは異なる文化を持つ組織である。
厳密には、数十年前までは天文と地文は共同で、生命救済計画の研究開発をしていた。
地文はDNAを中心とした生命科学、化学を得意とし、天文は物理学、量子力学を中心とした分野とを得意とするため、それぞれはバランス良く分担していた。
地文が権威を維持していられたのは、ジェノムと人間の関係やジェノムの力そのものを管理する組織であった為であるが、数十年前、天文が開発したシェルノトロンがジェノムに取って代わるとそれが崩壊した。
人々はより便利なシェルノトロンを使うようになり、ジェノムと地文は廃れた。
天文は移住計画自体も、ジェノムを使わずにシェルノトロンを使う方法に切替え、地文とは縁を切り独立して動き始めた。
その頃から地文は徐々に権威を喪失していく。

そんな地文であるが、現在でも巨大な組織であり、組織員数も支持者もかなりの数存在している。
地文は御幸通の延長線下に存在する巨大な縦穴に、研究施設や居住施設を持っている。
巨大な縦坑の周りに様々な施設がくっついている感じになっている。

地文という組織についての概要

都市景観ディテールの特徴

ラシェーラは現在のアースでは考えられない事だが、2つの最先端文明が共存している。
それ故に、景観に関しても2つの文化が存在し、それらが時に混ざり合い、独特の景観を見せる。
この項では、天文文化、地文文化がそれぞれどのような景観をもたらすのか、説明していく。

天文文化

天文と地文は、数十年前までは同じ文化を持っていた。だが、シェルノトロンの発明と共に、地文とは別の道を歩むことになる。
天文は元はと言えば、箱舟の早期完成を目指すために宇宙科学を研究する機関であるが為に、最も得意なのは環境放射線防御である。
それゆえ、建材などにはその影響が最も現れている。
天文文化では、殆どの場合において、人々が生活する空間は建物の中にある。壁は放射線や過剰な太陽熱、紫外線を防ぐものとして存在する。
その為、天文文化の建物は全体を覆うようなものが多い。また、素材に関しても、宇宙船の外装を思わせるようなものを多用している。
全体的に近未来指向が強い。

#アルトネリコⅢで言えば、クラスタニアより上のあたり。

地文文化

地文の文化はより錬金術的である。
金属は鉄ではなく真鍮をベースとしたものであり、建築様式は「合理的」ではなく「美的」なものを追求する。
真鍮はジェノムが好む金属であるが為に、地文文化では積極的に真鍮のオブジェや外壁を用いるのである。
元々ジェノムとの交流がメインの地文文化では、やはり建物にもその特徴が現れている。
例えば、地文文化の家では、様々なジェノムが出入りできるよう、小さな出入り口が様々に存在する。
それは軒下であったり縁の下であったり、扉の下部が空いていたり上部が空いていたり…
若干語弊があるが、猫好きの人が建てる家には、ドアに猫の出入り口が付いていたりするが、そんな感じである。
デザイン文化としては、アースで言うところのルネッサンス文化、錬金術、例えば中世ヨーロッパで作られた、
惑星が公転するシミュレーションを行うorrery(惑星儀)のようなデザインが、家の中、街の中に多々見られる。

ごった煮の文化

現在帝国がある場所は、このラシェーラという惑星の「最後の生存可能圏」であるが為に、100年ほど前より、様々な地方の人々が押し寄せた。
その為、一時期帝国は人種のるつぼと化し、特に当時帝国の中心であった地上の都市は、人と文化でごった返した。
様々な各地の文化が入り乱れたことによって、この帝国はごった煮の文化が出来上がってしまった。
それらはアースで言うところの明治、大正時代に良く見られた「西洋文化の建物を日本の建築手法で建てたような家」に近い。
明治、大正の日本のモダン建築は、西洋の石造り建築のデザインをなるべく踏襲した木造家屋であり、それ故の雑多感が風情を出している。

それぞれの混ざり具合

「旧市街」や多くの「コロン」は、これらの「天文文化」「地文文化」「ごった煮の文化」が程よく混ざり合っている。
天文のシンパであれば天文文化がより色濃く、地文のシンパは地文文化が色濃くなる傾向はあるが、基本はどの要素も入っているのが現状である。
ただ、その比率や、そもそものコロンの大骨格が地文文化であったりすると、そのコロンの色は顕著になってくる。
殆どのコロンは「地文文化+ごった煮」か「天文文化+ごった煮」という形を形成している。

旧市街に関しては、天文、地文が一部地域にまばらに存在する形で、残りはごった煮といった割合である。
旧市街における天文、地文文化の建築物は巨大なものが多い。なぜならそれらはインフラ施設である場合が多いためである。
アースで言うところの発電所やエネルギー備蓄タンク、清掃工場などがこれに当たる。
コロンではこれらのインフラ設備はコロンの大骨格内に入っている。
それ故にコロンの骨格が、そのコロンの傾向(天文シンパか、地文シンパか、中立か)を示すような形になっている。

コロン

コロンとは、簡単に言えば「空に浮かぶ都市」であり、ラピュタとも言える。
このコロンが、帝国には様々な高さに様々な形状で存在し、それぞれがおおよそ独立して社会を築いている。
コロンはこの世界を語る上で要となる場所である為、ここではその詳細を説明していく。

コロンの外見的特徴

コロンは「浮いている」という事以外に、共通の外見的特徴は殆ど見られない。
その中でも共通点を挙げるとするならば、ただ1つ、全てのコロンには大小様々な真空管が付いているという事である。
それはコロンの設計によるし、またコロンの特性にもよるが、最も顕著なものとしては、超巨大な真空管が街のど真ん中にドンと構えているものや、
逆に小さな真空管がコロン下部にギッシリと埋め込まれており、夜には星空のように輝くものまで様々である。

コロンの形状そのものについては、本当に千差万別である。
卵のように、殻の中に全部の住居を押し込めたインナーなタイプ、輪っかの中に人々が住んでいるお菓子のコロンタイプ、
無秩序に家々が広がっているほたる横丁タイプ、外壁とお城のような丘を持つラピュタタイプ、その他にも様々な形状がある。

コロンの外見的特徴

コロンは「浮いている」という事以外に、共通の外見的特徴は殆ど見られない。
その中でも共通点を挙げるとするならば、ただ1つ、全てのコロンには大小様々な真空管が付いているという事である。
それはコロンの設計によるし、またコロンの特性にもよるが、最も顕著なものとしては、超巨大な真空管が街のど真ん中にドンと構えているものや、
逆に小さな真空管がコロン下部にギッシリと埋め込まれており、夜には星空のように輝くものまで様々である。

コロンの形状そのものについては、本当に千差万別である。
卵のように、殻の中に全部の住居を押し込めたインナーなタイプ、輪っかの中に人々が住んでいるお菓子のコロンタイプ、
無秩序に家々が広がっているほたる横丁タイプ、外壁とお城のような丘を持つラピュタタイプ、その他にも様々な形状がある。

コロンの機能的種類

コロンの役割には、大きく分けて2つが存在する。
それは「居住コロン」と「生産(インフラ)コロン」である。
また、特殊なところでは「エレベーターコロン」というものが存在する。
これは、「御幸通」の脇に4本通っているもので、このコロンは軌道エレベータと鉄道の乗り換えポイントとなるコロンである。

行政体制

コロンは帝国が認定した自治組織であり、コロンの中だけである程度法規を作ることが可能である。
それは日本の県よりも、アメリカの州に近い。
コロン毎に独自の法規や税金、サービスなどを設定することで、住む人々に選択の自由度を与えている。
これは、元々この帝国が、様々な地域から様々な文化の人々が集まって形成された街だという事に起因する。
過去の皇帝は、異文化の民を強制的に自らの帝国文化を押しつけるより、自らが住みやすいような環境を与える事が、結果的に程よく纏まると考えたためである。
それ故に、住民が心配するようなレベルの法律やサービスは、全てコロンの運営者が行っている。

尚、これらの行政体制は主に居住コロンについての話であるが、当然生産コロンにも存在する。
生産コロンはその生産施設を経営する企業そのものが1つの自治体という事になる。
そこで働く人々は、勤務時間中は生産コロンの法規に従うことになる。

インフラ

この世界において最も重要なインフラはTz波である。
それは重力波の粗密から抽出するエネルギー波であるが、現在世界を動かしている詩魔法の源、シェルノトロンを動かすために必要不可欠なエネルギーである。
現在、このTz波の抽出は、天文しか行うことが出来ない。
天文がその施設の上面にTz波の受信パネルを敷き詰めており、そこから高効率でTz波を吸収している。
そしてそれをそれぞれのコロンへと供給している。
天文はこのTz波の波代を税金として徴収しており、コロン単位で請求する。
コロンはそこで赤字にならないように、住民から波代を取るわけだが、その徴収方法はコロンに任せている。
それ以外に重要なインフラは「水」と「ゴミ」と「情報」と「流通」と「エレベータ」であり、それぞれは民間の生産コロンによって運営されている。

交通

コロン内の交通に関しては、コロンがそれぞれ独自に作るものであり、その方法は様々である。
だが、コロン間の交通は、概ね「鉄道」と「ワイヤーシップ」の2種類に決まっている。
その中でも民間人が多用するのは鉄道である。
鉄道は、同じくらいの高さにあるコロンを繋いでる交通機関であり、帝国と民間が共同で出資して作っている。
鉄道線路は様々なコロンを経由して敷設されており、直通区間は一定の高低差の範囲内である。
これは、人々の移動をある程度制限するための帝国の策略でもある。これにより治安を維持しているのである。
極端に高度が違うコロン間を移動するには、鉄道でエレベータコロンまで行き、軌道エレベータに乗り換えて、更に鉄道に乗り換える。

ワイヤーシップは主に貨物運搬に使われるが、地球の船舶と同じで、一般人が自家用で持てるようなものではない。
パッセンジャー(旅客船)も存在するが、鉄道より高めである。

生活様式と科学技術

ラシェーラの科学傾向

科学技術が黎明の頃、人々は既にジェノムとのコンタクトを身につけていた。
そして、ジェノムから様々な技術を教えて貰う形で、人々の科学は発展していった。
故に、この世界の科学は、DNA文明(遺伝子演算文明)とも言うべき特殊な技術発展を遂げている。

地球の科学、とりわけ化学や工業が錬金術を発端として進展していったのと同じように、
この世界でも、生物学の錬金術とも言うべき分野が生まれ進展していった。
ラシェーラの遺伝子の性質は特殊で、それはジェノムという生命との持ちつ持たれつの関係が生み出した自然進化とも言われている。
すなわち、DNAの螺旋は互いに結びつき、離れ、自由自在に生物の成長を変化させるのである。

ラシェーラのDNA学の基本

科学技術が黎明の頃、人々は既にジェノムとのコンタクトを身につけていた。
そして、ジェノムから様々な技術を教えて貰う形で、人々の科学は発展していった。
故に、この世界の科学は、DNA文明(遺伝子演算文明)とも言うべき特殊な技術発展を遂げている。

地球の科学、とりわけ化学や工業が錬金術を発端として進展していったのと同じように、
この世界でも、生物学の錬金術とも言うべき分野が生まれ進展していった。
ラシェーラの遺伝子の性質は特殊で、それはジェノムという生命との持ちつ持たれつの関係が生み出した自然進化とも言われている。
すなわち、DNAの螺旋は互いに結びつき、離れ、自由自在に生物の成長を変化させるのである。

生活様式への影響

情報

情報の夜明けは、人工的に脳のような細胞を創り出す事が出来た時から始まった。
最初、情報は脳の電気信号に対し如何にしてインプット、アウトプットするかが命題であった。
最も初期に創られたものは、薬品によってインし、筋肉によってアウトするものだった。
だが、最新の技術ではDNAによってインアウトする。脳という器官がH波領域の送受信機である事を突き止めた為である。
同じくH波からの波動を元に動くDNAは、脳細胞からの個体認証信号(電気信号)を受け、同族認識をする。(DNAは主に受信専用。送信バスもあるが、脳細胞に比べると使い物にならない程度)
その同族認識をした全てのDNAは、H波(魂)の指示通りの処理を行う。
これは、どれ程重厚長大であっても、電気信号の伝達速度をボトムとするスピードで伝達される。
その為、例えば10km以上離れた場所まで届く根っこがあれば、その10km先でもほぼ一瞬にしてDNA状態の変更が行われる。
DNAに何らかの情報を載せてH波に変化指示を出させれば、10km先にもその変化は瞬時にして伝わる。
すなわち、情報ハイウェイの確立である。

DNAに入っている情報は、生物学的取得、化学的取得の2種類によってアウトプット出来る。
生物学的取得とは、実際にそのDNA情報を元に遠隔地で何らかの細胞分裂を起こす(=建設)、もしくは筋肉運動をさせる(=動力機的なもの)といったもの、
化学的取得は、そのDNA鎖に結びつけられている配列パターンを解析しリスト化するものである。
それぞれの用途に応じて2つの手法は使い分けられるが、得てして生物学的取得の方が効率が良く反応も早い為、特に理由がない限りは生物学的取得を行う。
化学的取得が脚光を浴びるのは、情報が狭義の意味での「情報」すなわちメディアに活用されるようになってからである。

いわゆる「テレ(tele)」シリーズはラシェーラにも存在する。中でもテレビは帝国民にとっては大切な娯楽であるし、テレフォンは交流に欠かせない。
こうした情報は、ラシェーラではほぼ「有線」によって成される。それは主に根っこである。
だが、この根っこも単一の生命体が全世界にシナプスを送りDNA変異をさせ続けるのには無理がある。
それ故に、我々で言うところのインターネット的技術が発達した。
それは、根っこ同士の接触において、特定の植物の根っこがふれ合う事で、別の植物にもかかわらず情報が伝達されていくというものである。
これによって、例えば帝都の街路樹などは簡単に情報経路となりうる。

現在最も進んだ情報機器として、「DH波脳像器」というものがある。これは20k~300kHz程度のH波を発するキューブを額やこめかみに当てると
頭の中にそのイメージが直で伝わるというもの。キューブの中には人工脳器とH波を増幅する液体が入っている。

帝国民の生活

身のまわりや家の中の生活用品などの特徴です。

食事文化

寧ろ、建物や家電の低水準さに比べて、食文化の豊かさは半端無い。
どんなに貧しい家であっても、餓死する事は滅多にないのである(何を食べられるかは置いておいて)。
帝国において育てられている植物や食肉、海鮮は全て遺伝子操作を行っている。
これは当たり前すぎる事となっており、食用に遺伝子操作をしていない野生の肉や野菜を食べる事は、寧ろ危険であるという文化なのだ。
(実際、アースにおいても豚は寄生虫を持っているし、鳥もウイルス持ちである。これらはラシェーラにおいて解決されている)

食事文化が豊かな理由の最も特徴的なのは、いわゆる「家庭菜園」が当たり前になっている事である。
これはどれ程都心の過密地帯であっても、そして一人暮らしで働いていなくても、家庭菜園はある。
感覚的に、家庭菜園は我々でいうところの炊飯レベルであり、菜園の無い家は「さすがに堕落しすぎ」と思われる。
帝国の統計には、毎年コロンごとの「食糧自給率」が発表されるが、この「自給率」とは当然「自宅」の意味である。
コロンによるが、少ない場所でも50%程度、多いところでは90%にもなる。食料を買いに行く事が殆ど無いという事だ。
更に「食糧売却率」という指標もあり、これは30~70%程度になる(家によりばらつきがある)。
これは何かというと、家庭菜園の食物は、お店や市場で普通に買い取ってもらえるのである。
例えば下町の一般的な家庭だと、朝起きて菜園の作物を収穫し、それを買い物カゴに入れて街に出る。
まずは食糧を行きつけの商店に売却し(ちゃんと売却得意先が世帯毎にある)、そのお金で家で賄えない食糧を買う。
大抵の場合、植物を売り、魚介や肉を買う。
お金という文化がある中でも、お金の流通を使わない(実際は媒介する)取引が有る為、貨幣価値の暴落などが起こっても最低限の生活は維持できる。

さて、その家庭菜園だが、当然だが地球での家庭菜園とは全く違う。
基本屋内育成である。外は放射線が強すぎるのと、頻繁に起こるガンマバーストに当たると一気に枯れてしまう為である。
帝国の家々では、一戸建てなら最上階、マンションなら窓際の一室は食糧室と言われる部屋になっている。
(分譲マンションなどでは「2LDFK(F=FoodRoom)」などの表記になる)
ただ、食糧室は必ず独立した部屋になっており、そこでは生活しない。夜寝ると窒息死する為である(代謝の早い植物が目一杯有る為、夜間二酸化炭素濃度は酷く上がる)。
殆どの家庭育成用の種は、僅かな光で莫大な光合成をするようになっている。すなわち代謝が早く、育ちが良い。
大抵の場合水と養分(養水)だけで育つので、1日1回洗濯機を回すくらいの感覚で、当たり前のように育つ。
もう少し趣味が入っている人は、もう少しテクニックが必要なものを育てる。
例えば、放射線量が高いほど甘く美味しくなるかぼちゃや、マイナス温度でないと枯れてしまう樹氷野菜などである。
更には、食用動物を飼育する人も珍しくはない。ここまでいくと完全に趣味だが、地域に一人「食用動物家」がいると、その人は大抵人気者である。
(通常食肉は企業の大規模工場で作られる為、味が均一で人によっては物足りないのである)
その育成植物の種類は多彩で、普通の野菜から、穀物、発酵パン、ソースの実(ココナツのような実の中がデミソースで一杯になるような植物)などなど。
近年では肉のような食感とジューシーさを持つ根菜が開発され大ブームである。油は多いが、植物性油脂の為ヘルシーだからである。

そんな帝国民は殆ど家でご飯を食べるのだろうと思われがちだが、実は外食が多い。
帝国民は騒ぐのもお酒も好きだからだ。
また面倒くさがりなので、汚れる料理はしたがらない。必然的に焼鳥屋や焼き魚屋は大繁盛である。
近所の人達と呑みに出掛けるのは当たり前であり、町内会のバーベキューなども盛んに行われる。
地域が活性化している場所では、当たり前のように育てる植物も相談の上分担する。

コミュニティ(地域生活)

コミュニティはかなり活性化している。
それはこの惑星の過酷な環境が創り出した本能レベルの気質とも言える。
自らの家という管理区域はあれど、見ず知らずの人であっても迎え入れる事は多い。
これは、ガンマバーストなどの「どうにもならない災害」が多発する星であるが故である。
それに伴い、隣近所の相互扶助はかなり活性化している。
実際、例えば一時的にどこかの世帯主が職を失ったとしても焦る事はない。
隣近所から食糧を分けてもらえるし、就職先の斡旋を手伝ってもらえる。
また、子供の教育にも良い環境と言える。両親共に用事があるときなどは、隣近所で面倒をみるのが当たり前の文化だからである。

ジェノメトリクス同調調停院の教え

原理

<不完全原罪>
『人は生まれながらにして原罪を持ち、故に不完全な身体を持つ』

この世界の宗教観では、生まれついた人は全員「犯罪人」である。
そしてその罪により、人間は12本のDNA鎖のうち、2本を除いて全てを神に剥奪された。
科学が発達して尚、この宗教観は更なる立証に向かっている。

なぜなら、この惑星の環境に対し、ラシェーラ人は完全適応していないという結論に達している為である。
通常、惑星で進化する生命はその惑星の環境をノーマルとし、最も快適な住処とするはずである。
すなわち、赤色巨星で放射線量が多いラシェーラでは、人々は赤方変移に対応して赤~緑程度の色彩感覚を持ち、放射線は現在の線量で通常生活を営める筈なのだ。
だが、実際は違う。
神によってDNA鎖を取り除かれ、ラシェーラという「地獄」で罪を償うべく宿命を背負っているのだ。

そしてその没収されたもう半分の自分、それがジェノムである。
ジェノムとの同調は宗教的にも大変意味があり、意義深いものである。
自分と相性の良いジェノムを探す事は、『自らを探す』という宗教的意義と一致する。
故に、ジェノム探しの旅は、宗教的にも人生の目玉として存在し、故に会社や学校ですら、それを容認する。(ジェノム休暇などがある)
そして、より遺伝子のDNA鎖が多いほど、更に同調の度合が多いほど、「完全体」に近づけるのである。

現在、完全体に最も近いのが皇帝である。
皇帝は政治的にだけではなく、宗教的にも教皇的な位置に存在するのである。

尚、この教えは、いわずもがなジェノムの王「コーザル」が教え広めたものである。
ジェノム達は、この星を侵略してきた現人類に対して、この教えを流布することで、侵略者達を皮肉っているものと思われる。

地文のシェルノトロンに対する見解

地文はシェルノトロンを認めていない。
シェルノトロンは人工的な力によってDNA鎖を増やすツールであり、それは「神の設定した成長の過程を覆すもの」である為だ。

それに対し、シェルノトロン開発元である天文は「この世界に存在する以上は、自然の摂理に反していない」と主張する。
人工的に創られたシェルノトロンが、自然ジェノムと同じ「完全体」に近づけるという結果をもたらす事自体が、神が容認している事の裏付けであるというわけである。

地文「シェルノトロンは悪魔の罠であり、このままでは、この世界はより低レベルな世界(地獄の下)まで落ちる」と言う。
神にはその思想に反する存在がいるわけだが、人工的なジェノムは、神のフリをした悪魔による戦略であるというのである。
否定派は、ジェノムを探す旅が無意味となった現代において、過去よりも精神的に退廃した事を、数々の事件を元に訴える。
神はジェノムを手に入れる旅を通じ精神を鍛え、ジェノムと交流する事で愛を育む、というプログラムを作ったというのである。

現時点でもこれら2派は争っており、恐らく永久に和解することは無いだろう。

1ヶ月の表現

鳴蘭めいらん……皇位継承の儀の二年前の年
大華たいか……皇位継承の儀が始まった年
萌芽ほうが……ネロが6軸移動によって世界を変革させた世界の2年後(本来の軸とは異なるため別の年号)

H舞奉音ぶほういん 母なる星へ感謝と畏敬の念を込めた舞と詩が奉じられた月
N野櫻神ぬおうしん 草木が芽生える為の神が誕生する月
R吏鞍りくら 昔、各国の大使が集う会議があった月
A愛麗澄あいれいす 空や川が澄み渡り、最も星が人を愛す月
S沙里しゃり 遠い世界へ旅立つのに適している月
K薊紅晶けこうじん 過去、世界を変える新技術が多く生み出された月
E栄約音えいよういん かつて大戦が終結し平和と繁栄、そして共存が結ばれた月
U豊園樹ゆあんじゅ 木々が実る豊穣の月
L瑠禮るら 世界が最も色に満ちる月
I祈禅いぜん 母なる星が自らの子に試練を与える月
M夢暁むぎょう 試練を越えた子が次なる年を迎えるための準備をする月
TTN(天命大華野櫻神)
天命=時代
大華=年号
野櫻神=月












爽 9時
黒 10時
白 11時
磁 12時
律 13時
午 14時
鳥 15時
穣 16時
落 17時
茜 18時
藍 19時
煌 20時
儚 22時
元 0時
丑 2時
初 7時
0刻~9刻(10分割)

第七紀世界

箱舟

箱舟の目的

箱舟は、第六紀終焉の50年以上前から計画・建造されていたものであり、当初は天文と地文の共同プロジェクトだった。
その後、40年ほど経過した後に天文がこの計画から手を引き、実質途中で頓挫したプロジェクトとなっている。
形状は限りなく球状に近く、航行も当然大事ではあるが、それ以上に人々の居住空間が大事であるが故に、中心重力船として設計されている。
中心重力船とは、船の中心部に重力源があるもので、それによって収容人数が大幅に向上する他、惑星と同じく重力場が有害放射線から身体を護ってくれる。

箱舟の目的を簡単に言えば「コールドスリープを繰り返しつつ、ラシェーラと似た惑星を探し航行する宇宙船」である。
人々は箱舟に乗り込み、その殆どはコールドスリープをしながら、1000年を越える超長期航行を行う。
そして最終的に、ラシェーラと同じ環境を持つ惑星に辿り着き、そこに移住するのだ。

第七紀、箱舟の状態

PS3版(アルノサージュ)開始時(第七紀)、箱舟は未だ人が住める惑星を目指して航行中という事になっている。
人々は、1000年ごとに10年、コールドスリープから目覚め、生活をする事になっている。
コールドスリープは、10年単位で100区画、交代で行われる。
区画ごとに起床する日時が違うため、起きても自分たちのコミュニティの人達しかいない。
厳密には、遠く離れた区画には同じ時間帯に起きている人達もいるが、相当遠いので殆ど出逢うことはない。
これは、限りある資源を奪い合うことがないように仕組まれたシステムである。

しかしこのシステムが現在は仇となっている。
このコールドスリープ中、人々は大変深刻な危機に直面するようになった。
どこからとも無く現れた生命「シャール」によって、人々の命が危うくなっているのである。
シャールは主に、人々がコールドスリープをしている間に活動し、コールドスリープ中の人々をさらっていく。
そして、その区画は廃墟と化し、その後にはどこからともなく植物が生え、部屋を埋めていくのである。

なぜこのようになってしまったか?

箱舟は本来、このような設計になっているわけではない。
これは、ジルがコーザルをけしかけて仕組んだものである。
箱舟には現在、中心にある「プラセンタ」と呼ばれる場所に、アルノサージュ管が据え付けられている。
しかし箱舟設計当初、そこにはG2管が置かれていた。
本来はそのG2管を介してジェノム(コーザル)が箱舟を制御し、長期に渡る航行をする予定だった。
だが現在は、その機能を、ジェノミライ教団とコーザルが、本来以外の使い方で使っている為、このような事になっている。

コーザルの目的は「惑星再生」。
シェール(ラシェーラ人)によって跡形もなく消されてしまった自らの母星シャラノイア(惑星ラシェーラ)を復活させるために、この箱舟を使っている。
具体的にはこうである。
「人間のSHエネルギーを利用し、その導力によって箱舟を核とした惑星を創りあげる」
この箱舟は中心重力船であり、中央部に向かって重力が働いている。また、惑星の仕組みを見習って作っているため、磁力によって有害宇宙線を排除している。
故に、この箱舟の地表に土を盛り、水を湛え、大気を形成することが出来れば、擬似的な惑星となって、星の再生が可能である。
その材料として人間を使っているのである。

コーザルによる惑星再生の仕組み

では具体的にどうしているのかというと、シャールという人達を使っている。
シャールとは、惑星シャラノイアに住む人達のことで、要するにラシェーラの元住人「ジェノム」のことである。
シェール(ラシェーラ人)が侵略してきたとき、シャール達は争いを拒み、自らの身体を捨てて魂だけを様々な動物たちに宿した。
すなわち、宿り木のような生活をしていた。
そこでまず、シャールの王であるコーザルが行ったのは、そのジェノムたちに「自分だけの身体」を作ってやることだった。
こうしてイオンを利用して外宇宙エネルギーを用い、シャールのボディを作らせて、それにジェノムの魂を埋め込むという事をし続けた。

生まれたシャールはまず、レイバーシャールという位置づけになり、惑星を生成する為に働く。
具体的には、「地下で、人間達を捕まえて水槽に入れ、大地を創りあげる仕事」をするのである。
その後、よく働いたシャールはその仕事から解放され、自らが創りあげている「地上」へと住むことが許される。
地上では、沢山のシャール達が、緑と土の大地に囲まれて、シェール(ラシェーラ人)が侵略してくる前のように、幸せに暮らしているのである。
こうしてシェール(ラシェーラ人)は地下で生かされており、その末路は惑星の土である。
自分が肉になることを知らずに豚舎で餌を食べているブタと同じ。
時期が来れば、スケジュールに沿ってシャールはそのコミュニティを潰し、人々を狩り、惑星復活のために使うのである。

ジルとコーザルは、シェール(ラシェーラ人)がこの事に気づかぬよう、区画同士の隔壁を可能な限り全て閉じ、人々の行き来を出来なくしている。
更に、箱舟の航行情報という嘘の情報を流し、テレビには現在の宇宙空間を映し出し、人々がストレスでおかしくならないように擬似的な森林空間などを映し出すアメニティを充実させている。
それによって殆どのシェールは、何の疑いもなく、新たな自らの安住の地にいち早く着くことを待ち望んでいるのである。

PS3アルノサージュ開始時の、箱舟の状態

主人公デルタ達がいる区画から、外壁へ出る方向と、中心へ潜る方向にわけて解説する。

居住区域

まず自分たちのいる区画、居住区画に当たるが、ここは至って健全な、近未来的な典型的宇宙船内部である。
綺麗に行き届いた壁や床と、様々なディスプレイ、そこに映し出される航行情報など、様々な機器が存在する。
居住区域には、いわゆる「家」に当たる就寝エリアと、様々なアメニティのある活動エリアがあり、活動エリアには、生産設備、娯楽設備などがある。
生産設備はその名の通り、農業、工業が出来るように必要最小限の土地、機器などがあり、人々が自由に使える。
実際には、その区画の住人達で取り決めをして使うような形になる。
娯楽設備には様々なものがあり、インナー的なものもあれば、アウター的なものもある。
リラクセーションエリアでは、第六紀末期にすら見ることの出来なかった大森林のディスプレイ(窓越しに森が見える廊下)等もあり、人々の宇宙での孤独感を和らげる。
また、生産品の販売、バザーなどが出来る多目的広場などもある。

これらを1セットとして、それが箱舟全体で100セットほど存在している。そして人々は、100の区画に分かれて住んでいる。
人口は1区画あたり500~1000人である。

外壁へ出る方向

基本、居住区域は何層にもなっており、比較的外壁に近い方向にまで居住区域は連なっている。
主人公達が住んでいる区画は、それらの居住区域層の中では丁度中心か、それより少し内側に存在している為、外壁に向かうには何層もの居住区画を昇っていく必要がある。
それらの居住区域は、上にいくほど大変な事になっている。
外壁へ向かうほどに、植物の蔓や根っこが多くはびこるようになっていき、土で通路が埋まっていたりする所もしばしば出てくる。
また、水で埋まっている区画も少なくない。
そして最も外縁部近くの区画ともなると、既にその殆どは土で埋まり、土の中には虫や動物が息づき、巨大な樹の根っこがはびこる。

更に上にいくと、箱舟の外壁と思われる場所に出る。が、ここもまだ地下なのである。
そこからずっと上に穴を掘り、ずっと昇っていくと、ようやく太陽の光を拝む所に辿り着く。
そこには沢山の高い木々が育ち、動物たちが住み、そしてシャール達が生活している。
恒星ベゼルは外宇宙の存在(イオンとネロ)が数千年間いなくなった事により収縮し、通常の姿に戻っている。優しい光を放ち、そして大気は澄んでいて綺麗なのである。

中心へ向かう方向

居住区域は中心からかなり離れたところでないと作ることが出来ない。
なぜなら、歩いていて「球体の上をグルグル歩いているのが分かる」くらいの場所になると、人が住んでいて気持ち悪くなるからだ。
だから、中心部は、メカニカルな施設が多い。
それは、惑星の航行に必要な推進装置であったり、それらを制御するための大小沢山のG2管であったり、である。

支柱部分

球体から突き出た支柱は、シャラノイアでは塔として認識されている。
その支柱の中には、航行に必要な様々な推進設備がある。そしてその最上階である「天文台」という場所に、中央制御室が存在している。
中央制御室は本来、シェール(ラシェーラ人)がジェノムと完全同調して入り、精神世界内でソレイルを手足のように操作するものである。
計画当初の仕様に沿えば、ここにはカノンと、カノンに完全同調したコーザルが入るべきところである。
しかし実際には、その中に寝ているのはイオンであり、完全同調しているのはプレイヤー。
コーザルはそれを外からコントロールしているという状態である。

シャール

シャールとは

シャールとは「惑星シャラノイアの人類」の事であり、それはすなわち、ラシェーラ人が惑星シャラノイアを侵略し、惑星ラシェーラと改名する前に住んでいた人々のことである。
温厚な性質を持ち、争い事を好まない。事実、ラシェーラ人が侵略をしてきたとき、シャール達は戦争をせず、身体を捨てることで身を潜めたくらいだ。

しかし第七紀において、シャールは大変深刻な存在である。
それは、シャールがなぜか航行中の箱舟の中に多数出現し、箱舟に乗っているラシェーラ人を襲っている為である。
なぜそんな事になっているのか、これから詳しく説明していこう。

第七紀のシャールは、惑星創成目的で人工的に作られている!

第七紀におけるシャールは、自然発生したものではない。
それはジルとコーザルが結託し、イオンとプレイヤーに積極的に“産ませている”ものなのである。

コーザルは、第五紀において物質的な身体を失う原因となり、更に第六紀においては自分たちの母星をも失う原因となった存在である、「シェール(ラシェーラ人)」を許すつもりはなかった。
さすがに堪忍袋の緒が切れたというか、惑星を潰されたときにさすがに方針を転換し、とにかくこれからは自らの生活を最優先にしようと考えた。
そして、今までのツケを請求するかの如く、ラシェーラ人を拘束し惑星創成の材料として使うことにしたのである。

シャールの誕生プロセス

実際にどのようにしてシャールが作られるのかを説明する。
シャールは、その生命力の全てを「外宇宙の物質」、すなわち我々の世界の地球の物質を元に得る。
例えば、オレンジ缶を7次元転送装置(パケットカプセル)に乗せる事が出来れば、アルノサージュ管はオレンジ缶の持つ物質エネルギー分を得る事が出来る。
その為には「オレンジ缶」の個体情報を明確にし、ターゲットして外宇宙にリンクする必要がある。その為にバーコードを用いる。

この、「物質からバーコードを取得し、物質をエネルギーに変換して外宇宙に押し出す」役割を持つシステムが、インターネット上に存在する。
それが「ジェノミライ・ドットコム」という、管理者不詳のWEBサイトである。
そして、ジェノミライのサーバーに搭載されている波動変換器によって、瞬時にラシェーラの宇宙レイヤへエネルギーとして具現化される。
ラシェーラ側ではエネルギーとして入り込む為、すぐにそのエネルギーは媒体主(ここではアルノサージュ管の精神世界主=嫁)の想いに感化される。
故にオレンジ缶のエネルギーは、イオンが(ジルに操作されて)無意識に、必要な存在である「シャール」の形をとる事になるのである。

シャールは現実世界でどのような存在なのか

前項で説明したとおり、シャールとは、自分専用のボディを持ったジェノムのことである。
いわば「ヒトガタ」であり、要するにイオンとプレイヤーは、あの厄介な存在「ヒトガタ」を大量生産している事になる。
生身シャールの繁殖方法と照らし合わせて話していこう。

  1. シャールはジェノムから生まれる。→実際、箱舟(アルノサージュ管=プレイヤー)から生まれている。
  2. 親と子で形が違う事がある。その形は宿主の想いによって作られる。→シャールはイオンにとって、強い想いがある。
  3. 子供を作るには相当なエネルギーが必要である。→シャールは外宇宙の物質をエネルギー源として作られる。
  4. 出産には他のジェノムの遺伝子が必要である。→アストロサイト・モジュラトリ・ウイルスにより、シェルノトロンと宿主の遺伝子による増殖を行える。
4に関してだけは、少し詳しく説明していく事にする。

アストロサイト・モジュラトリ・ウイルスとは、宿主自身をジェノムであると騙すウイルスである。
それにより、通常、ジェノムはジェノム同士でしか交配をしないところを騙し、宿主とジェノムで交配させる事が出来るようになる。
その結果、「宿主とジェノム」の組み合わせが一組存在するだけで、第三者的なジェノムがいなくても増殖を行える。
イオン(宿主)とアルノサージュ管(=プレイヤー)で具体的に解説すると、本来であればプレイヤーは他ジェノムがいなければ子供が産めないが、ウイルスの影響により、宿主であるヒロインとの交配が可能になる。
そして、それによって生まれ続けているのが「シャール」である。

故にシャールは、現実世界においてもしっかり生きていると言える。
魔法によって動いているものとは違い、エミュレーションであれ、しっかりとした生命として機能しているものだ。
それが証拠に、ごくごく希ではあるが、ラシェーラ人とファーストハーモニクスを為し得て共にいるシャールも存在する。
更に、そこから更なる世代の子供までも誕生しているのだ。

シャールは現実世界で何をしているのか

シャールはイオンとプレイヤーの間に出来た子供達である。
だが、現実世界に生まれた後は、普通にジェノムとして成長していく。
しかし、ジェノムはジェノムである。ジェノムはコーザルによって共通意識野で統制されており、コーザルの想い一つで本能が変わる。
そして、第七紀におけるジェノム(シャール)の本能は、「人間を材料にして惑星創成を推進すること」である。

その為に、シャールは年がら年中せっせと土や海を作ってきた。そして今でも作り続けている。
シャールはもう何年もかけて、惑星の構築を行ってきた。
元々箱舟は単なる鉄の塊であり、人々は内部に住み、外壁は当然宇宙に対し野ざらしであった。大気も無く人も住めない。
だがシャールは、時間かけて、人間のH波を使う事で、箱舟の外縁部から徐々に外壁に向かって土と海を満たしてきたのだ。
そして有機物をめまぐるしく活性化させ、堆積物により大地となる土を蓄積し、箱舟の表層にまで上ってきた。
何とも素晴らしい事ではないか!この機械の船を、半永久的なサイクルによる生存圏に変えたのだ!
……その材料として「人間」の生命力SHWを使っていること、ただその事だけを除けば。

アルノサージュの舞台は、シャールが大地を創り始めてから数年が経過した頃の話である。
既に箱舟は有機的な水が取り巻く惑星となっており、緑生い茂る大地と暖かく輝く太陽ベゼルに包まれて、地上ではシャール達が気ままに暮らしている。
そして今でも地下(箱舟の船内)では、シャール達によって人々が水槽に入れられて、大地や海の糧となっているのだ。
それを防ぐ為にラシェーラ人は、シャールとの果てしない戦いに明け暮れている。

シャールの性質

シャールはラシェーラ人を敵視していない。というか、シャールは闘争心や敵対心、嫉妬などとは無縁である。
それは、ジェノムが持つ本能である。シャールは悪意をもってラシェーラ人を大地の肥やしにしたわけではない。
ただひたすら、想いに忠実に動いていただけだ。

だから、ラシェーラ人側が心を許すのなら、比較的容易にシャールと仲良くなれる。
そして、結婚するのも、ジェノムとしてのファーストハーモニクスをするのも、かなりトントン拍子で上手く行く。
もう価値観が全然違うのである。

生まれたてのシャールは、とかく何も考えない。
だが、ラシェーラ人とジェノム契約をしたり、結婚して生活するようになると、シャールは賢く色んな事を覚えていく。
とはいえ性根は変わらない為、ラシェーラ人を肥やしにする事に罪悪感も無ければ、楽しんでいるわけでもない。
農業をするのに畑を耕すのと同じ感覚なのである。

もちろん、結婚相手や同調相手のラシェーラ人を肥やしにするほどバカではない。
それを逆手にとって、命惜しさにシャールと結婚や同調するラシェーラ人もいるほどである。

歴史

この惑星の真実

【要約】
ジェノムは遠い昔この星に住んでいた人達で、今の人間は遠い星シェーラからやってきた侵略者。
ジェノムは戦争を嫌い、侵略者にこの惑星を明け渡して魂だけの存在となりジェノムとして忍んでいた。
その後、太陽の膨張によって、人間とジェノムはこの危機を乗り越えるべく、協力するようになっていく。
だがその後事態は斜め上に進展、人々はこの惑星にやってきた方法(古代文明)を見つけてしまい、同じ方法で惑星を潰してそのエネルギーで脱出する方法を考案。
それで焦ったジェノムの長コーザルは作戦をかえて、自分は太陽ベゼルを正常化出来るから共にそれを成し遂げようと「セーブベゼル」を提唱し始めた。
かくして人々は「惑星を潰して逃げる」派と「太陽とこの星を護ろう」派にわかれ、その状態で試練の3年間へと突入していく。

第五紀以前、ラシェーラの住人はジェノムだった

ジェノムと人間との付き合いは、もう遙か過去からのものだと思いこみがちだが、実際はさほど長くない。
なぜなら、ジェノムと人間の邂逅は、第五紀末期だからである。
その頃はジェノムも普通の人間と同じで、物理的な身体を持った存在だった。

ジェノムと人間との出逢いはとても悲劇的だった。
なぜなら、侵略によって邂逅したからである。
現在ラシェーラに住む人々(シェール)は元々他の星の住人であり、その星が住めない星になってしまったために脱出してきた。
そしてこの惑星ラシェーラを見つけ、侵略したのである。

ラシェーラを囲むリングとネロの真実

シェールはリングによってシャラノイア星に来た。
要するに、天文が提唱するグランフェニックス計画は、シェールがこの惑星に来たときの手法を再現しているに過ぎない。
天文は自らが作り出したと言っているが、実際はロストテクノロジーを解読して得た知識である。
それはジェノミライ研究所によって発見、解読された。
すなわち、シェールは惑星シェーラをマイクロクエーサーにして、そのエネルギーでこのシャラノイア星にやってきたのである。

その時、このリングを動かしてマイクロクエーサーを作り、更には惑星シャラノイアを見つけたのが、ネロである。
その後ネロは、通常の人間と同じくらいの寿命で死んでいるが、その魂は決して消滅することはない。
この世界では魂(H波の個体)は成長し、輪廻転生を繰り返す。
だが、ネロのように7次元先から波動変換をして連れてこられた魂は、当然この世界の魂の波形とは互換性がない。
彼女を入れる事が可能な人間体は、人工的に作らないと無いのである。
故にネロは、数千年もの間、転生も出来ず、自分の宇宙に戻ることも出来ず、ただ彷徨っていた。
それを再度肉体に入れ、復活させたのがジェノミライ研究所である。
研究所は、地下にあったロストテクノロジーの残骸から、7次元転移の具体的な方法を発見した。
もちろんそこにはクラケットの7次元理論という基盤があったからこそ、辛うじて理解できたのである。そうでなければ今でもオーパーツのままだろう。

だが結果は技術不足で、ネロは苦しい思いをした。
また、当然ながらネロは、再度同じ事(惑星消滅&転移)をしようとは思わないし、それより自分の世界に返せと迫った。
だから、天文はネロを諦めた。
そしてイオンである。イオンもネロと同じく、ずっとイオンでいる宿命を持った存在なのだ。
(そういう意味でも「神」だね。永遠に生き続けるという点で)

侵略戦争の果てに

この星は、元々「シャラノイア」という星だった。そしてそこに住む人々の事を「シャール」と呼んでいた。
すなわちジェノム=元シャールという表現をする事が出来る。
そして「ラ・シェーラ」という名前は、侵略者が元いた惑星「シェーラ」の新しいもの、すなわち「新・シェーラ」という意味である(NewYorkみたいな)。
故に、ラシェーラの人の事を「シェール」と呼ぶ。
シャールは、争い事を好まない人達であった。
というのも、第五紀ともなると、そこに住まう生命の質は格段に上がっており、人々は心を通わせて争い事を好まない、調和の取れた世界になっているためである。
そこに来たシェールは、この世界の人々を皆殺しにし、自らの住処を確保した。
彼らは、自らにとって不利益となる知的生命の全てを排除する計画であった。

それに対しシャールは、最初は応戦していたものの、彼らに抵抗するほどこの惑星が傷つく事を辛く思うようになり、一時撤退を決断する。
だが、彼らの「一時撤退」作戦は、決してこの星を離れる事でも、降伏することでもなかった。
彼らはシェールの特性をトコトンまで調べ上げ、彼らが絶対に気づかない方法によって隠れ潜む事に成功。
シャールは自らの三次元ボディを手放し、身近な動物…それも、シェールが生かすことを決めた種と完全同調をし、潜伏したのである。
それが、第六紀のジェノムに繋がる。

この計画を推進、実行したのは、第五紀当時、シャールの賢者(大老)であったCOSAL(コーザル)である。

第六紀における共存

シェールはこの星を勝ち取った。そしてシャールは滅びた。
この時から、この惑星は第六紀となり、シャラノイアからラシェーラへと名前も変わった。
シェールは、最初のうちはこの惑星でそこそこ暮らしていたが、すぐにまた争うようになった。
また、この新しい惑星になじめない様々な特性により、弱い者から淘汰された。
そして何度も火種を作り、殺し合い、次第に文明は衰退していった。
ある程度の衰退を迎えたとき、シェールは今まで気づかなかった存在が身のまわりにいることに気がついた。
それが「ジェノム」との初邂逅だった。
この頃既にシェールは、大昔、この星の住人だったシャールと戦争をしたことなど、誰も覚えていなかった。

「ジェノム」のお披露目

この時代(侵略から1~2千年後)に「ジェノム」という存在を、シェールの前にお披露目したのは、やはりコーザルだった。
というより、彼の一時撤退作戦はこの時まだ続いていたのである。
コーザルは、シェールがシャールの事を忘れるまで待ったのだ。そして、誰の記憶からも消え去ったこの時、シェールの前に姿を現すように仕組んだ。
それによって、シェールはシャールを「ジェノムという不思議な存在」として発見するに至った。

ジェノムはシェールと同調することで、シェールの潜在能力を活性化させた。
シェールにとっては、体力を使われたり、時には支配されてしまう厄介な存在だったが、それ以上のその「力」に魅了された。
「力」が全てのシェールにとって、ジェノムが必須となる社会に転換するのには、さして時間はかからなかった。
こうして、シェール(人間)とジェノムとの蜜月が始まったのである。

コーザルの想い

コーザルは決して、シェールと仲睦まじくラブラブする為にジェノムのお披露目をしたわけではない。
もちろん表面上はそう見えるようにしていたが、その裏側ではシャール復権の為に手を施していた。
ただ、既に何度か輪廻転生を繰り返している普通のジェノムにとっては、そんな事は知るよしも無い。
ジェノムとして、人間と仲睦まじく暮らしていた。

コーザルが行っていたのは、シェールの魂のレベルのランクアップを加速させることだった。
その為に、シェールよりも高位の存在であるジェノムを精神に住まわせ、内側から成長させようとしたのだ。
この行動はゆるやかに、しかし確実に実になっていた。
まず一つめは、人間がジェノムと対話することによって、徳が積まれていた。
人々は、昔に比べて遙かに平和的で文化的になり、隣人を愛するようになった。

だが、そう簡単に目標に達することはない。
コーザルは試験的に数体の人間型ジェノムであるヒトガタを入れてみたところ、やはり人々はヒトガタを排除した。
人々の魂のレベルはまだまだ低かったのである。

コーザルは、人々の魂を昇華させるのに数千年単位の時間がかかることを覚悟せざるを得なかった。
だが、シャール達がこの星のちゃんとした生命として返り咲けるように、コーザルは努力した。

太陽ベゼル膨張の真実

しかし、それよりも早くに終焉は訪れる。太陽ベゼルが徐々に膨張してきていたのである。
最初のうちは、少し強い太陽風が地表に降り、ちょっとした自然現象がある程度であったが、試練の3年間の数百年前くらいになってくるとその猛威は増し、地表の一部が自然発火するようになってきた。
人々はそれに対応するために様々な策を練ったが、抜本的な改革案が出る事は無く、人が住める場所は徐々に減っていくことになる。

この太陽の膨張は、ネロがこの星の中に魂として紛れ込んでいる為である。
それによって、この「宇宙世界」のウェイトバランスが崩れており、6次元的な谷間がこのラシェーラに発生し、周囲の様々なものを引き寄せているのだ。
中でも特に、太陽は近場にあってエネルギーも高いため、目立ってそれが見えているだけなのである。

しかしこの時期、人々もジェノムも、その原因については分かっていなかった。
この星に移住したラシェーラの古代文明そのものも、この事については分かっていなかった。
その為、人々もジェノムも、これは太陽の寿命なのだと思い込んでいた。

だが、コーザルだけは早々にその真実に気づくことになる。

太陽ベゼル膨張の真実

コーザルはこの時、既に惑星の意志一歩手前にまで魂のレベルが上がっていたので、星の苦しみと、その対処方法は有る程度分かっていた。
それは、想いの力によって癒せるのだと。
コーザルはもちろん、ジェノム達も人々ラシェーラ人より1ランク上の生命である。その為、人々には出来ない、想いの力を魔法にする方法を会得している。
その原理はミクロからマクロまで同じであり、すなわち想いの波動の欠損こそが老化と死に繋がるということも感覚で知っていた。
ジェノム達にとって、これは常識であった。

そしてコーザルは、現在のベゼルが正常な寿命ではなく、例えるならば病気のような状態で終焉に向かっているということがわかる。
太陽からの想いを感じ取ることができるからである。
そこから、異世界の魂の混入による「世界の重さの偏り」が発生している事を感じ取ったのだ。

しかし人間はそれがわからない。
コーザルは、この星が助かる唯一の方法が、ネロという存在を遠くに追いやることであると知っていた。
故にコーザルは、ネロの魂に対して今起こっていることを告げ、人々と共にこの星から移動するよう促した。

そしてコーザルは、時の皇帝に移民船を作り脱出するように助言した。
かくして「帝立ジェノメトリクス同調調停院」の下で、箱舟計画は進行することとなった。

ロストテクノロジーの悪夢

コーザルは箱舟でシェール(人々)をこの星から追い出そうとしていた。
要するに箱舟はゴキブリホイホイで、コーザルはシェール全員がこの中に嬉々として入ったら、そのまま宇宙の果てまで連れて行って破棄する予定だった。
だから、箱舟はコーザルにしかコントロール出来ないような設計になっているのである。
そうすれば、ネロと人々は共に去り、またシャールの為の世界を築くことができる。
この惑星を取り戻すことが出来るのだ。

コーザルは箱舟計画を推進しようとしたとき、当時の皇帝を通じて様々なテクノロジを伝授した。
そのテクノロジを実用化するために帝政が発足させたのが、帝立天文学量子波動学研究所、俗に言う天文である。
天文の研究成果は目覚ましく、クラケットの発明したG2管が、箱舟をぐっと現実的なものにした。

だが、後一歩というところで、コーザルの計画は暗礁に乗り上げた。
それは天文側が発見した「地下遺跡」が原因だった。
そこには、太古のシェールが残したロストテクノロジーが、今だ稼働可能な状態で残っていたのである。
そのロストテクノロジーとはまさに、この星にシェールが移動してきたときに使った装置「グランフェニックス」だった。
時の帝国は、この発見を重大な機密事項とし、厳重に管理した。
そして天文でも地文でもない第三の機関「ジェノミライ研究所」を創設、その「グランフェニックス」の調査に当たらせた。

その時代、実際天文も地文も、箱舟計画発足から数十年が経過しており、かなり疲弊していた。
また、民衆の不信感も大きくなっており、箱舟計画自体がかなり疑問視されるようになっていたのだ。
ジェノミライ発足当初、実は天文のみならず地文ですら「グランフェニックス」に大いなる期待を寄せていた。
だが、解明を進めるにつれて、地文はその期待を反対へと変えていく。
当然そこにはコーザルの精神操作があったことは言うまでもない。

グランフェニックスを推進するか否かで、天文と地文は真っ向から対立し、事実上両者は分離。
ジェノミライ研究所は、天文地文双方の同意の元での運営が前提であったため、その後しばらく中を浮いた後に解散させられた。
しかし、研究所の成果と更なる継続は、天文によって引き継がれることとなる。

影では暴かれていた真実

その後、シェルノトロンの普及により、人々はジェノムの「洗脳」から解き放されつつあった。
イオン達が挑む、最後の「皇位継承の儀」が行われた時期は、まさにそのゆらぎが最大になった頃であった。
というのも、ジェノムと同調をしなくなった科学者が、この世界についてようやくまともな研究を始めたからである。
その第一人者といえば、次元航行論を打ち立てたクラケット博士だろう。博士はトロンの生みの親でもある。

天文がグランフェニックス計画を推進するようになるきっかけには、ネロと古代文明の発見がある。
そして、この発見からまもなく、天文の一部の科学者によって、太陽膨張がネロによって引き起こされていることを知ることになる。
しかし、この時期既にシェルノトロンが全世界に普及しており、今更ネロを元の世界に戻すことなど不可能であった。
それはすなわち、天文の権力が完全に失墜することに他ならず、決してそんな事は許されないことであった。

天文は、ネロをこの惑星に捨てて、人間だけで新たな惑星に移住する算段だったのである。それがグランフェニックス計画の真実。
しかも、グランフェニックス計画を必ず成功させるために、ネロとは違う、新たな7次元の魂を連れてくるという暴挙に出たのだ。
既に歪んでいることを知っていて尚、なぜ更に歪む様な事をするのか。
ネロにはラシェールフューザーを謳ってもらえないからである。ネロは既に過去に一度謳っており、その酷さやその後の辛さを全部知っている。
だから、協力は期待できない。それよりも、新しい魂に謳ってもらう方がよほど可能性が高い、というわけである。

この星がまだ生き延びようがそうでなかろうが、天文研究者にはどうでも良かった。
それより、太古のテクノロジーである「グランフェニックス(惑星間移動装置)」の方が、この星の未来に希望を託すより確実に、人類を救うことを確信して止まなかった。
なぜなら、自分たちの本当の母星であるシェーラから、このシャラノイアに確実に移り住めたという前例があるのだから。

箱舟計画中止と、惑星再生計画の提唱

天文が離脱したことで、箱舟計画は頓挫した。
地文だけではこの船を完成させることは出来ないためだ。
だが、コーザルにとってそれは必ずしも危機的状況ではなかった。既に次の策があったからだ。

コーザルは今まで、歴代皇帝専用のジェノムとして、皇帝としか同調しなかった。
だが、先代(イオンの一代前)の皇帝が任期途中でコーザルとの同調を解消し、シェルノトロンに転向したことで、コーザルはその時フリーだった。
地文が秘蔵っ子カノンを出してきて、カノンの声帯がコーザルに適応できる事を確認できたとき、コーザルはこれを利用して人々の心を掴むことが出来ると思った。
そして皇位継承の儀の10年ほど前のこと。
10年に1度と言われるガンマバーストが発生し、もはや大災害は避けられないと言われたときがあった。
その時なんと、まだ幼いカノンが、そのバーストを太陽表面で沈静化してしまったのである。
人々は本気で驚いた。そして、その後の地文の発表は更に人々を驚かせた。

「カノンとコーザルは、民衆の力を借りることで太陽の正常化を為し得るだろう」

地文は「セーブ・ベゼル」計画を発表し、人々に計画参加を求めた。
セーブ・ベゼル計画参加者は無条件で助かる。方法は、ジェノムと契約し、地文に在籍するだけ。
更に、今まで差別されていた声帯の潰れている人や、声は出せるが帯域が狭い人は、薬によって無償で広げるといった政策まで行った。
そしてカノンが皇帝になった暁には、皆でチェインして謳い、太陽ベゼルを正常化するというのである。

事実上の神の子の登場で、世界は真っ二つに割れた。当時は天文全盛だったが、助かりたいと思う人々中心に、地文への逆流が発生した。
その一年前にシェルノトロンが発表され、人々に浸透している最中の事だった為、人々は「今を大事にする人」と「惑星を救おうとする人」とに分かれた。

そしてそれから8年後、天文は遂に満を持して、隠し球を発表する。それがグランフェニックス計画であった。
天文はグランフェニックス計画と一緒に、1つ、地文に対する攻撃的な糾弾を行った。
それは、現在地文が推進するセーブ・ベゼル計画はとんだ茶番である、ということ。
有力関係者のリーク情報で、カノンの謳う詩によって人間の魂は抹消され、身体はジェノムに乗っ取られるというのだ。
すなわちそれは、ジェノムが人間を支配するための策であると。

こうした中で、実質「ジェノムと共にホシを護る」か「人間だけ別のホシへ逃げるか」の2択を決める儀式となる、この星で最後の「皇位継承の儀」が開幕となった。

ジェノミライプロジェクト概要

ジェノミライプロジェクトは、帝立ジェノメトリクス同調調停院(地文)と帝立天文学量子波動学研究所(天文)が共同で発足させた、「箱舟計画に代わる画期的な惑星救済手段を研究する機関」である。
ジェノミライは、天文と地文がまだ分裂する前、今から約20年前に発足された。
設立当初のメンバーは十数名。その中でも中心的人物であったのが、以下の2名である。

  • ウンドゥ・クインクウェイム
  • クラケット・パルミウム
ジェノミライの発端は、ウンドゥによる地下施設(ロストテクノロジー)の発掘によるものである。
この頃既に、天文地文両者共に、箱舟計画を挫折しかけていた。そんな時だから、ダメ元でこのロステクに賭けてみたわけだ。ウンドゥはこの後、クラケットという天文科学者のスカウトを申請する。 クラケットはG2管を発明した「時の人」であったが(後述)、彼自身の人柄などは褒められたものではなく、周囲からは煙たがられていた。その為研究実績の割に評価も報酬も低かった。
売れない研究者に子供が一人。母親は他界。結構貧乏な生活だった。
クラケットは上の命令でG2管の開発をしていたが、本人が本当にやりたかったのは真空管の研究などではなかった。
本当に取り組みたい研究は、彼が自主的に、定期的に提出している論文を見ればすぐに分かる。
その論文題目は「精神波の干渉による多元世界間の移動について」。
ウンドゥはその研究に目を付け、ジェノミライに来ないかとヘッドハンティングをしたのである。
当時G2管の研究は、輝かしい時期は通り過ぎていて、しかも政治的圧力により暗礁に乗り上げていた(※後述)。
元々こういう面倒くさい事が嫌いなクラケットは、もうG2管に対する熱意は完全に無くなっていた。
そんな中でウンドゥのスカウト。それも本当に自分がやりたい分野の研究である。彼にとって、こんな素晴らしい話は無かった。 ウンドゥ自身は身元不詳の研究者である。同じ地文、ジェノミライの同僚でも、ウンドゥの素性を知る者はいない。
ただ、彼はジェノムの扱いは超一流であり、ジェノムと人間の交流、そしてジェノメトリクスを科学的に証明した第一人者である。
しかし彼は、自分の名前を表に出すことは一切許可せず、普通の科学者が名声を売りたいと思っている中で、彼だけは誰にも名前を知られないように研究をしていた。 その後、ジェノミライに二人の若手研究者が参入する。
  • ネプツール・プランク
  • グレイコフ・リアノイト
グレイコフは調停院入院後、このプロジェクトに配属され、ネプツールは天文に入所後、このプロジェクトに配属された。二人は同期だった。
そして二人とも、ウンドゥの目に留まりスカウトされた。 この4名が、世界の命運を握ることになる「ジェノミライ」の主要メンバーとなる。

ジェノミライ以前の関連史など

まずは、ジェノミライが発足する前までの、天文と地文の研究の歩みについて。

ジェノムと巨大装置との融合手法として研究されたG2管

箱舟計画にとって、最も重要視された研究開発が「G2管」である。G2管とは、後に「シェルノトロン」と呼ばれるものの前身である。 ジェノムはそれ自身が持つ力が力の全てだから、それが最大のアッパーになる。
もしジェノムが、外から更に大きな力を得ることが出来るのならば、もっと大きな事が出来る。
この構想を元に研究開発されたのが「G2管」である。
G2管は、当時の皇帝を介して最高位のジェノム「コーザル」から啓示ヒントを受けて研究が進められ、実際に発明したのはクラケット。
G2管がジェノムとメカを繋げる仕組みは、ジェノム同士の詩魔法増幅手法である「チェイン」を利用したものである。
G2管の裏側には巨大なシステム(後にクラス・ドライブと呼ばれるライブラリ)があり、ジェノムがG2管にチェインすることでその力を使うことが出来る。 このG2管の開発は、箱舟計画における最も重要な研究として位置づけられた。
なぜなら超長期的な箱舟の運行計画に際し、ジェノムの力とこのG2管があれば、現実的な制御が可能になるためである。
箱舟のような巨大施設を滞りなく、また予期せぬ事態に瞬時柔軟に対応させるには、人間では無理である。
またG2管を使いジェノムに制御させることで、更なる付加価値も望める。
例えば理屈上では、ジェノムの「脳内の想いを具現化する力」を超拡大することで、箱舟を有機的な惑星のように活動させることも可能だ。
もちろんそれが可能なジェノムは限られている。当時、皇帝ジェノムと言われ、特殊な声帯を受け継ぐ皇帝のみが扱えるジェノム「コーザル」のみである。 とにかく、クラケットが主体となって完成させたこのG2管は、天文は当然、その母体である調停院からも大絶賛を受ける。
クラケットはこのラシェーラにおいて、更に「時の人」となったのだ。

シェルノトロンの黎明と混沌の始まり

ここまでは良かった。だがその後、クラケットの飽くなき探求心は、行きすぎた研究へと突き進む。
クラケットはひらめいてしまったのである。
G2管はジェノム同士の「チェイン」を擬似的に再現するもの。だがジェノム同士の「チェイン」も、人間との「同調」も、ハードウェア的には同一の器官で行われる。
だからこれを応用すれば、人間が直接G2管にアクセスできるようになるのではないだろうか、と。
これはクラケットの単純な興味本位の研究でしかなかった。だが、この研究がその後のラシェーラ文化にパラダイムシフトを起こすほどの事態を引き起こす。 G2管は少しの改造で、人間との同調を行うことが出来た。だが当然、ジェノムの本体に当たるものがG2管側に無いため、単純に繋がっただけだ。
その後クラケットは「意志はなくても単純動作をする回路」をG2管の後ろ側に構築することで、ジェノムのように柔軟ではないが、単一の効果を発揮する装置「G2-DH管」を作った。
要するに、人間はジェノムを使うことなく、巨大なシステムを「思うだけで」制御する術を手に入れたのだ。
このまま文明が進化し、より柔軟なコントローラを開発出来れば、ジェノムが必要なくなるのである。 生粋の科学者であったクラケットは、ただ純粋にこの研究に酔いしれ、世紀の大発明と考えた。
それは確かにその通りだった。だが、それと同時にこの研究は、この時期のラシェーラの「モラル」に完全に抵触していた。
地球文明でいうところの「科学と宗教的タブーとの対立」…例えばクローン人間は理論的には可能だが倫理的には不可、といった事に近い事が起こった。
調停院がその研究を危険視し、停止させたのだ(もちろんその裏側では、コーザルが糸を引いていた)。 この事についてクラケットは、一気にG2-DH管に対する熱が冷めてしまった。
元々「本当にやりたいこと」から少々ずれるこの研究は、ちょっと障害が発生すれば冷めても不思議は無いものであった。
クラケットは天文の後輩にこの研究を受け継がせて、自分は窓際に引退し、自分の本当にやりたいこと、すなわち精神波と次元論の理論完成にいそしんでいた。
そんな中、タイムリーなことに、ウンドゥからヘッドハンティングを受けたのである。

ジェノミライ・プロジェクトⅠ

超法規的な研究所の発足

ジェノミライは、天文と地文の庇護の元、今まで禁止されていた様々なことを許可した研究プロジェクトとして発足した。
ジェノミライの研究所は地文の更に下、地中深くに作られ、ジェノミライ関係者とその家族、場合によっては親族全て、その地下に住むことになる。
(後に更に厳しくなり、中心研究者であるウンドゥとクラケットは全家族を剥奪される。尤もウンドゥには家族はいなかったが)
その代わり、ほぼ何でもやってみたいことはやって良かった。このような研究所を作るくらい、既に天文地文、箱舟計画自体が暗礁に乗り上げていたのである。 さて、ジェノミライ研究所がなぜこれほどまでに特殊な機関なのか。
それは、取り扱う研究と調査が、この世界の常識を根底から覆すものだらけだからである。
ジェノミライの目的は、失われた太古の技術を解明していくことにあった。
クラケットがスカウトされた当時、既にさわり程度に解析は進んでおり、その結果、このロストテクノロジーが瞬間的な惑星間航行術であることが分かっていた。
そして、ラシェーラ人がこの方法で、この惑星に移住してきたという真実を知ることとなった。
だが、この事実は大変衝撃的なので、ごく一部のジェノミライ関係者以外には極秘となった。
このロステクが箱舟計画に代替する画期的な方法になるか否かは、実行方法の解明が可能か否かにかかっていたのである。 ジェノミライが解明しなければならないロステクは「次元間航行」。
すなわち、物理的に宇宙船で飛んでいくのではなく、空間と空間をくっつけて、一瞬にして別の場所へ行く方法である。
その為に、地下に巨大な施設を創りあげる。
それは、地下深く、遙か1000mの深度に、次元をねじ曲げるための実験施設を作る(今で言う粒子加速器のようなもの)。
そこで様々な実験を、人知れず行っていた。

研究過程

普通の人達が考えると、空間をねじ曲げるもの…すなわち機械などを作り出し、その機械によってワープさせる、という形を想像するだろう。
だが、過去の文明は違った。もちろん、この世界に「詩魔法」というものが存在する事を前提としても、普通の人は詩魔法でワープしようとか考えない。
彼らの考えはこうだ。 「この世界全体を手のひらで転がせる人間を召喚し、その人間に詩魔法を謳ってもらう」 途方もない計画のように思うが、過去の人々は、これが一番の近道であると踏んだのだろう。
まず実証実験として、この世界にいる普通の謳い手に謳ってもらい、その詩によって、ごく近くの空間同士をくっつけるという実験が行われた。
そして段々とその規模を上げていった。
この時、クラケットが天文時代に発明したG2-DH管(現在の「シェルノサージュ管」の前身)が大変役に立った。
ジェノム+人間の力では、ちょっと距離を遠くすると、すぐに不可能になってしまったからだ。
ジェノミライは天文の研究していたTzWを用い、従来のジェノムでは到底出し得ない力をG2-DH管との同調で可能にした。
そして、少なくともこのラシェーラの圏内であれば、移動可能という所まで来たのである。 だが、そこから先が難しかった。「先」というのは、3次元空間の距離ではない。次元の距離である。
4、5、6次元といった、上次元軸における移動は、既にTzWですらそれに見合う力を得ることは出来なかった。
そして古代の文明では、ショッキングな方法でそれを為し得ていたのである。
それは、「TzWの力による詩でこの惑星の物質を量子化し、その量子化したエネルギーを使って時空間移動の詩を謳う」というものである。
簡単に言えば、1つめの詩で物質を超質量まで潰し、原子を完全にクオークレベルまで均一にする(ブラックホールと同じ)。
そしてそれはもはやエネルギーであるので、そのエネルギーを使って、次元間移動を実現する詩を謳うのである。 その後の解明で、この惑星を覆っている幾重にも重なるリングは、「惑星を潰すためのもの」であることが分かった。
しかし、そのリングを実行して実験するわけにはいかないので、同様のミニ版を作り、地下で実験を続けた。
移動の為のエネルギーを得るのに必要な物質量は、10cm程度のものを4次元移動させるのに直径10mの物質塊が、7次元移動で1000mの物質塊が必要だった。
ジェノミライは4次元から順に、移動実験を進めていった。
エネルギーには、地下数キロの地殻がそのまま使われた。その為、地面はマンガのチーズのように穴だらけになっていった。

天文地文の分裂と口封じの強化

最初はさほど関心の無かった天文地文でも、ここまで来ると大騒ぎになる。
この現代の常識を遙かに超えた実験が、着実に解明し、実証試験が成功してきているのである。
この事に関して、地文側は危機感を覚えた。特にG2-DH管について、ジェノムを人工的に創り出す技術であるとみなした地文は、この研究の中断を命令したのである。
それは、ジェノムという生命の冒涜であり、人間が神聖なるジェノムを真似て、愚かな偶像を作っている、というのである。
だが逆に天文がこれに猛反発。未来を変える事になる研究が成功の道を歩んでいるのに、なぜそれを古典的しきたりによって止めるのか、と。
そして天文と地文はこの意見について平行線となり、遂に決裂する。
この時点で、天文は箱舟計画から撤退する。
だがジェノミライ研究所は両者の合意がなければ、その事業の左右を決定する事が出来なかったため、「事後処理」としてその後もグダグダと話し合いが続いていった。 そんな中でも少しずつ、小さいことから協定が結ばれていった。
その中で決定されたことの中に、この研究所の存在を徹底的に機密にする、というものがあった。
その決議によって、その計算と理論、実験結果が絶対に外に流出しないよう、ウンドゥとクラケットの2名は完全隔離された。
特にクラケットに関しては、唯一の肉親である娘、ウラシルとの永遠の別れを強く促される。
もしくは、全ての記憶を失い、普通の人生に戻るかどちらか、というのである。
クラケットはほぼ即答でウラシルとの別れを選択した。もちろん、ウラシルが完璧な生活保障を受けられると聞いたから、である。
こうして、この地下で行われている実験は、誰の耳にも触れることはなくなった。
地上から見れば、巨大なファンが地文の最下層にあるだけ。
このファンは地下の穴が陥没しないように、常に地下の空気圧を3.6気圧にするものだが、地上ではその理由が分からないため、様々な都市伝説が生まれた。 結局ジェノミライ研究所についての決着が着き、閉鎖となるのは、発足から10年が経過した後のこと。
研究所での大惨事「ジェノミライ・パンデミック」が発生してケリを付けなければならなくなってからである。

天文による端末「G2トロン」の発表

地文と分かれた天文が何をしていたかというと、前にクラケットが天文で開発していた「G2-DH管」の研究であった。
そもそも天文と地文がケンカした一番の理由は、この「G2-DH管」である。地文はこれを「生命の偶像」と言い、天文は「輝ける未来の象徴」と言った。
天文が地文と袂を分かつ理由は、このG2-DH管による、独自の「人工ジェノム」を創り出す為であった。
天文は分離から1年後、商用端末として「G2トロン」を発表した。これは帝都民から驚きの眼差しで受けとめられた。 クラケットはジェノミライ研究所でこの状況を見ていた。
そして彼は激怒していた。
クラケットにしてみれば、G2-DH管+プログラムなどといった半端なものを公に販売するなど、あり得ないことだったからだ。
この怒りは、後にシェルノサージュ管を生み出すことになるが、その課程で大きな代償も生むことになる。

太古のシーカーの召喚実験

天文がG2トロンを発表してから1年後、ジェノミライ研究所の研究は大詰めを迎える。
ジェノミライのPhase1計画の最後、「この世界を手のひらで転がせる人の召喚」である。
これが誰かと言えば、この世界の外にいる生命のことである。この世界の外、といっても様々なレベルがある。
だが、ここで必要なのは外宇宙の存在。すなわち7次元の存在であった。 本来ならばその生命を呼び出すためには、7次元の穴を開けなければならないのだが、ウンドゥは1つの仮説を下にそれを回避した。
それは、数千年前に母星からこの惑星に移り住んできたときに謳った詩姫の精神が、まだこの世界に存在するはず、というものであった。
詩姫の魂は、7次元先の世界と繋がっており、更にこの世界の波動(H波)に変換されている。
変換された波動は、あたかもこの世界に自然に存在する波動と同様の振る舞いをするが、実際は全く無縁の存在。
この世界のH波によってその波動が削られることもなく、変化することもなく、そして今でも7次元先と繋がっている為に、そのままの状態で硬直しているというのだ。 それが本当なら、ボディを用意すればまたその娘の魂を封入する事が出来る。
そしてその試験において、理論通り、外宇宙の「誰か」のSHWが召喚され、そして用意されたボディとリンクしていった。
Phase1は一見、成功したかに見えた。

シェルノサージュ管によるコンタクト

ボディは少女の形をしたものが使われた。
その少女のボディに命が吹き込まれた。
7次元先から来た彼女は「ネロ」と呼ばれるようになった。 ネロは虚ろに目を明け、ぼーっと周りを見回した。
皆、成功に胸を躍らせていた。
主要メンバーであるウンドゥ、クラケットは、万一の事態を想定して、遠いところからカメラ越しにこの様子を見ていた。
ネプツールとグレイコフは、この最重要機密実験には参加できなかった。
そして、ネロを移送したり、現場で機器を制御したりする役割は、帝国機密情報局「PLASMA」の隊員が行っていた。 だが1つの問題が発覚した。
ネロはずっと、ぼーっとしているだけで、感情を表に出すこともなく、喋ることもなかった。
それが何日も続いたのだ。
このままでは、連れてきたはいいが、詩を謳わせることもできない。
そこで、今彼女の中で何が起こっているのかを究明する為に、心の中に入るものを作ることになった。
それは、G2-DH管の応用で作られた。 元々のG2管は、ジェノムと人間の意志疎通を潤滑にする…すなわち、回線の強化(波導増幅と帯域幅の拡張)である。
ならばそれは、彼女をジェノムとして見立てれば、同様の理論で可能な筈であった。
だが実際は、理論通りには物事は運ばず、ほぼ一から回路を設計し直すこととなった。
そして1つの、ネロとのコンタクト専用の管が完成した。
クラケットはそれを「シェルノサージュ(=少女の世界)管」と呼んだ。 シェルノサージュ管によって、彼女とのコンタクトは出来たが、やはりそこからの情報は得られなかった。
なぜなら、やはり心の中でも彼女は「話さなかった」からである。
だが、別の解決策は見えてきた。
彼女はシェルノサージュ管を介することで、ほぼジェノムと同じ機能を有するようになったのである。
会話は交わさなくとも、同調した状態で想いを募れば、それをネロは力に変えてくれた。 本来は、ネロが「謳い手」であり、ジェノムもしくはG2-DH管が力を与える、という計画でいたわけだが、
それが、ネロが「ジェノム」であり、謳い手は誰でも良いかもしれないのである。 だが、これもまた上手くいかない。
大した出力は出せなかったのである。
ネロが同調相手に殆ど心を開かないため、通常以上のパワーを紡ぎ出すことは難しい。
当時発売されていたG2トロンよりは遙かに上だが、この研究用にカスタマイズしたG2-SH管に比べたらゴミのようなものだった。
これでは、仮に彼女がこの世界を手のひらで転がすように自由にコントロールできたとしても、詩によってそれを具現化する事は出来ない。 そこで次に考えたのが、「〝ネロの遺伝子を利用した生命〟との同調によって、通常の(赤の他人による)同調より警戒心を和らげる」方法であった。
要するに、ネロと同調するためのネロダッシュを作る、というわけである。

ドゥドゥ・ノエチウム(カノン)

その為に専用の人間を「作る」事になった。
管はクラケットの専門だが、遺伝子操作となればウンドゥのオハコである。
こちらはウンドゥが取り仕切る形で研究を行うこととなった。 一から人間を培養するのは大変なので、まだ生まれたての子に対し、ウイルスを投与する形で行われることになった。
ウイルスの名前は「gRNAウイルスα」。
ウイルスの生成は、ネロの遺伝子を使い、その遺伝子を人間の遺伝子の中に自然にとけ込ませる形をとる。
だが、人間とネロの遺伝子は微妙に、しかし決定的に異なり、完全に融合する事は出来なかった。
その為ウンドゥは、2重螺旋にもう1本別の螺旋を追加し、それぞれの螺旋間に「人間としての機能をする塩基対」と「ネロとしての機能をする塩基対」を張ることにした。
その特性上、その人間は3重螺旋を持つ事になる。
ただし、本当の3重螺旋のように、3つの螺旋相互に塩基対が有るわけではなく、2箇所の間にしか張っていないため、完全な3重螺旋ではなかった。 その特性が問題を発生し、被験者となった子が何人も命を落とした。
そして、遂にピッタリとはまった子が誕生した。彼女は「gRNAウイルスα229」というマイナーバージョンによって成功したため、
「ドゥドゥ・ノエチウム」と呼ばれることになった。

ジェノミライ・パンデミック

様々な予備実験を経て、いよいよネロとドゥドゥ・ノエチウムとのファーストハーモニクス実験が行われる。
本来、ファーストハーモニクスはある程度年齢が上がったときに、自我によって行うものであるが、今回はそれを待っていられないため、サポート付きで行われることになった。
ファーストハーモニクスはすんなりと成功した。今までと同じように、ネロはドゥドゥ・ノエチウムを受け入れたのである。
そして、今までの誰よりも、莫大な力を引き出すことに成功したのである。 だがその直後、悲劇が襲いかかった。
皆がそれぞれの場所で、世紀の大成功を目に焼き付けている最中、それは起こった。
ネロがもの凄い勢いで咳をし始め、血の霧を吐いたのだ。
自身の遺伝子と同調したことが問題だったのか、そもそも設計ミスなのか。
ウンドゥ、クラケット達はこの世の終わりのように取り乱したが、その後、そのネロは落ち着いた。
しかし、それは悪夢の始まりに過ぎなかった。 直後、警備のメンバーはバタバタと倒れた。
最初、何か分からなかったが、それは次第に外側に広がっていく。
近場の人々が皆、急に倒れて昏睡していくのだ。
ウンドゥはすぐに察知し、地下施設の全ての空調を止めさせた。その予測は正しく、被害は次第に緩くなっていった。
間違いない。細菌かウイルスの類がばらまかれたのだ。 画面をのぞき込むと、少女はぼーっとこちらを見ていた。
そしてまた、苦しそうに咳をすると、血の霧を吐き散らした。
ドゥドゥ・ノエチウムはすぐ隣に倒れていた。もう彼女の命は無いものと、誰もが思っていた。

事後処理

この一瞬とも言える時間の中、地下研究所における6割の人々がウイルスに感染し、倒れた。
この地下研究所は幸い、気圧を上げるために地上から送風している。お陰でこのウイルスが地上に漏れることはなかった。
だが、ネロが生きている限り、このウイルスは発生し続ける可能性もある。
ネロを観察していると、血を吐いてはいるものの、当の本人は弱っていなかった。
元気があるわけではない。元々ボーッとしており、だが、部屋の中をウロウロと歩き、活動をしていた。 とはいえ、ここまでウイルスをばらまき、現在進行形でばらまき続けている少女に、PHASE2の研究などが出来るわけがない。
研究施設内の殆どの人々も倒れてしまい、研究所自体も機能しなくなっていた。
自体を重く見た天文地文は、ジェノミライに対し実験の中断を命令し、このパンデミックを収束させるためのあらゆる手段を講じるよう命令した。 特に、ネロはすぐさま処分せよとの命令だった。
その役割はウンドゥが行うことになったが、ウンドゥは当時、(研究対象として)ネロを処分するのは惜しかった。
そこで、別の部屋に隔離し、処分したことにした。
ウンドゥはネロが吐き出すウイルスをサンプルし、それを研究した。
そしてそれを元にクラケット達とワクチンを創り出し、状況を回復していく。
(尚、このウイルスの研究データは、後にジルに託され、アストロサイト・モジュラトリ・ウイルスとして応用される) その後、ネロが生きていることはクラケット、そして天文の一部にもばれてしまう事になるが、
天文はそのままネロを生かしておいて良いという判断をした。
その真意は謎であったが、後にすぐに分かることとなる。

天文吸収後

そして天文へ

1年ほどの時間を使い、ジェノミライ研究所の除染はほぼ完了した。
除染が完了した事を知った天文地文は、ジェノミライ計画は失敗であったという事で、ジェノミライを解散させる。
この時既に、天文と地文は箱舟計画で決裂をしていたのだが、ジェノミライは行政上は天文地文の共有施設であり、それを解体するには両者の同意が必要だった。
今までは主に天文が強く推進を進めていたため、解体したかった地文と争い続けていたのだが、遂にそれに終止符が打たれたのである。 当然だが、この件について、地文の中では反対する者はいなかった。
地文は既に天文と分かれた際に、このジェノミライ計画、すなわち時空間をねじ曲げるような行為は人智を越えるものであると判断し、禁忌としていたからだ。 だが天文は、その技術が惜しくて仕方なかった。
特に「シェルノサージュ管」に関しては、G2トロンの次を担う、次世代端末として利用したかった。 その後、ジェノミライの研究者達は天文から秘密裏にオファーがあり、天文へと流れていった。
核となっていた4人にも当然その声はかかった。だが、ウンドゥだけは頑なに拒んだ。
この時、クラケットとウンドゥは天文のやり方に関して真っ向から対立し、大げんかをしている。
パンデミックからの1年間、ジェノミライは天文からの指示に従い、除染と事後処理を行っていた。
その方法が余りに酷だったのである。
感染者を全員焼却するよう命じ、全てのシステムは解体された。
書類は押収され、天文の管轄する極秘の書庫へと入れられた。
だが、ネロに関しては「焼却」ではなく「保護」という命令になっていた。
実際はといえば、ネロを研究所内で見つけることは出来ず、天文の部隊は撤退することになる。 その後天文はクラケットに、ウンドゥに対してネロの居場所を聞き出すように命じられる。
天文にとって、シェルノトロンは今後の命運を左右するものであり、それにはネロが絶対に必要だった。
天文はその為に、ネロを天文側に隔離するつもりだったのである。
だが、クラケットはウンドゥと大げんかをした後でもあり、それを拒否した。
それでも天文はクラケットにウンドゥを説得して吐かせるように命じ、クラケットは渋々それを行った。
結局クラケットはウンドゥの口を割ることは出来ず、天文の交渉人が代わりにウンドゥと交渉をした。 交渉人はウンドゥを尋問し、ウンドゥは仕方なくネロの居場所を伝えた。
交渉人はウンドゥに対して悪くない条件を出した。
ネロは自由にして構わない。天文はネロを奪わない。だが、それには条件がある。
ネロがシェルノトロンとの同調を切らない限り、だ。君はネロとシェルノトロンを同調させておけば、それで後は平和に暮らせる。
ウンドゥはそれに同意をし、誓約書を書かされた。 クラケットとネプツール、グレイコフはこの後、天文でシェルノトロンの研究をすることになる。
だが、クラケットは心を壊して1年で天文を去る。
その後、シェルノトロンは「ネロ」という名前を隠し、先進的な人工生命体「レオン4213」を搭載した、ジェノムのような端末、として発表された。
そして、それを普及すべく天文が100%出資して作った会社「Tzチューブカンパニー」が発足。
ネプツールとグレイコフは、共にこのチューブカンパニーを取り仕切る者として移籍された。 ネロの件は、天文でも極々一部の人々のみが真実を知っている。
そしてそれらの人々は絶対にその事を口外しないよう、常に監視の目が光っている。
それから何年か経過した後、ネプツールとグレイコフが独立したときにも、天文の監視下におかれる事が条件であった。
そして試練の3年間が始まった現在においても、それは継続されている。

ネロ

ウンドゥが天文に行かなかった理由は、ネロのこと、天文が気に入らないこと以外にも、もう1つ重要な理由があった。
それは、地文側から戻ってこいとオファーがあったからだ。
この時期、地文は既に危機感を抱いていた。G2トロンが民衆に浸透し始め、地文の地位が揺らぎ始めていたためである。
G2トロンはジェノムにはない快適さを人々に与えていた。人々の地文離れが起こっていた。
ウンドゥは地文に対しての恩義はあるので、地文からのオファーを受けることにした。
その代わり条件として、ここ(元ジェノミライ研究所)で研究を続けたい旨を伝えた。 地文がウンドゥに依頼したのは、地文の立て直しに関するものであった。
地文は現時点において、カリスマを失っている。
恐らく次のトップ、すなわち調停院の大司教次第では、潰れる事すらもあり得るのである。
故に、今回ばかりはタブーを侵さなければならない。
それは、正当なる継承者ではなく、「確実に勝てる能力者」を大司教に据える事である。
地文はウンドゥに、どんな手段でも良いから能力者を調達して欲しいと伝えた。
例えば、大司教就任前に生身でコーザルと同調出来る存在がいたら、それだけで神後輪も同様になる。 その答えとして、まずウンドゥが試みたのは、ネロを使うことは出来ないか、という事であった。
とはいえ、ネロは今の今まで一言も喋っていない。
そこでウンドゥは、ネロの器質的、精神的両面から精査をすることにした。 器質的な面は、サンプル採取とウイルスの分析、身体の細胞などの分析である。
これにより、ネロのまき散らしたウイルスの分析を更に進め、アストロサイト・モジュラトリ・ウイルスの原型が作られた。
また、gRNAウイルスβに役立つこととなる有力な情報も、この時入手している。 次に精神的な面である。ここでは、ウンドゥの特異的な条件がもの凄く役に立った。
彼は天然のヒトガタ(人間でありジェノムである存在)故に、他の生命と同調することで、内側から精査できるのである。
シェルノサージュ管を用いたネロとのコンタクトには、限界があった。
彼女が心を開くか否か以前に、シェルノサージュ管自身が「ガラス越しのコンタクト」にしてしまっているのである。
それ故に、シェルノサージュ管ではジェノムのように一心同体になることは不可能だ。
そこでウンドゥは、逆に自分がジェノム側の存在となり、ネロという人間と同調する、という事を考えたのだ。
立場の逆転である。 だがそれには、最低限ノーマル状態まで警戒心を薄れさせ、同調を許可してもらう必要がある。
ウンドゥは毎日毎日、ネロとうち解けようと、様々な方法を試みて安心させた。
そして数年が経ったとき、初めてネロとの同調が実現した。
長い年月がかかったが、この廃墟となったジェノミライ研究所で孤独に研究をしている彼にとって、ネロとの対話は心の癒しにもなっていた。

「カノイール(カノン)」という存在の誕生

ネロと同調し、彼女のジェノメトリクスへと入ったウンドゥは、驚くべき感覚を体験する。
自分はヒトガタという事もあり、相当の帯域幅を持つ。だがネロのキャパシティはそれを遙かに凌駕していた。
というより、果てがなかった。全てを受け入れる、とてつもない帯域幅だったのである。
シェルノサージュ管を介してでは、この「果てしない世界」を体感することは出来なかっただろう。 ウンドゥは自分の思惑が正しかった事を喜んだ。地文からの要請には、間違いなくこのネロが使える。
だが問題点は、一言も喋らず、何の感情も出さないことであった。
ウンドゥはそこから更に何ヶ月もかけて、ネロを社会生活に適応させようとしたが、結局それは叶わなかった。
また、天文との契約もくせ者だった。ネロを外に出せば、それと判らぬよう隠していても必ずばれてしまう。
そうなれば、次は何をされるかわからない。 ネロと同調し、毎日ジェノメトリクスに入るうちに、ウンドゥは彼女がこの世界に適応するのは無理だと悟る。
そして諦めかけた頃に、ふと1つの記憶が蘇ってきた。
それは、ドゥドゥ・ノエチウムの事であった。
彼女はネロの吐き出したウイルスを最も近場で浴びた存在であるが、その後奇跡的に回復し、現在も元気に生きていた。 その後、ドゥドゥ・ノエチウムを精査したが、彼女もまたネロの遺伝子を持つ驚くべき存在であった。
そしてネロは、ドゥドゥ・ノエチウムを地文のリーサルウェポンとして引き渡したのである。
尚、ウンドゥは地文幹部に対しては、「ネロがいた頃に培った様々なノウハウを結集し創りあげたウイルスを、この子に投与しDNAを変成させた」と伝えている。
除染をしているとはいえ、ウイルスをモロに浴びた人間であると知ったら、確実に拒否されると思った為である。

若き科学者、ジルとの出逢い

ウンドゥはもう、一生日の当たる研究をすることはないと思っていた。
ジェノミライ研究所は既に閉鎖も同然で、ウンドゥの我が儘で、地文のコネによりここにいさせてもらっているようなものだった。
地文の幹部からしても、ドゥドゥ・ノエチウムという最強の子を創りあげたウンドゥには一目を置かざるを得なかった。
地文幹部はその後も、様々な要求をウンドゥへした。それらは全て、地文の栄華を復活させるために懇願されたものばかりだった。 そんな最中に、地文幹部から一人の助手が、ウンドゥの元に派遣されてくる。
ジリリウムというその娘は、世の中に揉まれて何も信じないというような顔をしていた。
「きっとこの娘は、地文幹部が私の行動を監視するために仕向けたのだ」とウンドゥは思った。
とはいえ、逆らうことは出来ないと知っていたから、ジルを受け入れた。 だが、ジルとしばらく共にいると、どうにも居心地がよい。
今まで一人でいるのが一番気楽で自由だと思っていたが、ジルといる時間の方がよほど好きになった。
そして二人は恋に落ちていく。
ジルが地文からの差し金ではないと確信を持てたある日、ウンドゥはネロをジルに見せる。
そして、ネロを利用し、現在は禁忌となっている7次元理論の完成と、
ネロの持つ様々な有機体から取り出せる新種のウイルスから、今までにない有用性を持った薬を作ることを語った。
ジルはそれを心の底から楽しんだ。 ウンドゥとジルが取り組んだ歴史的なウイルスは2つある。
1つは「gRNAウイルスβ」であり、もう1つが「amRNAウイルス(アストロサイト・モジュラトリ・ウイルス)である。
前者は未完成のまま現在もジルが単独で研究しており、後者は有る程度完成している。
そして前者はウンドゥがジルのために作っていたものであり、後者は現時点では、その副産物でしかなかった。 前者、gRNAウイルスβは、カノンに投与されたαタイプの発展型である。
αタイプは、帯域の増大及び遺伝子鎖数の増加により、ジェノムとの交流が通常の人間よりスムーズに行えるようになるウイルスである。
だがカノンは、地文幹部が完成をせかしたこともあり、急ごしらえであり、1つの大きな問題を抱えていた。
それは、強い想いを持って詩魔法を使う(=ジェノムとの同調率が激しく上昇し、もの凄い量のエネルギーが行き来する)と、
カノンの物理ボディが導力量に付いて来れずにオーバーヒートしてしまうのである。そうすると、高熱を出して倒れてしまう。
これらの機能を改善し、更にすさまじい機能を付ける計画が、gRNAウイルスβの計画である。 gRNAウイルスβは、「ヒトガタ」を人工的に作る事を目標としていた。
カノンは3重螺旋の遺伝子を持つことが出来、後もう少し改良すればヒトガタというところまで来ているのである。
そしてこのgRNAウイルスβを作ろうと思った理由は、ジルが絡んでいる。
なぜなら、ヒトガタになることで、寿命がジェノム並みに延びるからだ。
ウンドゥはジルとずっと一緒にいたかった。ウンドゥ自身がヒトガタだから、ジルの方が遙かに寿命が短いことが辛かったのだ。
だが、gRNAウイルスβは、カノンが持つ欠陥と同じ欠陥が生じ、大切なジルに投与するわけにはいかないものだった。
結局gRNAウイルスβはウンドゥが生存していた間には完成せず、その後ジル単独での研究に受け継がれていく。

悲劇的な運命の始まり

試練の3年間開始から7年前のこと。
ウンドゥがgRNAウイルスβの研究の一環で、データ採取の為、ネロのジェノメトリクスに入った。
そしてそこから悲劇が始まった。
ウンドゥが帰ってこないのだ。何日経っても帰ってこない。ジルは事故ではないかと思い始めた。 実際それは正解で、ネロがウンドゥを支配し、出られないようにしていたのである。
ネロはこの頃、ウンドゥに対して愛情が芽生え始めていた。最初は自分を痛めつける人間ということで恨んでいたが、
その後、数年にわたる二人だけの生活(?)において、ネロはウンドゥを信頼し始めていたのである。
特に、身体と精神が同期できずにウイルスを吐き続けていた最初の頃、ウンドゥはそれを順応させるために試行錯誤した。
ネロは、どうやったかまでは知らないが、とにかくウンドゥがこの重く辛い身体を、今の状態、普通に過ごせる状態にまでしてくれた。
また、処分されるところを匿ってくれたりした。
ネロはいまだに「表現」が出来るところまで到達していないが、ウンドゥのことを慕っていたのである。
そんな中でジルという存在が出てきて、更にネロの力をジルのために使うという。
ネロはウンドゥがジェノメトリクスに入り込んだとき、それを知ってしまった。
ネロはそれによって怯えた。一つは、自分が捨てられる思い、一つは嫉妬である。
そしてそれによって、自分はもう自分の世界に帰れないのではないかという想いが生まれた。
そこで、ウンドゥを心の中に縛り付け、完全同調から分離状態に戻れないようにした。
ネロは、ウンドゥと共に、自分の世界へ戻る術を探すための手段に出たのだ。 ジルは、ウンドゥを様々な事でネロから引き剥がそうとしたが、出来なかった。
強引に離脱させる手法もあったが、ウンドゥまで傷つくものであった。
その後ジルは、ウンドゥとネロのことを伏せながら、地文幹部を騙し騙し、自分の仕事をしながらウンドゥを剥離させるための方法を試行錯誤した。
そんな時、ネロがジルに提案をしてきた。
自分を7次元先へと戻す方法があれば、ウンドゥは返す。残して自分だけ還る。だから協力して欲しい、と。 ネロはその中で1つ、近道を提案した。インターディメンドという方法だった。
だが、この時点ではアルノサージュ管がまだ出来ておらず、過去の文献の中にも、ネロを7次元先から連れてくる装置については書いていなかったので達成できなかった。
そんな最中、シェルノトロン・パニックという事件が発生してしまったのである。

シェルノトロン・パニック

シェルノトロン・パニックは、一瞬にして全シェルノトロンが停止し、世界的な麻痺が発生してしまった事件である。
この原因を天文はすぐに断定することが出来た。それは「ネロ」に何か異変が起きた、という事であった。
天文はこれを、ウンドゥの契約不履行と決め、ただちにネロとウンドゥを拘束する決断がなされた。
だが、「ネロ」という存在の素性、すなわちジェノミライ研究所は既に世界全体としての禁忌として見られており、シェルノトロンがそれに関与しているとバレるのはまずい。
そこで天文は、地文の科学者にその罪をなすりつけ、「シェルノトロンを悪と見る地文科学者によるハッキング」と断定した。 その後、ジェノミライ研究所に天文がガサ入れに来たのである。
ジルはネロ(とウンドゥ)を隠し、自らは逃げ出した。だがその後ネロは、天文に見つかってしまった。
天文はネロの本体を管理研究すべく、それ以降、ジェノミライ研究所を天文の監視下に置いた。
そしてネロは、もう何も出来ないようにシェルノトロンサーバーと呼ばれる装置に繋がれ、冷凍睡眠されることとなった。 関係者は地文から強制的に抹消され、特に関係ない科学者も、カモフラージュの為に解雇された。
ジルもその「さして重要ではない助手でありながら、関係者として解雇された一人」であった。
こうしてジルは、ジェノミライ研究所に入ることも出来なくなった。
だが、彼女はウンドゥを救い出すため、ジェノミライ研究所へ戻る決意をしていた。
そして、その時を研究の日々と共に待ち続けたのである。

天文によるジェノミライ強制捜査についての真実

天文は、地文の研究者が「シェルノトロンに悪質なハッキングをした」と断定し、その処理を行った。
だが真実は、シェルノトロンのマスター…人々には「仮想生命OSレオン4213」と宣言している生命のマスター、7次元先の生命「ネロ」の存在の隠蔽であった。 ネロの事が大衆にバレルと、2つの意味で天文に損害が生じる。
1つは、シェルノトロンがネロを使っていること。
もう1つは、禁忌とされた「7次元生命の召喚」を今後行う予定があること。であった。 グランフェニックス計画で必須項目である「7次元先の世界からの生命の召喚」は、元々ジェノミライ計画で行われたもの。
だが、それは既に禁忌となっており、この地下に封印されている。
それは民衆には公開されていない、闇から闇へと葬り去られた真実であった。
故に、その事を地文に公開されたら天文は終わりである。
更に、その「禁忌となった理由」まで公開されたら、いくら天文とはいえ一気に失墜するだろう。
なぜなら、その時発生した狂気的なウイルスに関しては、全ての民衆が知るところだからだ。 ちなみに、「シェルノトロン・パニック」を引き起こしたのは、当然ながらネロである。
それによって天文は、ジェノミライ研究所を襲ったのである。 こうして「ジェノミライ研究所」は一旦、歴史の表舞台から姿を消すことになる。

ジェノミライ潜伏期

amRNAウイルスと、ジルの転機

ジェノミライ研究所を追われたジルは、その後自分で資金を集め、ウンドゥを救い出す為に奔走する。
最初、様々な遺伝子薬の研究を、各方面の研究所に持ちかけたり営業して回っていたが、あまり成果は出なかった。
その為、ジルは大変な苦労をした。 そんな時、地文派幹部と言う人達がジルの元に訪れ、1つの依頼をした。
それは、amRNAウイルス(アストロサイト・モジュラトリ・ウイルス)の改良と実用化を協力して欲しい、ということだった。
地文は今、ジェノムが全然生まれなくて大変苦労している。そこで、amRNAウイルスによって強制的にジェノムの数を増やすというのである。
amRNAウイルスは、人間に投与すると、ジェノムと宿主との間に沢山の子供を作る。体力とか考えずに限界まで産み落とす事が出来る。
宿主である人間は大抵死んでしまうが、一夜にして10体のジェノムが生まれる。
これをもっと、高効率にして、人があまり死なないように、そしてジェノムがもっと生まれるように改良して欲しいとのことだった。
ジルは、地文もそこまで落ちたか(身の振り考えないようになったか)と思ったが、資金も底をついていたし、地文には世話になったので引き受けた。
amRNAウイルスは副産物であり産業廃棄物のようなものだったので、それがお金に替わるとあれば、これほど素晴らしい事は無い。
ジルはamRNAウイルスによって、更に資金を得ることに成功した。 そんな地文がある日また来て、こう言った。
空想型ジェノムを生み出すamRNAウイルスは自我がない。それを統率する個体を作ることは出来ないか。
ジルは心当たりがあったので、やってみると言った。ただし、完成したときには途方もない成功報酬を要求すると。
地文幹部はそれを呑んだ。こうして出来たのが、shsヘテロマイシン(シャール・スーパーインテンド・ヘテロマイシン)であった。
amRNAウイルス生成時に、認識コードが暗号化されて遺伝子に入っている。
それと同一コードの遺伝子を持つシャールにこの、shsヘテロマイシンを投与することで、同一コードのたちを束ねる事が出来るウイルスなのである。
またそれは、シャールの親玉としてシャールからエネルギーをもらうことが出来る為、実質この世界で独り立ち出来るようになるのである。 地文幹部はプロトタイプのshsヘテロマイシンに多額の支払いをし、更にこれを洗練するよう要求した。
この時の事が転機となり、ジルはフォーシーズンに研究所を構えた。その理由は、高効率にパトロンを得るためだった。
ジルはこの資金を元に、本来の自分自身の研究である、人間のジェノム化を行うウイルス「gRNAウイルスβ」の研究を推進した。
だがジルは、この時まだ気づいていなかった。地文幹部は、実は天文幹部だったのである。
天文幹部がなぜ地文のフリをして、この2つの薬を依頼したのかは、「ジェノミライ・プロジェクトⅡ」にて解説する。

ジリリウムとネプツール

その後は順調であった。ジルはgRNAウイルスβの目処が立ったため、フォーシーズンの富裕層にこの薬をセールスした。
主に中立裕福層に対して「不老長寿の薬」として売り込んだこのgRNAウイルスは、かなりの注目を集める。
そして、このウイルスの開発資金として多額の援助を得ることに成功した。 その投資者の一人に、ネプツール・プランクがいた。
ネプツールは元ジェノミライの研究員だが、ウンドゥは昔の話を一切しなかったため、彼が元同僚であることは知らなかった。
ネプツールは一人娘サーリの為にgRNAウイルスβを欲しがり、特に多額の援助をしてくれた。そのお金はカンパニーの資金からであったが、ジルにはそこはどうでも良かった。
とにかく、ジェノミライ研究所という存在が、この世界では無いものとして扱われているため、お互いがその研究所の出身であることを知るのには時間がかかった。 そしてそれは、ひょんな事から発覚する。
ネプツールがした自慢話が元だった。
我が社は今後、新たなトロンの開発に乗り出す。それが完成すれば、シェルノトロンの5倍以上のパワーを期待できる。
現在のレオンOSは、その潜在的な力の一割も使っていないが、新型トロンは8割以上を使うことが出来るからだ、という事だった。
ジルはネプツールがシェルノトロンとレオンOSについて、一般人程度の知識しか無いと思っていたので、この発言には驚いた。
ネプツールの発言は、暗に、レオンが生命である事を前提とした発言に聞こえた為だ。
そこでジルはカマをかけ、ネプツールにネロの存在についての話をすると、ネプツールはビックリした。 そこから先は早かった。
レオンOS(ネロ)の深層意識にアクセスする方法は、ジルが良く知っていた為、ネプツールはジルへの協力を扇いだ。
そして、新型トロンとなるネプトロンの開発は急ピッチで進められていく。
その目的は、ネプツールは世界を操作すること(支配)であり、ジルはネロとの対話とウンドゥの救出であった。

イオンの登場

それから3年後。そんな時、同じく異世界から来たイオンが現れた。
ジルは裏情報で、イオンがネロと同じ、7次元先から来た生命である事を知る。
7次元先の存在は、この世界を隅から隅まで自由に見る事が出来るのは、ウンドゥからネロの事を学んだ時に知っている。
イオンの力を使えば、ウンドゥとネロを剥離することや、ネロの元へ移動することすらも可能な詩魔法を紡げるかも知れない。
だから、ネイにイオンを連れてくるように命令した。 だが、ネプツールがそれを知ると、ネプツールはイオンに会いたいと思うようになった。
ネプツールはイオンが俯瞰視点を持つ事は知らなかったが、イオンが皇帝になった暁に、その「皇帝の声帯」を持つイオンに、サーリの病気を治してもらおうと思った。
だから、これでもかというくらいにおもてなしをし、ワイロを渡して、皇女の衣をもらおうと思ったのである。 ネイは、ネプトロンの詩を謳う事は約束していたので、どのみちチューブカンパニーには行く用事があった。
しかし本来そこには、イオンは無関係だったのである。
ネイはジルからの命令で、急遽イオンをネプツールの元へ連れて行く事になる。
ネイは最初、カンパニーへイオンを誘導していたが、ネプツールが夢ノ珠の件で暴走し始めたので、警戒してイオンを遠ざける。
だがそれは、ジルにとっても不都合だった。ネプツールはネイが勝手に警戒したとジルに告げると、ジルはネイを叱った。
何でも、もうすぐにでも詩を謳う事になるから、そもそもネイには来て貰わないといけない、ということだった。
そして第三幕ラストで、ジルはネイに、早くカンパニーに行けと命令する。ネプツールを怒らせるな、と。
ネイはジルにネプツールの怪しさを暴露するが、ジルは、やばそうなら連絡してこい、かつ、ネプツールを自力で何とかしろ、とだけ言う。
ネイはしぶしぶ従う。
ネイがジルとネプツールの契約に入っていたのは、とある詩をネイが謳うことだった。それはヒトガタにしか謳えない詩だった。 ネプツールとジルの間でなされていた契約は、ネプトロンによってネロの全てと同調できるようにすること
(シェルノトロンは、ネロの精神世界Lv2くらいが限界だが、ネプトロンによってLv9までのアクセスが可能になる)、
そしてそれと繋がる専用線をジルに与えることだった。
その為には、最後のプロセスとなる、封印された心の扉を開ける事が必要になるが、ネロに対してその作業をするのはあまりに危険が伴う事が判っている。 だがネプツールは、既にジルを出し抜くべく作戦を立てていた。
ネプツールは既にタイプライターでネロと会話をしており、ダイバーが扉を開けたらスワップする事よう打ち合わせていた。
だから敢えて、ネプトロンのセキュリティの一部を外していて、ネロがこっちに出てこれるように設計されていた。
しかしその事自体はジルたちには伝えていなかった。もちろん、スワップ相手がイオンであることも。
ジルは、確かにイオンとネロをスワップすれば、イオンの身体にネロとウンドゥが詰まった状態で受け取れる事はわかっていたし考えもしたが、
ネロのスワップは大変危険であると判断していたので、その線は没にしていた(過去にジェノミライでウンドゥが囚われているし、獰猛な精神である為)。 ネイが聞かされていたのは、イオンは単純に、ネプトロンの起動試験に立ち会ってもらい、この世紀の大偉業を見てもらうというだけの話だった。はずだった。
だが実際にはイオンがダイバーだとネイは知ることになる。
ダイバーとは、魂の交換相手のことである。ネイはネプトリュードが、昔フラクテルが謳った詩の改造版であると知っていた。
しかしその詩によって魂のスワップを行う対象がイオンだとは聞かされていなかった。 ネプトリュードを謳ってイオンがネロとスワップする。これは過去に自分がされたことで、その辛さは良く知ってる。
だからイオンに同情せざるを得なかった。だが、ここでやめることもできない。
しかし、ネロが暴走し始めたことにより状況は一変する。
万事休すの状態でイオンが身を呈してネロを食い止めたことがきっかけで、ネイはイオンを元に戻そうと決意する。
そして再度ネプトリュードを謳う事で、イオンとネロをひっくり返す。

ジルとネイの出逢い、決別

ネイは、ある意味ジルに救われた存在だった。しかし条件付きで。
ネイの身体はシャール(人工量産型ジェノム)だが、それは空想型ジェノムだったため、ネイは誰かと同調していないと死んでしまう状況だった。
だが、ジルはシャールの生みの親でもあり、そのシャールを独立生存できるようにする為のshsヘテロマイシンを持っていたため、ネイは普通に生きられるようになった。
ネイはその代償として、ジルに丁稚することになった。 ネイがジルと共に居るのは、もう1つの理由があった。
ネイの身体を奪ったイオンから、自分の身体を取り戻すためだった。
ジルはネイの話を聞き(ネイは天文の恨み辛みをジルに全部ぶちまけたから、ソレイルの機密も全部喋った)、その方法や元に戻すノウハウを持っていると言った。
その時ジルはびっくりした。 実は、ジルがネイを迎え入れたのは、ネイがシャールボディを身に纏っていたからだ。
ジルはネイがamRNAウイルスで作られたシャールボディを身に纏う、しかし傀儡ではない精神を持つ存在だった為、大変興味深かった。
そしてネイの吐いた過去で更にビックリした。地文幹部にしか流出していないamRNAウイルスをなぜか、天文が持っていてソレイルにあるというのだから。
ジルは地文幹部に連絡を取るが、既に音信不通であった。ジルはまんまと天文にやられた、と思った。
ジルは天文に恨みがある。ウンドゥやジェノミライをとられた。自分の人生をぐちゃぐちゃにした。
その天文が、今度は地文を偽ってamRNAウイルスとgRNAβを奪った。天文には復讐してやらないと気が済まない。
ジルは、天文の件に関しては、刻が来るのを待つことにした。 何にしても、ジルはネイに、魂のスワップをしてあげることを約束し、その代わりしばらくの間、自分の手伝いをするよう命じた。
まずジルがネイに命令したことが、イオンをジルの元まで連れてくることだった。
ジルは別件でイオンを欲していたし、ネイのイオンに対する恨みも凄かったので、ジルにとってもネイにとってもこれは願ったり叶ったりだった。 そこでネイはイオンに近づき、フォーシーズンへ連れて行くように誘導することにする。
しかし、ネプツールの暴走により計画は頓挫し、ネイはPLASMAに捕まり、あわや万事休すというところまで来てしまった。
それを偶然助けたのが、クオンタイズでありサーリであった。 ジルはネイのことはあまり大切にはしていなかった。
単なる研究材料でしかなかったし、自分の製造したシャールの状態を直に見られるサンプルでしかなかったから。
そんなジルが、わざわざネイを手元に置いておいたのには1つ理由があった。
それは、ネイがシャールであり、シャールが「なぜか」天文の、しかもソレイルに生存していたからである。
ジルがネイに投与したshsヘテロマイシンは、シャール統率ウイルスである。しかしそれは、シャールでなければ投与しても効果が無い。
シャールの統率コードは天文の培養したamRNAウイルスにより決まっており、ジルはそれを作れない。
そして今ここにいるネイは、そのコードを持って生まれたマスターシャールである。すなわちそれは、シャールを支配できることを意味する。 ジルは、いずれネイを連れてソレイルに行くことになると思っていた。
それはネイにとっての悲願であったし、ジルにとっても自分の研究が何に使われているのかを知りたいからだ。
その時、全シャールをコントロールできる事によって、敵地で優位を保てるのである。

インターディメンド

ネプトロンが稼働し、REON-4213、すなわちネロの精神の封印が解かれたことは、ジルにとって思わぬ幸運をもたらした。
ター坊の持っていたノンセキュリティ端末によってネロが顔を出すことが出来るようになり、それによってネロがジルの元へ現れたのだ。
ジルはネロを自分の研究室へ連れて行き、作戦会議を開くことにした。 ネロは、現状は最初で最後のチャンスだという。
絶対に失敗は許されないから、ジルに「インターディメンド」をして欲しい、というのである。
ジルはビックリする。過去に自身がジェノミライ研究所にいた頃、それは不可能だという結論に至っていたからだ。出来ていたらその時にやっている。
だがネロは、今なら出来るという。なぜなら、天文がアルノサージュ管を作ったから。
インターディメンドを行えば、現状の「詰んだ状態」を確実に打破できるという。 ジルはインターディメンドについて、過去には少ししか話を聞かなかったから、改めて詳細をネロに聞くことにした。 太古の時代、ネロが遠く離れた惑星シェーラから、この星シャラノイアにワープをしたとき、様々な装置と詩が作られた。
それらの装置や詩の設計図はこの地下深く、現在のジェノミライ研究所の付近に埋蔵されていたわけだが、その中の1つに「インターディメンド」というものがある。
ネロはウンドゥと共に、インターディメンドについて解読して、プログラムモジュールを組んだのだそうだ。 インターディメンドとは、7次元先の世界の人間による無意識下の操作を可能にする仕組みのこと。
これを行うことで、ジルは7次元先の、すなわちネロの住んでいた世界の住人の、実質傀儡となる。
だが、完全に魂を乗っ取られてしまうのではなく、ジルがそれを自分が考えた事であると錯覚し、自覚は全く無いのである。
古代の人々は、この仕組みを使い、7次元先の世界へコンソールを送り込んで目的を与えて動かすことによって、この超常的な奇跡の力を使うことに成功したという。 このインターディメンドを行うことで、ネロにとって良いことがあった。
インターディメンドをする7次元先の住人は、こちらの世界の時間軸や可能性軸を超越した行動が出来る。
(限界としては、一人のクオリアに入り込む為、操作可能なのは5次元までであるということである)
もっと簡単に言えば、失敗したらリセット出来るし、ジルからは見えないところの場所を見る事も出来る。
だから、目的達成のための行動は、かなり効率を上げることが出来る。 インターディメンドが唯一防げないのは、6軸以上からの干渉。
すなわち、簡単に言えば他人の行動を左右する事は出来ないので、状況的に「詰む」ことはある。
だから100%ミラクルに成功することはあり得ない。
また、インターディメンドを行う人物の身体的能力を超えることは出来ない。分かりやすくまとめると、以下のようになる。

  1. 敵や他者との遭遇を回避することは出来ない(自分以外のコントロールは不可能)
  2. 思考能力や感情、気性の限界を超えることは出来ない(行動の操作に限界がある。強い敵には何度試しても勝てない)
すなわち、RPGの主人公と同じである。
要するに、ジルにインターディメンドをインストールして、7次元先の住人に救援を要請する。
すると7次元先の存在は、ジルをコントロールして、ネロを確実に元の世界に戻れるように試行錯誤するのである。
ジルからしてみれば、様々なひらめきや勘(もしくは運)によって行動していれば、どんどんジル救出に確実に向かっていけるのである。 ただ、ジルからすればこれはかなり抵抗がある行為であった。
自覚がないとはいえ、操られるわけであり、当然かなりのリスクが存在する。
ネロもそれは分かっているため、条件を出した。インターディメンドによって自分が自分の世界に帰れるときには、ウンドゥはこの身体に残していくと。
すなわち、ウンドゥとネロの分離が行われるということである。
それはジルにとっても、1日でも早く達成したいことであったため、ジルにとってのメリットでもあった。
だからジルはそれを受け入れた。 ジルは、インターディメンドをする為のプロセスを、ネロから聞き出した。
それによると、準備は2つ。
1つはジルがシェルノトロンと同調し、インターディメンドのTxBIOSを使い謳う事。
もう1つは、そのシェルノトロンをアルノサージュ管とチェインすること。 1つめは、ネロがジルのシェルノトロンに送ってきたプログラムによって簡単に達成できる。問題は2つめである。
アルノサージュ管は、現在ソレイルにしかない。それはイオンをこの世界に召喚したプロトタイプである。
しかしジルは、どのみちソレイルに行く予定はあった。それは、あの娘ネイの要求を満たすためであったが。
タイミング良く、今ネイとイオンはこのフォーシーズンにいる。ネイにイオンを連れてこさせれば、ソレイル攻略は可能だろう。
あの子はソレイルを全部知ってる(フラクテルの記憶があるので)。更に、シャールを従順に出来る(ネイに投与したshsヘテロマイシン)。
今こそ、ネイに投資した全てを回収する時である。 ネイは、フォーシーズンに来て、一度ジルの元に訪れている。
その時ネイは、イオンをすぐにここに連れてこい、という問いに対して、ちょっと待てと言っていた。
ネイはジルを信用していなかった。昔から信頼関係なんて無かった。 そして2回目にジルの研究室へ行ったとき(キャスが捕まっていると思って殴り込みに行ったとき)、ネイはジルと決別した。
なぜなら、ジルがネイを殺すと、ネロ(ター坊)と話をしていたからである。
ネイは、ジルがあまりに姑息なので、ター坊と(捕まっているであろう)キャスを解放するのと引き替えに、自分はイオンを連れてくる、という交渉をする予定だった。
だが、部屋に入り、まず盗み聞きしたネロとジルの会話はこうだった。
「ソレイルにネイとイオンを連れて行き、ネイにはシャールの統率をしてもらう。その間に自分はアルノサージュ管と同調し、インターディメンドをする。イオンはそのまま。ネイとはそこで終わり。魂のスワップ?そんな事やってるウチに出られなくなったらどうするの。やるわけない」
この話をネイが聞いてしまったことで、ネイとジルは破談する。そしてネイは、サーリに賭けることに。 ジルはここから、茨の道を歩むことになる。
サーリはクラケットと繋がっており、イオンを7次元先へ返すところまでリーチがかかっていたのである。
それに気づいたジルは、出発直前のネイを糾弾。ネイとジルは会話。
「あなたたち、まさか、イオナサルを返そうっていうの!?」
「ご明察。もう全ての材料は揃ってる」
ここでジルは血の気が引く。自分の研究が盗まれたことが最後のピースとなって、クラケット達はリーチしたのである。
ジルは猛反撃に出るが、ネイの決死の防御(ネイ曰く、最後の落とし前をつける)によって阻止されて、その間にイオンとサーリはジェノミライ研究所へ。

ジル拘束

ジルはジェノミライ研究所でクラケットたちを脅し、ネロをポッドから出すことに成功する。
そして、反論するクラケットたちを、ネロと一緒に6次元移動することによって肯定派に変え、ネロを7次元先へ返すことに成功するのであった。
だが、それは成功ではなかった。理論上では、こちらの世界で何千年経っていようとも、向こうの世界の元の時間と可能性位置に帰還できる筈だった。
しかしそれは無理だったのである。向こうの世界に送るとき、どこに辿り着くかは不定。しかも、こちらの世界にいては、ネロの俯瞰視点も自分の世界を見る事は出来ない。
ネロからの救援をキャッチするが、そのまま無視するジル。
しかしその声はイオンにも届き、イオンはネロを助けようとする。同時にイオンは、自分が同じ立場だったらと思いぞっとするのである。 ネイの協力により、6軸移動を再び行い、全てが元に戻る位置、ネロがポッドから出る瞬間まで戻す。
クラケットがポッドを開けるのを阻止し、PLASMAによってジルは拘束された。
ここへ来て、ジルはついに天文に捕まってしまったのだ。 だが驚くべきことに、これはジルにとってむしろ好機になるのである。

ジェノミライ・プロジェクトⅡ

『ぱれすにゅろきーる』とジェノミライ

ジェノミライⅡは、天文の極秘プロジェクトである。その場所は、超巨大移民船ソレイルの中である。
ソレイルは昔、天文が地文の下部組織であった頃に創っていた、1世代前の生命救済計画の遺物である。
現在は天文がグランフェニックス計画、地文がセーブベゼル計画をそれぞれ推進しているが、昔は共同でソレイル計画(移民船計画)を遂行していたのである。 現在ソレイルは、天文が買い取り、そこにテーマパークを作っている。それが「ぱれすにゅろきーる」である。
表向きは、資源再利用ということで、国民サービスの為に天文が作った福利施設である。
ソレイルの完成している部分だけでもかなりしっかりとしたコロンとして成立するものであり、それを廃墟にするのはもったいない、ということだ。 だが、実はそれは表向きのものであり、その内側では極秘の研究がなされている。
この旧移民船ソレイルは、グランフェニックス計画が成功し、新たな惑星へ移住した際に稼働する、次世代シェルノトロンサーバーになるのである。 現在のシェルノトロンサーバーは置いていく。というか、サーバーやインフラは、ラシェールフューザーによって潰れてしまうので、置いていくも何も無い。
だが、ここで問題なのはネロという存在なのである。
現在、ネロのクオリアがこの座標上にある為に、太陽ベゼルは膨張している。5000年前、古代の人々が失敗したのは、ネロを連れてきてしまったことである。
ネロは7次元先の存在である、この座標を重くしている。それ故に現在、この惑星には全てのエネルギーが降りかかってきている(それがバーストになっている)。
ネロを連れてきてしまったが為に、この惑星(旧名シャラノイア)は5000年の命しかなくなってしまったのである。
だから、天文は次の地に、7次元存在を連れて行くつもりはない。ネロだけでなく、イオンもである。
イオンに至っては、ラシェールフューザーを謳わせたらその後、置いていくつもりなのだ。

ジェノミライ・プロジェクトⅡの全貌

ソレイルの艦内は、第二世代ジェノミライ研究所となっている。
ここで行われている研究は、大きく分けて2つ。1つが「ラシェールフューザーに向けての準備」、もう1つが「次世代シェルノトロンサーバー」である。 ラシェールフューザーに向けての準備というのは、言わずと知れた、イオンをアースから誘拐してきたことである。
すなわち、アルノサージュ管を用いた7次元コンタクトと、それによる7次元俯瞰視点を持つ人間の創造だ。
これら2つの研究は、どちらも「天文が権力を失わずに惑星移住を行う為に必要な研究」であり、両方が成功しなければ意味が無いのである。

アルノサージュ管と7次元接続計画

言わずと知れた、イオンがアースからシェルに転送される事になった計画である。
アルノサージュ管は、この時まだプロトタイプであるが、その役目は十分果たせたと言える。 7次元先からの魂の召喚、という事以外は、ネロの時と原理は同じである。しかし天文は、ネロの時とは敢えて違う方式を採った。
ネロの時は、人工的に身体を培養して作り、その中にネロを封じ込めた。しかし作られた身体である事が災いし、ネロは苦しんで使い物になるまで時間がかかった。
その事もあり、今回は生きた身体を使うことになった。その生きた身体とは、イオナサル・ククルル・プリシェールの身体であった。 その時、その身体にはネイの魂が宿っていた。簡単に言えば、ネイこそが本物のイオンなのである。
そのネイの魂を追い出し、7次元先から引き寄せたイオンの魂を身体に入れるのである。 アルノサージュ管を通じて、アース側の電子ネットワークに釣り針を垂らしたのはつい先日のこと。
その釣り針、トロイの木馬とも言えるアース側の装置を、設計図通りに作ったのが結城寧だった。
そして、召喚するための詩魔法「アルシェルノ Class::AR-CIELNO=>extends.TX_CLUSTERS/.」を謳ったのはフラクテルである。 7次元を超越する話なので説明が難しいが、トロイの木馬である電子回路の図面を送信した直後に謳っても構わなかった。
シェルの時間軸とアースの時間軸は異なるため、アース側で数千年埋もれていたとしても、シェル側では瞬間的に掴まえることが出来る。
こうしてイオンが捕まり、こちらの世界に引き寄せられた。 尚、第4幕でネプツールがネイに謳わせたネプトリュードは、このアルシェルノと原理の一部は同じである。
すなわち、魂の宿る肉体をスワップするのである。アルシェルノはそれにプラスして、7次元先の魂にアクセスするプログラムもされている。 これによって、ネイは自分の身体から出され、廃棄用のトロンに一時的に精神アドレスを移し替えられた。
結城寧はイオンとして生活するようになり、ネイはこのトロンに魂を入れられたまま、廃棄されるのである。
しかしそれは、この詩を謳ったネイの親友であるフラクテルによって救われることになる。
詳細は後述

次世代シェルノトロン計画

ネロの素晴らしいところは、一人で数万人に対して、同時に詩魔法を提供できるところである。
通常のジェノムが代わりになっても、こんな事は出来ない。当たり前だが、一人につきジェノム1体となる。
次世代シェルノトロンの原理は簡単かつ稚拙なものである。
それは簡単に言えば、ソレイルの中に数万体のジェノムを押し込んで、それを中継器を使うことでシェルノトロンから同調できるようにする、というものだ。 言えばシンプルだが、実際はかなり不可能に近い。まずジェノムを数万体も押し込む事は不可能。
生命だから、放っておけば死ぬし、またジェノムには個性もある。だから、シェルノトロンに同調する度に違うジェノムと繋がってはたまらない。
だから、天文がこの無謀な案を実行に移したのは、さほど昔のことではない。せいぜい5年前くらいのことである。 その鍵となったのは、ジェノミライ研究所でウンドゥとジルが解明に当たっていた「amRNAウイルス」であった。
没収したウンドゥの資料の中にあったamRNAウイルスの記録は、天文に一つの光を生み出した。
amRNAウイルスを投与された人間は、ジェノムとの間に沢山のジェノムを生む。宿主である人間の魂尽き果てるまで生み続け、平均10体ほど生む。
しかもそのジェノムは、自らの意志が希薄な、魂の宿っていないジェノムなのである。
これらを何万体と束ねて統率する事が出来るのであれば、シェルノトロンサーバーとして成り立つ。それが天文の見解であった。
天文は、このamRNAウイルスの研究を進めることが出来る人物を探した。そしてジルという存在に行き当たった。
天文は、地文高官になりすましたエージェントをジルに向かわせ、資金難であることをいい事に、多額の謝礼とフォーシーズンへの居住権と引き替えに研究させた。
そしてamRNAウイルスはどんどん進化していく。更に天文は、そのamRNAウイルスで生まれたジェノム達を束ねる存在、女王ジェノムを創り出すウイルスも創らせた。
ジルはその申し出に対して、shsヘテロマイシンを開発した。 双方ともプロトタイプまで完成する頃には既に、試練の3年間が始まりつつあった。
ジルのお陰で、一人の人間の犠牲で50体ほどのジェノムが生み出され、更にそのジェノムはダウンサイジング遺伝子操作によって小さな身体として創られ、
更に効率化のために、妄想に左右されない、一律の身体となるように設計されていく。
こうして出来たのが、あの『シャール』の原型である。 だが、人が犠牲になる時点でまだ永久機関にはなり得ない。天文は更にジルに研究を進めるよう要請する。
しかしジルは、だいぶ立場が良くなった為(自分以外にこの研究は出来ないと確信した為)、交渉しにくくなっていた。
そんな時、ジェノミライ研究所でレオンを奪おうとするジル達をPLASMAが拘束するという事態が発生。
天文はジルを拘束し、そのままソレイルに連れてきて、ある程度の自由と引き替えに研究の継続をさせることにした。
目指すは、人が死なずにシャールが無限増殖する永久機関の創成である。

ネイとジェノミライ・プロジェクトⅡの浅からぬ関係

ネイは言わずと知れた、本物のイオナサル・ククルル・プリシェールである。
結城寧であるイオンがアースから連れてこられたときに、身体から魂を抜き取られて廃棄させられる運命に遭った悲しい少女。
抜き取られていた魂は一時的にシェルノトロンに押し込められていたが、親友だったフラクテルによって盗み出され、
当時天文が秘密裏に開発中だった人工ジェノムである「シャール」に転送される。
すなわち、今のネイの身体は、その人工的に作られたジェノム「シャール」の身体なのである。 だが人工ジェノムは人間と同調しないと生きていけない為、フラクテルと同調してエネルギーをもらうことになった。
そして同調時に、フラクテルが持つ天文の機密情報の全てを精神世界経由でネイは授かることになる。
これはネイが自分の身体を取り戻すのに必要な情報として、フラクテルが意図的に共有したものである。
だが、フラクテルは反逆がバレて殺され、ネイは一人、これを行った施設である「ソレイル」を脱出することになった。 脱出には成功したものの、身体はシャールそのもの。ネイは数日でエネルギーが尽きかけ、瀕死の状態になってしまう。
そしてその時、ジルに見つかり拉致される事になるのである。
ジルは、ネイの身体である人工ジェノム「シャール」を増産する計画の中核を担うウイルス「amRNAウイルス」の生みの親であり、ネイの身体の神とも言える存在だった。
ジルは、シャールからエネルギーをもらい普通に生きられるウイルスである「shsヘテロマイシン」をネイに投与し、ネイは一命をとりとめた。 ジルは助けるのと交換条件として、自分の傍にいて研究を手伝うように命令した。その1つが、イオンを連れてくるように命じたことである。
ネイにとっても、イオンは恨みの対象であり、自分の身体を取り戻すために必要な存在である。
ジルとネイは表面上目的が一致したので、取引することにした。そしてネイはイオンにすり寄り、誘導する事になったのである。 尚、イオンのことを恨んでいるのにイオンを大切に扱うのは、それが自分の身体だからだ。
ネイは、イオンを「ソレイル」に連れて行き、そこで自分の魂とひっくり返すのが目的。だから、身体に傷つけることは絶対にしない。
また、イオンに対し、皇帝になるのを全力で支援しているのは、身体を取り戻した後、少しでも自分(皇女イオナサル)が有利な立場になるように、イオンに頑張らせる為である。
だから、少々度を超してヒステリックになるときもあるが、それは未来の自分の悲惨な状況を心配してのことである。

ジルとジェノミライ・プロジェクトⅡの繋がり

天文はジルを拘束して、なんとソレイルに護送した。そしてそこで顔合わせをしたのが、天文総統リーベルトだったのである。
地文幹部と偽ってジルにamRNAなどを発注していたのは、なんと天文だったのだ。これでジルの中で全てのピースが繋がった。 ジルは6次元を移動した(崩壊編最終幕)記憶が残っている。一度は取り戻したウンドゥ、それを元に戻されたこと。
そして、インターディメンドのこと。 ネロは向こうの世界に一瞬戻されたとき、向こうの世界では死人になっていた。それをイオンは連れ戻した。結果、ネロは死人同然の冷凍睡眠に戻った。
ネロにとってどっちが幸せだったのか。それ以上に、ウンドゥをまた奪われたことは、イオンに対する大きな恨みとなった。
インターディメンドは、ネロの利益の為にミラクルな力を発揮する。しかしそれは、ジルにとってもウンドゥを取り戻す為に役立つ筈である。
今、自分と同じ場所にアルノサージュ管がある。
ジルは考えるまもなく、リーベルトと握手した。ジルはウンドゥの為に、天文に自分を売ったのである。

備考

アストロサイト・モジュラトリ・ウイルス

AmVは、ネロのSHWと提供ボディが上手くかみ合わなかったために、体内で正常な組織として創り出され続けていたもので、
いわばマクロファージとかみたいなものをSHWが創らせようとしたら、この世界のボディはウイルスを生み出した、みたいな感じ。 だから、イオンが連れてこられたときも、そのようなウイルスが発生していないかしばらく監視するために、イオンは監禁されていた。

カノンと地文

カノンの悩み

カノンは、ジェノミライ研究所の跡地でウンドゥ・クインクウェイムが作ったウイルスを投与された「遺伝子操作生命体」である。
それは、人間とネロ(7次元の向こうから連れてこられた生命)の遺伝子をかけ合わせて作った、遺伝子操作の産物である。
ネロの遺伝子によって、カノンは超常的なまでにジェノムを操れるようになっている。 カノンは、その頃の事をどうしても調べたいと密かに思っていた。
地文の幹部達は、この件については全くのガセであると言い張っているが、天文が地文にガサ入れをしたあの時、天文筋の情報を少し聞いてしまったのである。
「地文の皇女候補は純血ではないから、本来は皇帝になる資格など無い」と。
(その後この話は、地文が天文のジェノミライ解体に対して反論しない事を条件に、公には伏せられることとなった)
そして、それを裏付ける、二の腕内側にある「229」という数字とジェノミライのロゴ。
カノンはまさかと思いつつも、真偽を確かめるために、唯一監視無しフリーになれる試練の時に、この事の真偽を突き止める決意をしていた。

ウンドゥ・クインクウェイム

カノンを創り出したのは、地文の中でも「影の研究者」として表に出ることの無かった人物。
偽名で「ウンドゥ・クインクウェイム(ラテン語で12・5)」と名乗っていた。
ウンドゥは、1000万人に1人程度しか生まれないと言われる、天然のヒトガタ(人間型ジェノム)であった。
クインクウェは5であり、それは彼が5鎖ジェノムであることから付けた偽名。 ウンドゥは地文の幹部から地文救済策として、超的にジェノムとの同調を可能とする生命を要求されていた。
その回答として創りあげたのがドゥドゥ・ノエチウム、後のカノンであった。
カノンはgRNAウイルスα229というウイルスによって、超的な力を身につけた半ジェノムとなったのである。 ガサ入れの直前、ウンドゥはジルにこのgRNAウイルスのデータの全てを託している。

カノンだけが知らなかった自らの真実

その表側では、カノンが「人間がジェノムになるための遺伝子操作は御法度」という法を堅く築いていた。
カノンは、自身が法を破っている張本人であることを知らず、それを厳しく取り締まった。
地文の重鎮達はそれを賛成していたが、全ては知っていた。
要するに、カノンだけがそれを知らずに生きてきて、舞台の上で踊らされていたのだ。

カノンの流れ

カノンがどうしても調べたいこと、というのは、自分は本当に地文の正当なる継承者なのか?ということ。
というのは、天文のガサ入れの時、とあるきっかけで「カノンは正当なる純血ではない」という事を小耳にはさんだためである。
地文幹部にその事を問いただしたが、全否定された。だが、それを今でも怪しんでいる。 というわけで、カノンは自分の出生の真実を知りたかった。
その結果知ったのは、自分が遺伝子操作によって作られた、人工の生命であること、そして正当なる皇位継承者の血を持つ者ではない、ということだった。
コーザルはそれを知っていて黙っていた。
その理由は、地文の作戦だった。 カノンはこれを知ることで2つのものを自分の中で失った。
1つは「皇位継承者としての資格」
1つは「プライド」

カノンの持つタイムリミット

カノンは、自らの想いを力に変える最大出力が、自分の物理ボディのキャパシティの遙か上なので、ボディがオーバーヒートする。出力にもよるが、最悪、43度以上の高熱を出して身体が壊死し、自らも死んでしまう。

詩魔法媒体

『ジェノム』ラシェーラで詩を謳う方法

詩を司る生命『ジェノム』

ラシェーラ人は、ある種の生命と意識を通わす事が出来る。
その「生命」とは、あらゆる動物(例えば蝶や鳥、犬など)の中に存在する突然変異体ともいうべき存在で、通常の生命と違い3重螺旋以上の遺伝子DNAを持つのである。
ラシェーラ人はその突然変異体を「ジェノム」と呼んだ。
それらは、通常の2重螺旋遺伝子体には絶対に真似のできない「同調」「完全同調」「一心同体」という3つの特殊能力を持つ。
「同調」は、言葉を使わない意志疎通、
「完全同調」は、意識を同調させる事で肉体をも同調させる、すなわち合体する事、
「一心同体」はその名の通り、切り離す事の出来ない1つの存在になる事である。 実はジェノムとはすなわち「ゲノム」、遺伝子に由来する。
その名の通り、パートナーとラシェーラ人は、合体する事で遺伝子が結合し、完全な一体化をし別種の生命になるのである。
人間は2重螺旋、ジェノムは最低限3重螺旋を持つから、「完全同調」以上の状態では最小でも5重螺旋になる。 人間は最大12本分の遺伝子キャパを持っているが2本しか使っていない。
12個のメモリソケットに2枚しか刺さっていないようなものである。
ジェノムと合体(完全同調、一心同体)をすることにより、その空きスロットに遺伝子が追加される。
それによって、様々な超常力を行使する事が出来るようになる。 一般的に、螺旋を構成する遺伝子の紐の数は、多いほど「超常的な力」を様々に使えるようになっていくという。
すなわちジェノムは、ラシェーラ人に超常的な力をもたらし新人類とする事が出来る存在なのである。
それ故ラシェーラの歴史は「ジェノム」抜きには語る事が出来ない。
コミュニティの形成、国家間戦争、階級、文明の進歩、そして帝国の形成に至るまで、そこにはまんべんなくジェノムが関わっているのである。

「完全同調」と「一心同体」の違い

同調はテレパシーのようなものだと思えば分かりやすいが、完全同調と一心同体の違いはもしかしたら分かりにくいかもしれない。
完全同調とは、ジェノムとラシェーラ人とのH波波動が完全にシンクロした状態、一心同体とは、そもそもシンクロ以前に1つしかない状態である。
その違いをDNA的に見ると明確である。
完全同調の状態では、両者のDNAは螺旋としては絡み合い一体化しているように見えるが、それぞれのDNA螺旋は完全に、もしくは一部くっついていない(DNA鎖の間に塩基対が無い)。
一心同体とは、全てのDNA鎖が塩基対によって完全にくっついている状態である。
機能的な違いで言えば、その能力を引き出す時の欠損率が全く違う。また、殆どのジェノムにおいて、一心同体でなければ行使できない特殊能力が存在する。
(本来この能力は、絶対に他の生命に明け渡す事が出来ない、最高セキュリティの能力であったと思われる) 尚、完全同調状態は、その時の絆の深さにも依るが、維持できるのはほんの一瞬である。長くて数時間と言ったところだろう。
そして一心同体になれば、更に維持は困難になる。歴史上の最高同体時間は1分未満である。 ここまでの説明をまとめたものが、以下の表になる。

状態 見た目の状態 状態の限界時間 DNA鎖の状態
非同調(unsynchronize) 分離。テル族と護の関係 無限 絡んでいるが塩基対は繋がっていない
同調(synchronize) 分離。テル族と護の関係 数日程度 絡んでいるが塩基対は繋がっていない
完全同調(demi-genomize) 人間はフォログラフ的に姿が変わる。
ジェノムも姿が変わる
数時間程度 絡んでいるが塩基対は繋がっていない
一心同体(evangenomize) 物理体として姿が変わる。
ジェノムと人間は一心同体
数秒程度 絡んでいて塩基対も繋がっている
ジェノム図解

螺旋数の多さについての良くある誤解

まず重要な事は、ジェノムと合体してDNA螺旋が増える事は、
「より想い(DHW)を身体(SDW)に欠損無く伝えられ、それがそのまま物理現象(DDW)になりやすくなる」事であり、
決して魂(SHW)のレベルアップでもなければ、魂の変化でもないという事である。 これは「DNA螺旋が多い人ほど尊敬できる人」ではないことを意味する。
それはあくまで「自動車」か「装甲車」か「戦車」かの違いでしかなく、操縦者次第では戦車も自動車に負けるし、戦車の乗員が自動車の乗員よりデキた人というわけでもない。

ジェノムと一般動物との違い

ジェノムと呼ばれる生命は、それ固有の形状を持っていない。
強いて言えば「犬型のジェノム」「ネコ型のジェノム」「鳥形のジェノム」などである。
これらは通常の動物とは「突然変異である」という違いしかないが、その「突然変異である」の中には様々な違いがある。 まず、ジェノムは通常の動物とは違う「本能」を持っている。
動物の本能と言えば「生存本能」そして「種を残していく生殖本能」などがあるが、ジェノムのそれは一般動物とは異なる。
まず、ジェノムは通常動物と交わって子孫を残す事はない。だから、同じ姿をした2重螺旋の動物に対して興味を示したりしない。
ジェノムはジェノム同士で交わり、種を残すのだが、この件については後述する。
また、ジェノムは同調後は同調した人間の生命エネルギーを食って生きていくので、何も食べなくても大丈夫になる。
(同調していないジェノムは普通に食べないと生きていけない。更に空想生物は食べるという知識すらないので、長く一人でいると確実に餓死する)
逆に、ジェノムだけが持つ本能がある。それが「同調本能」である。この同調本能は、生殖本能に繋がる重要な本能である。
これについても後で述べるが、まずは同調とは何なのか、そしてどのように行われるのかを先に説明していこう。

ジェノムとの同調

ジェノムとの同調は「詩」によって行われる。
人間は同調したいと思うジェノムの前で詩を謳い、ジェノムに対しいわゆる「求愛」をする。
合格であれば、ジェノムはその人間と「挨拶の為の完全同調(ファーストハーモニクス)」をする。 ではその「合格」の基準は何なのか。それは「発声帯域」である。
その要求する帯域はジェノムにより違い、故に結果として人間との相性が生じる。
ジェノムはまず、自らが要求する発声帯域が網羅出来る相手でなければ見向きもしない。
人間は皆発声帯域が違うから、パートナーとなるジェノムは人によって変わってくる。
だが当然、発声帯域が広ければ広いほど、様々なジェノムと意志疎通が可能になる。
故に、ラシェーラでは太古より「発声帯域が広い人ほど優秀」と崇められ、産まれ持つ身分制度として確立している。

ジェノムが人間をえり好みする理由

ジェノムが、要求する発声帯域以上の声の持ち主しか選ばないのには理由がある。
それは、ジェノムは自らが外に対して何か行動を起こすとき、かならず「詩」によって成され、更に〝自ら単独では詩を謳えない〟為である。
(補足:そのジェノムの物理形態としての動物の鳴き声は、当然出力可能。詩を謳えないだけだ)
要するに、人間の身体を借りる事で初めて詩を謳え、外部に対して何らかの力を行使する事が出来るのである。
すなわちジェノムと人間の関係は、悪く言えば寄生虫と宿主の関係と言っても過言ではない。 ジェノムの「想い」や「記憶」「回想」などは全て、詩である。
これがどのような感覚なのかは、ジェノムにならないとわからない。
その詩にはとてつもない力が秘められているが、人間の身体を借りなければ声にして出す事は出来ない。
そしてジェノムの作曲には癖がある。それ故に、必要な音階はジェノムによって違う。
そんな理由により、自分が出せる全ての声を人間が出せなければ力を発揮できないのだ。

ジェノムの棲み着きの実際

ジェノムはラシェーラ人の精神世界に宿り棲み着くわけだが、具体的にはどこに棲み着くのか。
それは、「使われていない螺旋が担当する精神世界の一部もしくは全部」である。
人間のDNA螺旋は2鎖であるが、全部で12鎖までの拡張性がある。
現在、「人間の脳は1~2割程度しか働いていない」と言われているが、それは担当するDNA鎖が眠っている為である。
その「空き室」をジェノムに賃貸する。何部屋貸すかは、ジェノムの持つDNA鎖数次第だ。
そして、その「眠っているリソース」を使って、ジェノムは詩魔法を発動したりする。 また、同じ精神世界に同居する事になるので、同調したり完全同調したりが可能になる。
アパートで例えるなら、以下のようになる。

非同調 101号室と102号室は断絶された状態(普通の1Rマンション)
同調 101号室と102号室は、窓によってお互いが見えるようになっている(会話が出来る)
完全同調 101号室と102号室は繋がっていて、自由に出入りできる
一心同体 101号室と102号室は、入口は分かれているが、中に入れば同じ部屋である

人間にとっては、眠っていた(使えなかった)リソースを活性化して使って貰う事で、自分の能力アップに繋がる。
人間にとってジェノムは、脳の活性化ブースターユニット(何UかはDNA鎖数による)なのだ。

ジェノムと人間のトレードオフ

ジェノムと人間の同調は、半分は絆によるものであるが、もう半分はいわゆる「取引」である。
既に述べたとおり、ジェノムは己が力を発揮する為には別の生命体と合体しないといけない。 ジェノムにとって「詩を物理的に(声に出して)謳う」ことは、呼吸する事や食事をする事と同じくらい重要な事だ。
なぜなら、ジェノムは世代交代(種の存続)も、詩によって行う為である。
すなわちジェノムは、それ単体では種の存続すらままならない。 蛇足になるが、ジェノムは昆虫から動物まで様々な形をしているが、同種の一般動物と交尾をしたりはしない。
ジェノムにとって彼らは、形は似ていても全然別の生き物。
例えは悪いが、人間が精巧なラブドールと結婚しようとしたり子供を産ませようとしないのと同じくらいの事である。
(実はラシェーラ惑星史における動物という存在は、ジェノムのドールであると言っても過言ではない。ここでは詳細説明は割愛) ジェノムの繁殖には当然、ジェノム同士の関係構築が必要になる。
いくらジェノムが人々より超越した力を持つとは言え、ジェノム同士の交流はやはり「詩」である。
外部生命(別のジェノム)と意志疎通する為には「声で謳う」事が必要不可欠であり、故に人間と同調しなければならない。
ジェノム同士が引き合うのも、やはり詩によってである。
だから、相手のジェノムを好きになる要因は詩である。実際にはその詩に秘められた想いを聴く。
故に、ジェノムにとって「同調」は生命として必要不可欠な行動であり、他の動物より発声帯域の広い人間を求めるのもわかる。
また同調する相手をえり好みするのも、自分の力を100%発揮する為のみならずジェノム同士の求愛にも多大な影響を与える為である。 更にジェノムは、人間の「想い」を消費する事で力を発揮する。
簡単に言えば、人間の生体エネルギーを喰っているのである。
もっと具体的にわかりやすく言うと、謳うという行為は人間の体力(SDW)を使っている。
その延長線上で、その詩によって何かを爆発させたりする場合、そのエネルギーはやはり人間の生体エネルギー(SHW)を消費している。 では人間側にとってのメリットは何か。
言わずとしれた「ジェノムの持つ強大な詩の力を行使できる」事である。
ジェノムの詩は、様々なエネルギーを励起させる。そして複雑な詩になればなるほど、その力は具体的な奇跡を起こす。
人間はジェノムに人生の宿を与える代わりに、その力を自由に使わせてもらうという宿代を貰うのだ。

ジェノムと人間との絆、会話

ジェノムと人間は通常、会話は出来ない。が、同調した相手とは「同調中に限り」自由に想いを交換出来る。
そしてこの「同調中の想いの交換」が絆を強め、絆が強くなればなるほど強力な詩魔法が発動できるようになる。
その理由は、絆が深まるほど宿主である人間の「こうしたい」という想いを、欠損無くくみ取れるようになる為である。
またジェノム自身も、その人間の為に力を行使する事を頑張ろうとする。思いが強まるのである。 そしてもう1つ、決定的な事がある。絆が強くないと、長時間の同調は無理なのである。
同調は、少しでも相手を拒絶したら解除されてしまう。
例えば、ジェノムが不意に人間が入って欲しくないと思っている心の領域に入り込もうとし、「あ!そこはちょっとダメ…」と思った瞬間に切断される。
だからジェノムと人間の関係は、ファーストハーモニクスが終わりではなく、むしろ始まりなのだ。
同調するようになってからツーカーの仲になり、人間が有る程度思い通りの力を行使できるようになるには10年近くを要する。

完全同調後の身体的変化

完全同調時に変化があるのは精神世界だけではない。肉体にも大きな変化が現れる。
完全同調時には、ジェノムが持つ物理的な身体特徴が人間に反映されるのである。
すなわち、ジェノムが蝶であれば、完全同調すると蝶の羽根を持つ人間になり、オオカミであればワーウルフのような強化人間になる。
そしてこの完全同調後の身体的多様性も、ラシェーラでは重要な美意識になっている。
たくましい、可憐な、かわいらしい、カッコイイ…完全同調後の身体は、ラシェーラ人自身のアイデンティティにもなるのだ。

ジェノムの繁殖と宿主との関係

ジェノムはラシェーラ人にとっての寄生虫であるという例えを話したが、それでは具体的にジェノムはどのように利益を得ているのか。
ジェノムにとって合体による利益は「自らの意志を周囲に拡散できる(=詩を謳う)」ことと「種の繁栄」である。 さて、ジェノムが「詩を謳う」事には、もう1つの利益「種の繁栄」に繋がる大きな意味がある。
それは「詩を謳うことで、別のジェノム個体とリンケージする(互いを認識する)」為である。
ジェノム同士の交流はU波とH波(両方とも大義で見れば精神波。テレパシーと考えて良い)によって行うが、それは「既に知っている個体」との交流である。
すなわち、最初に自分以外のジェノムを認識するのには「詩」が必要なのだ。
ジェノムがラシェーラ人を介して詩を謳うと、その詩が聞こえる範囲内に存在するジェノムは、その詩の性質を記憶したりしなかったりする。
その性質を記憶したジェノム同士は、自らの宿主の精神世界内で(U波、H波的な)交流が可能となる。
さて、この「詩を聞いて記憶する」のは、ジェノム単体でも可能だが、「詩を謳う」のと「精神世界内での交流」は、宿主との同調が必要不可欠である。
なぜなら「詩を謳う」為には宿主の声帯が、そして「精神世界内での交流」には、宿主同士の精神世界が必要だからである。 ジェノムは、宿主の精神世界を自らの家(城と言っても過言ではない)として巣くい、集合的無意識の空間を経由して、詩で知り合った他ジェノムのアドレス(別の人間の精神世界)へアクセスする。そうやって互いにコミュニケーションを図る。
そしてジェノム同士は意気投合すると、ジェノム同士の遺伝子をかけ合わせ「子供」を作るのだ。
すなわち、ジェノムは人間の精神世界で子供を作る。
だが、ジェノムに出来るのは「遺伝子をかけ合わせる」ことだけ。すなわち「スペック(性能)の構築」だけである。
そしてそれ以外の要素である物質的な要素、外観などは、自らではなく宿主の人間に「妄想させて作らせる」のである。
それは、宿主が精神世界において想像した何か(簡単に言えば、夢に出てくる動物など)をピックアップし、それを宿主の精神力(SHW)を用いて具現化する。
その子供は宿主の睡眠中にジェノムから生まれ(分離し)、そのままどこかへと旅立ってゆく。
(何らかの形で目を醒ますと、ジェノムが子供を産んでいる所を見られる。だが宿主はビックリする気力もない筈)
朝起きた宿主は、精神的にとても辛い状態(一時的な鬱状態)になっており、その日は「ジェノムの出産があった」と言って公然と仕事を休める。 尚、ジェノムは宿主の妄想によって子孫を作るので、必ずしも同じ形のジェノムにはならない。
もし、家の中にジェノムの子供(と言っても容姿はいきなり成人だが)がまだいたら、そっと放してあげるのが常識となっている。
もしくは、近所や知り合いにジェノムを探している人がいたら、試しに連れて行ってあげてもいい。

ジェノム同士の交流が宿主にもたらす恩恵「チェイン」

上記の通り、ジェノム同士の交流は種族繁栄には欠かせないものである。
だが、それはジェノム側の都合であり、自分の精神世界の共通意識野を介して他人と勝手にコンタクトを取ってるなんて、宿主からすれば気持ち悪い。
もしそれが人間にとって不利益でしかなかったら、ジェノムと人間はもっと殺伐とした関係だっただろう。
だが、このジェノム同士の交流もまた、宿主に恩恵を与えるものである。
それは、ジェノム同士が繋がった相手とは詩魔法の力を共有できる、というものである。
この恩恵を「チェイン」と言う。
簡単に言えば「合体魔法」が使える。もしくは、一人が他の複数人から力やクオリア(語弊はあるが五感と解釈してください)を間借りできる。
要するに、自分のキャパシティを越えた巨大な力が使えるのである。
とはいえ、もちろんいつでも勝手に使えるわけではない。相手の同意が必要であり、相手が自分と同じ想いを持っていてくれなければ力は欠損する。
逆に100人、1000人と繋がっていて、それらの人達が謳い手と完全に同じ想いを持っていたら、もの凄い力を出すことが出来るのである。

ジェノムが宿主を支配する時

さて、これを読めばジェノムと宿主との関係が、かなり真剣勝負であることがお分かり頂けると思う。
最初の方の説明では「ラシェーラ人がジェノムの力を利用して強大な力を発揮する」という良い部分だけにスポットを当てていたが、
実際は前項のように、ジェノムと宿主お互いの微妙な駆け引きで成り立っている。
宿主である人間にとって精神世界を犯されるのは実に不愉快きわまりない。
しかも、寝ている最中に繁殖する理由が「意識的に拒絶されないから」という理由であるから、宿主側からすれば更に不愉快きわまりない。
これはもう、ジェノムと宿主との「精神世界戦争」とも言うべき状況である。 特に初期の不安定な時期は、絆より駆け引きの要素が大きい。それ故にラシェーラ人もジェノムも常に緊迫した状況にある。
お互い、少しでも油断すれば自らが支配されかねないという危うい状態なのだ。
とはいえ表面上は比較的穏やかであり、例えるならば日米関係のような状態と言える。 ジェノムは極希に、宿主の精神世界を占領し、乗っ取ってしまう。
ジェノムに夢セカイを乗っ取られると、宿主は廃人になって一生目を醒まさなくなる。
だが安心して良い(?)。ジェノムが覚醒して身体を操っているから、端から見れば今まで通り、普通に生きているようにしか見えないのだ。 だが、これを放っておくと大変な事になる。

  1. 大量にジェノムが生産される
  2. 宿主をジェノムが操って、バカな事をし始める(銀行強盗とか)
  3. 集合意識U波を通じて周りのジェノムが同じ事をし始める
1は、常に脳を自由に出来る訳なので、子作りし放題ということである。ジェノムが大量に発生する。
2は社会問題として最も重大な問題である。これと3を抑制する為に、帝国政府はジェノムの管理の徹底を帝国民に義務づけている。 とはいえ、ジェノムがいつ如何なる時も、宿主の精神世界を虎視眈々と狙っているわけではない。
それにはちゃんと正当な理由がある。
ジェノムが宿主を乗っ取ろうと思うには、主に以下の理由が介在する。
  1. コイツ生き物としてダメだと思ったとき
  2. ジェノムが(価値観の違いなどから)宿主を認められなくなったとき
  3. 宿主との対話の結果、思想を持ったとき
  4. 宿主が特にお願いしたとき
ジェノムは大変頭が良い。
だが、ジェノムは(人間もそうだが)初期状態ではピュアであり、暗黒面を持ち合わせていないのである。
故に、もしジェノムが支配思考を持つような事があれば、それは宿主の責任ということだ。
ジェノムとの交流について必要最低限の教育は、帝国学校初等教育において、徹底的に教え込まれる。 尚、ジェノムが宿主を支配しても、基本、宿主の肉体的スペックを越えることは不可能。
原理的には、宿主をリモートコントロールする事になるので、ジェノム自身が直接身体を着て歩けるようになるわけではないのだ。
要するに、できる事は「完璧な指示出し」であり、それを遂行可能かどうかはその宿主にかかっているのである。
無茶な注文をすれば、100%従順な宿主は全力で頑張り、そしてそれによって簡単に殺すことが出来る。
(例えば幅10mの崖をジャンプして越えろ、と言えば、宿主は全力で頑張る。無理と分かっていても分かっていないので)

ジェノムが逃げるとき

ジェノムは、声帯が潰れてしまった宿主からは逃げる。
これは本能的なものであり、絆の深さによって逃げなかったりするような甘いものではない。
相当強い絆が築かれていても、声帯が潰れた宿主に一生付き添う事は殆ど無い。
この本能に逆らうのは相当大変である。 とは言っても、炎症などで一時的に声帯が潰れているだけの時には逃げたりしない。
ジェノムは本能的に、それが一時的なものか永続するものかを認知できる為だ。
尚、皇帝即位の為の3年間の儀式前に声帯が潰れる際、ジェノムはそれを永久的なものとして認識する。
実際それは正しい判断であり、なぜなら次に声が再生するとき、その声帯は別の声帯だからである。
すなわち、それまでの声帯は永遠に復活しない。故にジェノムはまず間違いなく逃げるのである。
この偶然が、3年間の試練をより一層厳しいものにしている。

(番外編)ジェノムに関する都市伝説??

ジェノムの中には平均的でないヤツもいる。
そんな、ちょっと都市伝説臭いジェノムの話をしよう。

同調後の遺伝子は4本が最強説

通常、ラシェーラ人の遺伝子は2重螺旋であり、ジェノムも3重~8重螺旋である。
すなわち、どんなに弱いジェノムであっても、同調後の遺伝子は5重螺旋が最小である。
生命の遺伝子は最大で12重螺旋であり、一般的にはこの12重螺旋が最強であると言われている。
だが、実はトランプのエースのように、12重螺旋より4重螺旋の方が強いという学説がある。
だがそもそもジェノムとは、3重螺旋以上だからこそ超常的な力「同調」を行使できるわけだから、4重螺旋は通常では不可能だ。
これと同じ仮説で、更に「3重螺旋が最も強い」という仮説を唱える学者もいる。
(注:第六紀末に登場した「シェルノトロン」は、この「4重螺旋合体」を可能にしてしまった。詳しくは「シェルノトロン」の項目を参照)

超音域を要求するジェノム

ジェノムが人間との同調を好むのは、発声帯域が広いからである。
人によっては6オクターブの発声帯域持っている人もいる。
だが、そういった「神に与えられた声帯」を持ってしても同調できないジェノムは、世の中に五万といるという。
人間が詩で同調できるのはせいぜい6オクターブまでだが、逆に全てのジェノムが6オクターブまでしか要求しないわけがない。
実際問題として32オクターブの帯域を要求するジェノムもいるのだ。
こういったジェノムは人間とは絶対に同調できず(同調せず)、人間の目から見れば種の存続が不可能とすら思える。
だが、実際にこういったジェノムが存在するのは実証されており、通常は人間以外の何らかと同調していると言われている。
実証されている理由は、ラシェーラ人の中でもたった一人だけ、この32オクターブのジェノムを扱える人がいるからである。
それは歴代の「皇帝」である。この件についての詳細は、こちらの項目を参照されたい。

人間型のジェノム

ジェノムは、姿形は多種多様な生命である。蝶もいれば龍もいるし犬もいる。
となれば、当然人間もいる。
そもそも宿主側に人間が選ばれやすいのは、発声帯域と脳の発達において他の動物の追随を許さないからでしかなく、人間とて動物。
ジェノムからすれば、人間でなくても「条件を満たす2重螺旋生命」であればOKなのだ。
そして、ジェノムが「全ての動物の形状をとる」可能性が有るなら、人間の形状をとる事もある。
人間型のジェノムであっても当然、人間と同調し、人間と1つになる。
人間型ジェノムと人間との同調は、大変強い力を出せる場合が多い。
更に、同調中に身体が変調しても容姿が変わらない為、隠密状態で強力な詩魔法を使えるというチートにも近い能力を有するようになる。
もちろん、女性が男性形ジェノムと同調すれば中性的な容姿にはなるが、逆にそれが身元不詳性を向上させ、更に隠密に適したものになるのである。
故に、金持ちが大金で人間型ジェノムを闇取引する事も多く、これは第六紀末期においては人権問題として盛んに議論された。
だが最も究極な形は、「人型ジェノム本人の声帯が、自身の要求帯域をクリアできる発声帯域を持っている場合」である。
この極希な状況の場合、誰かと同調する必要すらなく、セルフで力を発動できる。
だがこの究極な形は殆どの場合において歓迎されない。
なぜなら殆どの場合「歯止めが聴かなくなる」為である。
ジェノムと人間の関係は、お互いのトレードオフによる力の抑制である。
単独ジェノムはそれが無い為、自らの力を奢りクーデターなどを起こし、不幸な末路になる事が多い。

「一心同体」の上をゆく、「唯我」という融合がある

ジェノムとの関係は一心同体がMAXと言われているが、その更に上が有るという。
それは、一心同体が永続的に続く状態「唯我」である。
これはもはや、元から1つの生命であったかのように、自然な形で永遠の同化をするものである。
例えば人間は2本鎖だが、1本鎖の生命2体に分けようと思っても分ける事は出来ないだろう。それと同じくらいの一体化なのである。
これはすなわち、永遠に特殊能力を使いこなす事が出来る存在であり、既に人間ではない。
明らかに神なる存在なのである。

シェルノトロン

シェルノトロンとは

端末図解 シェルノトロンとは人工的に作られたジェノムのことである。
シェルノトロンは、その心臓部である「シェルノサージュ管」と、実効果を生み出す「クレイドル」によって構成されている。
シェルノサージュ管は殆どの場合、我々の住む惑星アースでいうところの「真空管」のような形をしており、中には鈍く光るフィラメントのような極板が存在する。
そこに宿っている光は、宇宙から抽出されたエネルギーTz波である。
(真空管型以外にも、レコード盤のようなシェルノトロンも存在する。これらの長所短所は後述) シェルノトロンは、Tzエネルギーによる回路処理により、擬似的にジェノムと同等かそれ以上の機能を持つ。
具体的には「同調」「完全同調」が可能であり、それも拒絶されることもない。
ジェノムと違い生身ではない為、コンディションによる力のブレも無い。
更に、ジェノムは人間をえり好みするのに対し、シェルノトロンは人間の発声帯域に合わせてくれる。
結論としてシェルノトロンとは、ジェノムのいいとこ取りをした「人工ジェノム」と言える。 シェルノトロンは生身ジェノムと比べて、色々な面において便利である。
具体的な説明は後に回して、まずはどのような点が違うのかを以下の表にまとめてみた。

項目 生身ジェノム シェルノトロン(第2世代) アルノサージュ管(第3世代)
形状 固有形状固定 初期は真空管(ダミー形状)であり可変 初期は真空管(ダミー形状)であり可変
宿る生命 ジェノム REON-4213(レオン=ネロ) プレイヤー
パワーソース 宿主の生命力 宿主の生命力 外宇宙のエネルギー
DNA鎖形状 デオキシリボ核酸 管内プレート&メッシュ コズミックプレート(枚数可変)
DNA鎖数 固定 工作により可変 プログラムにより可変
取得 厳しい修行と求愛が必要 シェルノトロン側が自分の能力(声帯)に合わさる アルノサージュ管側が自分の能力(声帯)に合わさる
可能な同調 同調、完全同調、一心同体、唯我 同調、完全同調のみ 同調、完全同調、一心同体、唯我
シェルノトロン図解

シェルノトロンの変遷

シェルノトロンは、その名前で呼ばれる前までに、2回のバージョンアップが行われている。
そもそもこの発明の大元は、ジェノムとテクノロジの融合、というところが発端である。その目的で作られたのが「G2管」である。
G2管は、ジェノムの力を外部の機械によって増幅し、エネルギーを高めるというだけの、ジェノムの増幅器でしかなかった。
そこから一歩進んで、ジェノム抜きでジェノムと同じ事が出来るようにしたのが「G2-DH管」である。
これは商用としても販売されることになり、商用端末第一弾として「G2トロン」という名前で市場に出回っている。 その後更に進化をして、ほぼジェノムと同等の機能を得られるようになったのが「シェルノトロン」である。
シェルノトロンは、天文が開発したシェルノサージュ管を搭載し、プログラムではなく、考え行動する仮想生命体「REON-4213(レオン)」を搭載している点が特徴。
これにより、ジェノムと同じように、誰でも簡単に、そして自由に詩魔法を使えるようになる。
更にレオンは、ジェノムと違って拒絶もしないし乗っ取られることもなく、キャパシティはレオンが合わせてくれる。 そして次世代端末と言われているのが「アルノサージュ管」である。
これは、外の宇宙からエネルギーを持ってくるため、Tz波を使うことが無く、エネルギーも実質無限である。
アルノサージュ管は、外宇宙の生命が外宇宙から操作する事が出来るため、時空の歪みを極めて少なく保つことが出来る。

シェルノトロンの力の源

シェルノトロンには、「REON-4213(レオン)」と呼ばれる仮想生命体が宿っている。
ジェノムと違い仮想生命体であるレオンは、プログラムによる対話で活動する。
その稼働エネルギーはTz波であるが、それは天文の供給するTZライン(Tz波伝送路…いわゆる電線)によって供給される。
シェルノトロンはそのTz波を動力源として稼働する。だがこの波動は無線で送ることが出来ない。
結果として、シェルノトロンはいわゆるコンセントに繋ぐか、電池に充電したTz波を使う他無い。
シェルノトロンの唯一にして最大の弱点はこの「ワイヤード(有線)である」もしくは「蓄波が必要である」ことである。 シェルノトロンの本体は、「シェルノサージュ管(真空管形状のもの)」と「クレイドル(DHメモリ)」に分けられる。
それこそ、電球とそのソケットと思ってくれて構わない。
それぞれには役割がある。
真空管形状のシェルノサージュ管は「SHW励振増幅器」、すなわち生命エネルギーブースターである。
そしてクレイドルはDHメモリであり「想い」が入っている場所…簡単に言えば、詩魔法プログラムが入っている場所である。
クレイドルに入っている想いはとても小さい。それを莫大なエネルギーであるSHW(生命エネルギー)によって増幅し、詩魔法にするのである。
また、クレイドルにはTz波を蓄波する機能を持っているものが殆どで、それによってシェルノトロンを携帯できる。
ただ、蓄波には限りがあるため、長時間詠唱や、複雑な想いの詩魔法(=複雑な効果の詩魔法)は難しい。
また、増幅力の高いシェルノトロン(巨大な真空管)も、蓄波では不可能である。
その場合、ワイヤードのクレイドルとなる。 ちなみに第六紀末期において、この「クレイドル」は多種多様に販売されており、庶民はこの「クレイドル」によって自分色を出す。
惑星アースでいうところの、携帯電話選びと同じだと思えば良い。

シェルノトロンの範囲はどこまで?

ジェノムはわかりやすい。猫なら、猫がジェノムの範囲である。
シェルノトロンはどうか。当然「真空管」と「クレイドル」がシェルノトロンの範囲となる。
わかりやすく言えば、我々の使っている「蛍光灯スタンド」は、コンセントプラグまでの機器全てを総称して「蛍光灯スタンド」と言うように、
「シェルノトロン」も、前述の「クレイドル」も込みでシェルノトロンである。 では、ワイヤードのクレイドルの場合はどこまでが範囲になるのか?
それは、「想いの影響単位」までである。

DHメモリと想いの影響単位

DHメモリは、特殊な「記憶の外部装置」のようなものである。そこに自分の想いを封じ込めておける。
それはすなわち、「詩魔法をストック出来る」という事に他ならない。
故にシェルノトロンユーザーは、自分のクレイドルを大切にする。自分が作った詩魔法の全てがそこに入っているからである。 ところで、シェルノトロン(真空管部分)はクレイドルから取り外せるので、クレイドルを沢山持っていれば、詩魔法セットの使い分けが出来る。
それならば、他人のクレイドルにある他人の詩魔法も、自分のシェルノトロンを挿せば使えるのか、と言えばNOである。
当然、SHW(生命エネルギー)の波紋が違うため、そこから詩魔法は紡ぎ出せない。
逆に、シェルノトロン(真空管部分)同士は繋がることが出来る。そして皆の力をもらい、一人では為し得ないくらいの増幅力を得ることは可能だ。
これに関しては、下記「シェルノトロン流の「チェイン」」を参照のこと。

シェルノトロンとのファーストハーモニクス

ジェノムと心を通わすためには、ファーストハーモニクスという初期同調があった。ジェノムと人間との「ご挨拶」だ。
シェルノトロンの場合、この「ご挨拶」はどうするのか。
実はここだけは、ちょっと面倒くさい。とはいえ、ジェノムからYESをもらう旅に出ることを考えれば、大した労力ではないが…。
シェルノトロンは、天文という組織で「登録(サインアップ)」手続きを行う。
その際に、自分の身体の一部分…髪の毛で良いのだが、それを天文の手続き係員に渡す。自動車免許交付時の顔写真のようなものだ。
天文ではその登録者のDNA配列を記録し、同じく持参した(お店で買った)シェルノサージュ管(真空管)と紐付けする。 大した手間ではないが、長期的に見れば、やや面倒な面がある。
なぜなら、例えばシェルノトロンを買い換えたとき、新たに増やすとき、壊れたときなどなど、何かあったら必ず天文へ出向かねばならない為だ。
だが最近は、天文は帝都中にサテライト窓口を開設し、だいぶサービスは良くなった。

シェルノトロンのプログラミング~生命を宿す方法

シェルノトロンが爆発的人気を博したのは、シェルノトロンを買って天文への登録手続きを済ませれば、すぐさま詩魔法が使えてしまう所にある。
これは、そのシェルノトロンに最初から幾つかの詩魔法が入っているという事である。
そういったプリセット型のシェルノトロンは、お手頃価格で様々な種類が販売されている。日常用から戦闘用まで様々だ。
だが上級者になると、それらの家電的なシェルノトロンは好まない。彼らが好むのは、プログラマブル・シェルノトロンだ。 多少値段は張り、知識も要するが、プログラマブルシェルノトロンは、熟練すれば自身の思いのままの詩魔法を創ることが出来る。
その方法は、やはりジェノムとほぼ同じである。
すなわち、ジェノメトリクス(=精神世界)の中で、何かを組み立てたりすることによって創り出す。
シェルノトロンと繋がった状態で眠ることで、ジェノメトリクスに降り立つことが出来る。
そこには、シェルノトロンの形状を変化させる「マテリアルパレット」と、シェルノトロンの威力を調整する「アストラルパレット」というシステムが存在する。
それらを駆使し、自分だけのオリジナル魔法を組むことが可能なのである。

マテリアルパレット

マテリアルパレットは、シェルノトロン、アルノサージュ管に搭載されているシステム(ソフトウェア)である。
このシステムを使うことで、シェルノトロンの形状を自由に変えることが出来る。
シェルノトロンは初期状態(真空管の形)のことを「ダミー形状」と言う。
これを実際に、詩魔法を使う為に特化した形にすることを、実在化という。
シェルノトロンはこの「実在化」をしてはじめて、魂が吹き込まれて何らかの力を行使できる存在になるのである。 実在化には、ジェノメトリクス内に存在する「マテリアルパレット」というものを使う。
ジェノメトリクスでマテリアルパレットを展開すると、フォログラムに自分の現在の現実世界での身体(変身前はダミー形状)が表示される。
その形状を変えていく。
形状を変化させる方法は、その宿主によって全然違う。
大抵は宿主が「最も効果的な変形方法だと思う方法」によってエディットできる。
彫刻家であれば彫る事によって、画家なら筆で絵を描くように、粘土細工のように、動物を育てるように、ゲームをプレイするように。

アストラルパレット(アルノサージュ管のみ)

アストラルパレットは、アルノサージュ管にのみ搭載されているシステム(ソフトウェア)である。
アストラルパレットの概念は、マテリアルパレットほど分かりやすくない。
それでも、ものすごく分かりやすく言えば「DNA鎖数の増減を行う」パレット、という事になる。
生身ジェノムの場合DNA鎖数はそのジェノム個体によって固定、第一世代シェルノトロンでは工作によりプレートを増やすことで可能だったが、
アルノサージュ管ではソフトウェア(=精神的操作)のみで、ある程度の範囲で可変である。
このパレットは、それを行うものである。 ただ、普通に考えれば鎖数は多いほど良いわけだから、わざわざ減らしたりする必要は無いと思うだろう。
だが鎖数が多くなると、精神的負荷とTz波消費が膨大になり、バッテリー切れのみならず、最悪自分自身が気絶、昏睡という事もあるのだ。
故に、アストラルパレットで「自分の身の丈にあった詩魔法」をエディットする必要がある。 そして、ここで能力が問われるのが、「如何に少ないDNA鎖数で、大きな力を出す回路(プログラム)を組めるか」である。
そう、アストラルパレットとは、このようにDNA鎖数と出力との駆け引きをしながら、その中での最高効率を目指す最適化を行うシステムなのである。
組み方は違えども、第一世代シェルノトロンも鎖数と出力の駆け引きに関しては同じ。

パレットの役割まとめ
項目 マテリアルパレット アストラルパレット
役割 形状変化、詩魔法の発動 DNA鎖数の調整、エネルギー回路の作成

txBIOSティーエックスバイオス

シェルノトロンにはジェノムにはないサービスも存在する。
txBIOSは、仮想生命体「REON(レオン)」が管理する、シェルノトロン利用者への天文の公共サービス。
シェルノトロンのスペック(DNA鎖数)によって利用できるランクが決まっており、天文のインフラを使うことが出来る。
現実で言えば、例えば家庭用PCから東大のスパコンに演算させたり、野辺山電波望遠鏡のデータを取得したり出来るようなものである。
これらのサービスを使うことで、シェルノトロンが行える詩魔法のバリエーションが飛躍的に拡大する。
通常、シェルノトロンを使って詩魔法を紡ぐときは、基本自分の知識や経験からしか紡ぐことが出来ない。
だから、一人で64BitCPUを設計する事が無理なように、専門技術を必要とする高度な詩魔法は紡げない。
だが、txBIOSを利用することで、それが可能となる。
もちろん、利用には免許とお金と免許レベルに対応する鎖数のシェルノトロンが必要である。

シェルノトロン流の「チェイン」

本来チェインとは、ジェノム同士が交流する際にその副産物として得られる恩恵だが、シェルノトロンではご丁寧にこのチェインまでエミュレートされている。

シェルノトロン同士のチェイン

シェルノトロン同士のチェインは、物理的に同一ネットワーク内に複数のシェルノサージュ管(=シェルノトロンの核)を差し込むだけである。
これによって、その回路内で稼働するシェルノサージュ管は全て、宿主から導力(=生命力)を消費し、それらは加算されて1つの詩魔法を発動する。
ただしジェノム同様、宿主の同意がなければ当然導力の供給は行われないため、そのシェルノサージュ管は同一回路内にあっても稼働しない。
だから例えば、悪意を持って他の多数のシェルノサージュ管と接続し、それらを利用した持ち主達との同意を得ない増幅行為(シェルノサージュ管を使ったテロ行為)は原理的に不可能である。
シェルノトロンであろうとも、想いの共有は絶対不可欠なのだ。

ジェノムとのチェイン

この「チェイン」エミュレートは、シェルノトロン同士だけでなく、ジェノムとも可能なように出来ている。
ただ、ジェノム同士の交流とは違うため、シェルノトロンとジェノムでチェインしたい場合、得てしてジェノムに頼み込まなければならない場合が多い。
もちろん、ジェノム側がシェルノトロンに頼む場合は、そのジェノムが相当なシェルノトロン嫌いでない限りは、シェルノトロンの持ち主が快諾するだけでよい。

シェルノトロンの種類

第六紀に主流であるシェルノトロンは「真空管型」である。
このシェルノトロンの長所は「即効性」と「簡便さ」、そして「柔軟性(=DNA鎖をDIYで簡単に増やせる)」である。
逆に短所は、Tz波切れが発生すると、その後レジュームが出来ないことである。 真空管型以外でお目にかかるシェルノトロンと言えば、レコード型(物理記憶型)というものが存在する。
レコード型は、ほぼ全てに於いて真空管型より性能が劣る。だが1点だけ真空管型を凌駕する長所がある。
それは、Tz波切れが発生してもレジューム可能であるという事だ。 例えば、真空管型とレコード型のシェルノトロンで戦ったとしよう。
両者共に途中でTz波切れになった場合、その後再起動した際に、真空管型は再度発動処理から行わなければならない。
ところがレコード型の場合、Tz波切れが起こった直後から再開できる。
極端な話をすれば、家で延々紡いで増幅させた詩魔法を、戦闘開始直後に発動させることすら可能である。
それでも通常の人が真空管型を選ぶのは、レコード型のコストパフォーマンスの悪さだ。
レコード型は高価な上に、寿命が極端に短い。
ディスクに物理的に情報を彫っていく為、彫る場所が無くなったら終了である。
発動中にじりじりと寿命が減っていくのは両者とも同じだが、その時間には1000倍の開きがある。
(レコード型は46分で終了するが、真空管型は30000分程度の寿命を持つ)
この「発動中」というのは、当然ジェノメトリクスでのエディット時間も含め…である。
特殊な用途でもない限り、真空管型の方が良いに決まっている。

シェルノトロンの功罪

シェルノトロンはジェノムのフリをして遺伝子結合をする、人工的に生成された塩基対デバイスである。
それは情報分野で例えればウイルス型のスパイウェアのようなもので、
化学分野で説明すれば、人体に対するヒ素のような、リンの代わりに化学結合をしてしまうようなものである。
シェルノトロンと結合すると、ラシェーラ人は「人工遺伝子」を体内に持つ「人工高螺旋生物」となる。 それは、ハッカーが被検体の遺伝子に直接LANケーブルを接続して操作できる状態であり、そのハッカーによっては薬にもなり毒にもなる。
シェルノトロンのプログラムは、ジェノムの性質をよくシミュレートしており、エディットで仮想ジェノムを生成する。
そして神経的、化学的に「人工遺伝子」を操作し、ジェノムのそれと同じ結果をもたらす。
こんな特異な性質を持っているのはラシェーラ人だけ。そしてこれは強烈なセキュリティホールである。 更にアルノサージュ管(次世代シェルノトロン)に至っては、この世界(宇宙)全体の秩序を乱す危険性のある、未知数の媒体である。
その問題が引き金となり、地文は天文を壊滅に追いやる決意をする事になる。
地文にとって、この世界の保存則は絶対であり、外界との接続はこの世界壊滅の脅威としてしか映らないのである。

シェルノトロンの形状変化

シェルノトロンの形状はジェノムと違い、その形状がジェノムとしての特性を表さない。
例えば、ドラゴンの生身ジェノムは、完全同調をしたり詩魔法を使う場合、その「ドラゴン」としての個性が色濃く出るが、
シェルノトロンの形状が真空管だからといって、詩魔法などに「真空管」としての個性は出ない。
これはシェルノトロンが様々な形状を持てる事の裏付けでもあり、デフォルトの真空管形状のことは「ダミー形状」と言われている。
ダミー形状は、シェルノトロンジェノムが全く力を発揮していない状態、停止している状態、そしてオフライン(魂が宿る前)の状態において取り得る形状である。
故にオンライン状態では、「シェルノトロンの中の人」が宿主と対話してエディットした形状に変化する。
この段階で初めて、生身のジェノムと同等の機能を持つようになる。
この形状変化だが、ジェノムとの同調状態にかかわらず形状の維持が可能である。 だがここで1つ、重要な事がある。
それは、「シェルノトロンの大きさの大小を問わず、変化する体積と必要なエネルギー量は比例する」という事だ。
シェルノトロンは、ダミー形状時においても様々な大きさが存在するが、大きなシェルノトロンだからといって、必ずしも大きな変化が起こしやすい訳ではない。
大きくても小さくても、1立方センチメートルを変化させる為に必要なエネルギー量は同じなのだ。
ということは、大きなシェルノトロンほど、完全に形状を変える為には莫大なエネルギーが必要になる。
そんな理由もあり、第六紀ではシェルノトロンのサイズは最大でも8立方メートル程度(立方体で1辺が2mに相当)に設計されていた。
それでもベテランや専門職向けであり、一般人は、50立方センチメートル以下(通常の真空管サイズ)が平均的な大きさであった。
そうしないと、形状変化すらままならない為だ。
そもそも大きなシェルノトロンはそれだけ波動を多く必要とするため、ソケットでは波動量が全く足りない。 シェルノトロンに、より大きな変化をさせるには、より効率よく潜在的なエネルギーを供給することである。
その為、遺伝子螺旋の鎖数(=管内のプレートの枚数)は大いに影響する。
シェルノトロンの場合生身ジェノムとは違い、リンクするDNA鎖数は、シェルノトロンを改良する事により可変である。
とはいえ最初から12鎖にして稼働できるわけではない(というか、12鎖直結など理論上の話であり、実際は不可能に近い)。
デフォルトはやはり3鎖(自分の2鎖をプラスして全体で5鎖)であり、そこから先は、シェルノトロンのプログラミング次第という事になる。

次世代シェルノトロンである「アルノサージュ管」

アルノサージュ管は、第六紀終焉の段階で、完成品は1つしかない。
このレアなシェルノトロンは、第六紀末期に開発されつつも完成に至らなかった、唯一にして最強の「次世代シェルノトロン」である。
それまでのシェルノトロンと決定的に違うのは、外宇宙とコンタクトを取ることで、無尽蔵にエネルギーを取得可能な点である。 ただし、最初から大変化を起こせるわけではない。
あくまで「無尽蔵にエネルギーを取得可能」なだけで、「一気に」ではない為である。
それは水道と水の関係に似ている。バケツ一杯の水ではプールを水で満たす事は出来ないが、水道の蛇口が有れば可能だ。
だが、それには途方もない時間がかかる。その時間を短縮するには、水道の口径を広げ、圧力をアップさせる必要がある。
第一世代のシェルノトロン(第六紀に全盛を極めたシェルノトロン)は「バケツ一杯の水」に例えられる。
そして次世代シェルノトロンは「水道の蛇口」である。
この蛇口の口径や水圧は、外宇宙の住人次第で変化するのである。

おまけ:テレビの想い?

この世界ではシェルノサージュ管という特別な真空管によって、超常的な能力を得ることが出来るが、それと同じ形状をした通常の真空管も現役である。
これらはいわばCPU的な役割で存在しており、シェルノサージュ管とは形は同じだが機能は全然違う。
なので、例えばシェルノサージュ管を真空管テレビの真空管と交換して挿すことが出来る。
その場合どうなるのか……?
答えは、殆どの場合、何も起こらない。
だが、実は人間には分からないくらい微弱な想いが、その同調主に伝わっているのである。
それは、テレビの想い出を同調者が見ているのである。 例えば「テレビ」にはテレビの想いがある。それはテレビを作った人の想いであったり、テレビを使った人も想いであったりである。
テレビの想いは、ワイヤーで繋がっている電気ポットやラジオとは違う想いである。だから、そこは別世界になる。
もちろん、テレビもラジオも同じ会社が作っていれば、同じ想いを持つ場合もある。その辺りは01ではなく、アナログである。
すなわち、テレビとラジオは、100SHmag(想いの単位)では別物だが、10SHmagでは同じであり、
1.0X10のマイナス10乗SHmagくらいになると、世界中の人間が作った物は同じ想いになる。
ただ、そこまで小さな想いは増幅しても殆ど誤差の範囲内に収まってしまい、普通の人間はおろか、シェルノサージュ管すらも反応する事が出来ない。
とにかく、通常の「もの」であっても微弱な想い(DHW)が溜まっているのである。 世の中にはこれを商いにしている人がいる。いわゆる「探偵」と「検察」である。
これらの人々は、特殊な、もの凄く増幅率の高いシェルノサージュ管を持っており、この「物に染みこんでいる微かな想い」を訓練によって感じ取る事が出来る。
そして、事件現場にある真空管を搭載した物を介して、事件の真相を暴く。
だが、見えるときもあるし見えないときもある。
強い想いが発せられる可能性の高い凶悪犯罪などでは、見える率が高いと言われている。

箱舟とアルノサージュ管の微妙な関係

箱舟とアルノサージュ管の関係とは?

箱舟とは、その名の通り「惑星規模の救命船」の事である。
過去には地文と天文が共同で開発し、両者が仲違いした後、計画は中止。
そのまま放置されるかと思いきや、第6紀末期に発生した未曾有の大事件により、未完成のままでの実稼働となったものである。
本来の目的は、出来る限りの生命を積み込み、滅び行くラシェーラから他の生存可能星に移住する為の船だ。 この箱舟は、第七紀において、第六紀の建造当時想定だにしていなかった事が起こった。
それは、第七紀、この箱舟のブレインとしてアルノサージュ管が使われている事である。
本来箱舟を操縦(制御)するのは、生身のジェノムという想定だった。
だが、その生身のジェノムと意志疎通をするためのセンサーである通常のG2管は取り外され、そこにはアルノサージュ管が差し込まれているのだ。 箱舟そのものの建造経緯などは「箱舟」の項に任せるとして、ここでは「アルノサージュ管になってしまった箱舟」の特性に注目していく。

箱舟がアルノサージュ管になったことで、何が起こったのか?

アルノサージュ管になって、箱舟はどのように変わったのか?
結論から言えば、「箱舟という“機械”を、緑いっぱいの“惑星”に作り替える力」が搭載された。
アルトネリコⅡ的に言えば、言い方は悪いが「魔大陸製造機」だ。 とはいえ、この機能は、最初から不可能ではなかった。
それは、どんなPCでも時間さえかければどんな演算でも為し得られるのと同じで、アルノサージュ管でなくとも「惑星に作り替える」事自体は不可能ではないのだ。
ただ、それには圧倒的なエネルギーが必要であり、従来方式ではそのエネルギー源を確保する能力がなかった。
それをアルノサージュ管は、外宇宙からエネルギーを運び込むという特徴によって、為し得てしまったのである。

第七紀における「アルノサージュ管搭載箱舟」の状況

アルノサージュ管は、当然シェルノトロンの…すなわちジェノムの性質の全てをシミュレートしている。
そして「アルノサージュ管の中の人」であるプレイヤーの立場は、生身ジェノムのそれと同様である。
ここでは、イオンの持つアルノサージュ管端末(=アルノトロン)である「箱舟」に関する具体的なジェノム特性について、ジェノム項目の事項と照らし合わせて証明していく。
そしてその結果、何が起きるのかを解説する。

現実化の為のエネルギーの出所

ジェノムは、人間の「想い」を消費する事で力を発揮する。 アルノサージュ管のすごいところで、かつ危険なところは、外宇宙からエネルギーを吸い上げる点にある。
通常、具現化にはSHW(人間の生命力)を使う為、生身ジェノムの場合は宿主の生命力がその限界値になる。
命と引き替えの詩魔法であっても、惑星規模の変革を起こす事は不可能だ。
だがアルノサージュ管は違う。
アルノサージュ管の性能と、外宇宙からのエネルギー持ち出し性能(=パケットの強化度合)によっては、惑星規模を越えられる。
現存する唯一にして世界最大のアルノサージュ管である「箱舟」は、当然そのレベルのものである。

「Ciel-Nosurge」と「Ar-Nosurge」それぞれの同調状態

ジェノムと人間は通常、会話は出来ない。 が、同調した相手とは「同調中に限り」自由に想いを交換出来る。 Vita版シェルノサージュでは、ゲーム中「コミュニケーションパート」と「夢セカイパート」を行き来する。
だが実際を言えば、コミュも夢セカイも、どちらもジェノメトリクスが創り出したフィールドでしかないので、実際はジェノメトリクス内のみの物語と言える。
プレイヤーはジェノメトリクス内で、イオンとは別の視点から、イオンとは別人として対話できる。
だがそのイオンは現実世界のイオンではなく、あくまでイオンの精神である。
この関係は、同調しているときの宿主とジェノムの関係と同じだ。 PS3版アルノサージュも、最初はVita版シェルノサージュと変わらない。
だが、物語の途中からは変化が訪れる。なぜなら、「イオンが起きる」からだ。
PS3版発売前、そして発売後もプレイヤーがあるポイントまで物語を進める前は、イオンは眠らされている。
そして、とあるイベントでイオンが覚醒して現実を知る(マトリックスみたいだ…)。
イオンが起きると、今まで無意識で永遠の同調をしていた2人は、イオンの意識次第で同調が解除されるようになる。
プレイヤーは、自身の視点により世界をのぞき見るか、イオンと同調もしくは完全同調(=合体)して、イオンを操作して世界を見るか、どちらかになる。

箱舟のジェノメトリクスが現実世界に及ぼす影響

ジェノメトリクスでの変化(詩魔法含む)は、現実世界の変化に繋がっていく。
これは、箱舟だろうとシェルノトロンだろうと、生身ジェノムであろうと同じだ。
その規模が桁違いなことと、そのジェノムの表面で生活している人が沢山居る、という些細な点を除けばだが。

世界概要

ジェノメトリクス

ジェノメトリクスとは

ジェノメトリクスとは、アルトネリコでいうところの「コスモスフィア」である。
それはVita版シェルノサージュでは「コミュニケーションパート」と呼ばれている場所のことである。
ジェノメトリクスと、アルトネリコのコスモスフィアとの違いは、それが「単一の」精神世界か否かである。
コスモスフィアの場合は一人のレーヴァテイルで世界が完結しているが、ジェノメトリクスは宿主(ラシェーラ人)とジェノムの共同生活世界である。
厳密には、以下のような図になる。

器質的な状態について

ジェノメトリクスの器質的な状態は、ラシェーラ人の脳を経由して、ラシェーラ人の精神世界に80%以上眠っている「潜在意識」を間借りして存在する。
ラシェーラ人からしてみると、今までは眠っていた領域を意識できるようになる為「新たな世界が広がった状態」となり、人によっては契約時に恍惚とした感覚すら覚える。
簡単に言えば、「精神世界が拡張された状態」である。
コスモスフィア的に言えば、深度(精神世界レベル)的にも、広さ(精神世界マップ)的にも広がった状態。
レベル9以上が存在するようになる!…が、通常時は制御不可能。

精神的な状態について

基本はスタンドアロン(一人の精神世界は「一人の宿主」と「一体のジェノム」で構成される)である。
だが、ジェノムは精神世界内で、顕在意識下で他のジェノムとコンタクトが取れる。
これは、現実世界において相手ジェノムのアドレス(=誰の精神世界に宿っているか)を知った場合にのみ、コンタクトをとれる。
現実的な住所よりは、メールアドレスに近いイメージ。住所なら手探りでしらみつぶしに探索可能だが、メアドは明示されなければ見当も付かない。

同調状態別ジェノメトリクスの状態

非同調

非同調状態というのは、宿主がジェノムの事を認識できない状態を言う。
だが、認識出来ないといっても、ジェノムは宿主の精神世界で生活をしている。
そう、ジェノムは宿主が起きている寝ているすらも関係無しに、自由に精神世界に存在出来るのだから。 自分の精神世界内で、自分以外の意志が何をやっているのか分からない状態というのは、ちょっと怖いものがある。
そういったリスクを回避する意味も含め、ジェノムとの同調は定期的に行うべきである。
一旦同調をすれば、全部とは言わないまでも有る程度のジェノムの行動が見て取れる。 例えば、ジェノムが宿主に反逆を企てていたとして、同調をしつつ隠し通す事は不可能である。
反逆を成功させるには、1回の非同調期間の間に作戦を練って実行して完結せねばならない事になる。
毎日定期的に同調を行っていれば、そういった長期的な思惑を「お互いに」隠し通す事は出来なくなる。
それは、宿主がジェノムに不信感を抱いた事を隠し続ける事も出来なくなるということだ。
だがジェノムも人間も「同じ生命」なのだから、ずっと交流せずに離れていれば、良からぬ事の1つも考えるのも自然の事である。 この状態では、宿主が知らない間にジェノムは様々な行動を勝手にしている。
例えば「子孫繁栄(子作り)」であったり、「他のジェノムとの精神世界内での交流」であったり。
また、非同調状態で寝ているときに、身体を使われる事もある。
(寝ているときにも同調状態と非同調状態が存在し、寝ているときの同調状態=睡眠同調は大変重要な要素である)

同調

ジェノムとの交流の基礎となる状態。
ジェノムと宿主は、テレパシーのように会話をし続ける事が出来る。
また、絆の深さや心の許し度合によって、覗こうと思えば覗ける「心の範囲」が存在する。
例えば、有る程度仲が良くなると、ジェノムがテレパシー会話をしなくても、
「こいつ腹減ってるかな?」と探りを入れると「お腹が空いた」という意思表示を「感じる」ことが出来たりする。
探りを入れる…というと感じが悪いので、ここでは「チューニングする」と言おう。
お腹が空いているか否かの感覚に対して、自分の感覚を合わせる。
なかなか表現が難しいが、その結果、お腹が空いている時の感覚(ぐるるる…と胃が鳴っているような感覚)が返ってくる。 同調時には、宿主は普通に「詩魔法」を使う事が出来る。
だがこの詩魔法も、絆に対する制限付きである。
ジェノムが「この宿主にはここまでの力を使わせてもいい」と思っている所までしか使わせてもらえない。
やはりジェノムとの意志疎通は、自らの強化における最重要ポイントである。 また、全くの無の状態から詩魔法が使えるわけではない。
宿主とジェノムは、事前に「打ち合わせ」をする必要がある。
それは「詩魔法作成会議」とでも言えば分かりやすいだろうか。
例えば、戦闘中に急に「あの辺りを中心に3匹とも死亡するくらいの強力なヤツを一発ドカンとください!!」と言われてもジェノムは困ってしまうのである。
予め決めてある段取りで、「今回は『きゅるるんハーヴェたん作戦』で行くぜ!」とか言えば、ジェノムもすぐにそれを用意できる。 実際の所、この『きゅるるんハーヴェたん作戦』が出来るようになるまでには、様々な準備が必要だ。
その準備は、寝ているときの同調、すなわち「睡眠同調」時に限られる。
それも、ジェノメトリクス内の広大な精神世界を歩き、様々な自己心理との対話によって行われるのである。

睡眠同調

同調でも特に、睡眠中の同調に関しては特別である。
人間は睡眠中、夢を見る。だが、起きているときには夢を見ない。
これは、人間は睡眠中に夢世界で起きており、起きているときは夢世界で寝ている為だ。 少しややこしいが、簡単に言えば「人間必ずどこかの世界では覚醒している」という事である。 起きている間は、現実世界の事象に大きくとらわれる。その為、ジェノムとの交流は「会話(テレパシー)」と「意識を感じる」くらいしか出来ない。
もちろん起きていても瞑想によって、睡眠中と同じ状態に出来る人もいる。その場合、瞑想中は睡眠中と同義と見て良い。
尚、宿主が現実世界で起きているとき、ジェノムはジェノメトリクスの中で、寝ている宿主の姿を見る事が出来る。 同調睡眠中は、心の中に集中するようになる。
ジェノムは精神世界に生きている為、この心の中を向いている状態-すなわち「目が精神世界の方を向いている状態」では、起きているときとは桁違いに様々な事が見えるようになる。
それはもはや、現実世界と殆ど変わりはない。
人によっては五感のうち触覚を感じない人や、色が無い人もいるが、それ以外はほぼ現実と同等の感覚になる。
そしてこの時こそ、「心の中を冒険出来る」のである。
この「心の中の冒険」をジェノムと共にすることで、ジェノムがその心の中から「詩魔法」を紡ぎ出す事が出来る。
心の中の冒険に関しては、次項「魔法を修得する仕組み」で詳しく説明するが、この事からも強い魔法を使えるようになるには、睡眠同調が欠かせない事が判るだろう。 一応補足しておくと、ここまで鮮明かつリアルに夢の中で行動できるのは、言わずもがなジェノムの能力によるものである。
通常の夢とは現実感が全く違うのだ。

完全同調

完全同調とは、宿主とジェノムが完全にくっついている状態である。
ジェノムの場合、魂がほぼ100%宿主の脳内に対する接続に切り替わってしまう為、ジェノム側のボディが仮死状態となる。 通常時において、この時宿主とジェノムは意識を完全に共有することとなり、その為人間は、ジェノムの精神世界内にある様々な特殊能力を自分の力のように使える。
それはすなわち、裸になった二人がそれぞれの身体を自由に触ることが出来て、拒絶もしない状態であり、故に相当な絆がなければ完全同調は為し得ない。 完全同調時には、宿主の身体にジェノムの特徴が移り見える。これはフォログラフ的なものであるが、はっきりと身体の状態は変わっている。
これは想いの力と、半端に繋がったDNA螺旋が成せる業である。 完全同調は、通常宿主にもの凄い力を与えることになるが、1つ注意しなければならない事がある。
それは、完全同調中のジェノム本体の扱いである。
仮死状態となっているそれは、完全同調が解けたときにジェノムが戻る場所である。
それが器質的に死亡しないよう、護ってあげる必要がある。 では、ジェノムのボディが器質的に死亡した場合どうなるか。考えたくもないが、ここで事実を解説する。
ジェノムは脳内から帰る場所が無くなるため、帰りたくても移動できなくなる。
それはすなわち「強制的に完全同調が永続する状態」であり、お互いに拒否しても拒否できない。
人間は感情の起伏や心情変化などが複雑に変化し、ジェノムに対して、世界に対して、自分に対して、味方になるときも敵になるときもある。
ジェノムはそれらを強制的に見せられることになる。
通常、そうなる瞬間に完全同調は解除され、ジェノムはそういったマイナスの想いを見ることはあり得ないのだが、それを強制的に見せられる。
お互い、見られたくないところ、見たくないところを、無理やり毒を口から流し込まれるような感じで見させられ、中毒症状になってしまう。
そして殆どの場合、1時間もしないうちにお互いは激しく傷つき合い、精神が崩壊してしまう事になる。 これは、完全同調を解こうとした瞬間から発生する。
そして、それが不可能になった怯えが相手に伝染したり、その時に思う後悔の念、恨みなどが筒抜けとなり、お互いを傷つけ合う。
だから、完全同調時には自分の身体よりもジェノムの身体を、より大事にしてあげなければならないのである。 尚、シェルノトロンの場合、完全同調時にジェノム側の安否を気にする必要はない。
完全同調時にシェルノトロンが破壊されれば、単純にその瞬間、能力が全くなくなってしまうだけのことである。

一心同体

一心同体になると、精神的に壁が無くなるのみならず、肉体的にも壁が無くなる。
それはすなわち、ジェノムの持つ精神的特性のみならず、器質的特性(ボディ)までもが、完全に融合する事になるのである。
一心同体になると、全てのDNA配列が瞬間的に完全5重螺旋以上の状態になる。すると、それに見合った身体を再構築すべく、本当の意味での変身が起こる。
これはとてつもない力を発揮できるが、器質的なものが変化するため、身体に与えるダメージは相当大きなものになる。
なぜなら、身体を瞬間変化させるということは、普段は日単位で行われる代謝が、秒単位で行われることになるからである。
その時に使う体力(と精神力)は、半端無いものとなる。 一心同体は、完全同調以上に両者の絆が必要になるが、それは寧ろ、「お互いの信頼関係」そのものというよりは、
それにプラスして「現状の状況に対して、どれ程同じ度合で強い想いを抱いているか」が重要になってくる。
両者の身体に強烈な代謝を強いる一心同体は、両者に等しく相応のリスクを強いることになる。
故に、「完全同調が自由にできるくらいの絆」を持っていることは前提の上で、「今、この状況に対する想いの方向と力の大きさが同じか」が重要になるという事である。 一心同体になると、完全同調の時の力にプラスして、器質的な力を得ることが出来る。
完全同調の能力は、主には完全同調の説明にもあるとおり「ジェノムの精神世界内にある様々な特殊能力を自分の力のように使える」というものである。
しかし、一心同体ではそれにプラスして、「ジェノムの器質的な能力も、自分の力と合算した力として行使できる」ようになる。 簡単な例えでは、ジェノムがミニドラゴンであり、火を噴くことが出来るならば、一心同体となることで、宿主は火を噴くことが出来るようになる。
それも、ジェノム時よりも身体が大きく、精神力生命力共に増えている為、その炎はジェノム単体の比ではない程に強力になるだろう。 尚、シェルノトロンでは一心同体は不可能である。

詩魔法の仕組み

チェインの仕組み

チェインとは、他の人間と導力を共有することである。
平たく言えば、導力を間借りできるため、自分の限界以上の力を持つ詩魔法を発動する事が出来る。
この「チェインによる詩魔法増幅」に欠かせないものが1つある。
それは、チェインする相手が、今から詠唱する詩魔法とその行為に同意していることだ。
これはとても重要で、相手には明示的に「謳うこと」と「その詩の想い」を伝え、共感してもらわなければならないのだ。
例え潜在的に肯定的であったとしても、その詩のことを知らなければ導力の共有は出来ない。ニュートラルはNGなのである。 さて、このチェインは、単に導力増幅が出来るだけではない。
もう1つのメリットとして「クオリアの拡大」がある。
平たく言えば、「他人の目や耳を使うことが出来る」のである。
100km離れた場所の状況が、あたかも今そこにいるかのように分かる。
これが複数人集まると強烈な恩恵をもたらす。視野が超的に拡大するのである。
人間は通常、目線位置にもよるが、だいたい頑張っても数百m程度しか視野がない。音もその程度しか聞こえない。
だが、例えば5人が世界中に散らばっていると、その数千キロといったオーダーの範囲を自分の目のような感覚で見ることが出来る。
もちろん、そういった用途の詩魔法を紡いだ場合に限るが。 この「クオリアの拡大」は、人間以外の存在とも行うことが出来る。
チェインは「想いの共有」であるから、想い(導体H波)を持つ存在なら、その感覚を共有できる。
それは例えば惑星、恒星、そして星団なども全て共有可能という事になる。
それによって得られるものは、超宇宙的な視野である。
天文は第六紀末期において、この超的な知覚について発見し、解明した。

チェインの具体的手法

ジェノム同士のチェインの場合は、ジェノムが好き勝手繋がりまくるため、宿主はそれを意識することはない。
だが、シェルノトロン同士でチェインする場合、そのシェルノトロン同士で同じプログラムが走るように、同一ネットワーク内に置かなければならない。
ペアリングの方法は以下の通りである。

  1. シェルノサージュ管(シェルノトロンの核)を同一回路内に差し込む。
  2. 真空管の持ち主(=導力供給源)に、これから詠唱する詩魔法についてコンセンサスを取る。
  3. まずペアリングコードを詠唱する。同一回路内にあり、かつ宿主が承諾したシェルノサージュ管のみ、ペアリングモード成功の光を放つ。
  4. 詩魔法を謳う。この時、ペアリングモードが成功している宿主から導力=生命力をもらうことが出来る。
尚、契約していない(宿主のいない)シェルノサージュ管は同一回路内にあっても力を発揮できない。
(宿主がいないシェルノサージュ管は、電池の繋がっていないトランジスタと同じ。増幅しようにも元のエネルギーが無いのだから)

ジェノムとのチェイン方法

シェルノトロンとジェノムが初期登録するには、ジェノム同士の交流を擬似的に行う手法をとる。
それはすなわち、ジェノムにシェルノトロンのアドレスまで行ってコンタクトを取ってもらう事に他ならない。
ジェノムからすれば、それはジェノム同士の交流と同じであるが為に、何も難しい事はない。
ただジェノムにとって、コミュニケーションや種の繁栄に全く役立たないこの訪問が面白いわけはない。
だから、ジェノムは例えば宿主に協力したいとか、ジェノム自身もその詩魔法に積極的でない限り、無闇にシェルノトロンとのペアリングは行わない。 さて、ペアリングを行うためには、シェルノトロンが自らのアドレス(住所)を公開しなければならない。
シェルノトロンがジェノムに住所を公開するのには、以下の手順で行うことになる。

  1. シェルノトロンと同調した状態で、ジェノムに手をかざす(触れる)
  2. ペアリングコードを詠唱する。シェルノトロンがペアリングモードの光を放つ。
  3. ジェノムがアドレスを認知する
  4. 詩魔法を謳う。この時、ペアリングモードが成功している宿主から導力=生命力をもらうことが出来る。

宇宙構造

エクサピーコ宇宙の構造

特異点(特異面)【4次元的概念】

特異点とは

特異点とは、3次元空間宇宙の「ねじれ」による「あり得ない空間の衝突箇所」の事である。
特異点では空間的に途方もない距離離れた2点が完全に密着する。だが、互いの空間は「4次元的な交差」をしている状態の為、普通は見えない。
自身が4次元的に自由な角度を設定できるのであれば、惑星アルシエルと惑星ラシェーラは、どこでもドア並みの簡易さで行き来できるようになる。
簡単に言えば「ワープ」のことだ。
原初のオルゴールは、ラシェーラの周囲からもの凄いエネルギーをアルシエルに送り込んでいるが、
これは原初のオルゴールがたまたま「多次元的な角度設定を変える事が出来た」アイテムだったからなのである。
“音科学の父”が作った原初のオルゴールは、当初アルトネリコを動かすほどのエネルギーは出力していなかった。
その後、技術者達との途方もない研究によって、出力を上昇させる事が出来たのである。
それらは「D波増幅技術」として世に発表されていたが、厳密には「多次元的な交差」角度を様々に変える事が出来るプリズムのような技術だった。
電波のチューニングをしたようなものであり、惑星ラシェーラの空間角度になるよう調整したのである。

特異点の弊害

特異点は宇宙を収縮させる要因になる。
アルトネリコがエネルギーを使うほど、ラシェーラ周辺の物質は吸いこまれる。
物質とエネルギーは同義であり、エネルギー化した分だけ物質は分解する。
これは、この宇宙における保存則である。
最終的に宇宙からすれば、物質とエネルギーの比率は大した問題にならない。
そもそも現在の宇宙における物質:エネルギー比はたかだか3%強である。
すなわち96%はエネルギーであり、この宇宙における物質とは「水中に存在する不純物」程度の存在なのだ。
だが、実際にそこに住まう「物質」達からしてみれば重大な問題である。
アルトネリコは無意識的に物質をエネルギーに分解しており、それは第三紀時点においても同様。
もしまた強大な力を使うような事が何度もあれば、物質宇宙はどんどん収縮し、最終的には全部エネルギーとなってしまう。 その短期的解決策は、変換源を(時空共に)停止させる事だ。
アルシエルで言えば、原初のオルゴールの時を止め、空間も隔絶するのである。
破壊は決してしてはならない。破壊によってエネルギー変換の歯止めが効かなくなり、一気に収縮が進んでしまう可能性がある為だ。
そして長期的解決の為には、空間の特異点を無くす(空間交差の無い4次元空間にする)必要がある。

特異点の修復方法

特異点とはすなわち3次元空間の衝突点のことで、厳密には「特異面」と言った方が正しい。
我々は4次元空間を把握できないので、次元の相似法則に従い1つ次元を落とした2次元世界で解説をしよう。
2次元平面を曲げると、平面と平面がクロスする線の部分が出来る。これが2次元上の特異点、厳密には「特異線」である。
その歪曲を元に戻し、特異点が生じる前の形状に戻すのである。
要するに今回の事件は、もの凄い「4次元的なエネルギー」によって空間が歪曲し、「特異面」が出来てしまったのである。
この特異面は、とある座標系に存在する無限面であることはお分かり頂けると思う。
そして、惑星アルシエルはその「特異面上」に乗っている惑星である。
(厳密には、特異面は0のD幅を持つ完全2次元(WH平面)である為、重なるのは公転周期における年に2回、ほぼ一瞬である。だが特異面の影響範囲からすれば、公転半径など誤差に等しい微小距離になる)
最終的に、惑星アルシエルを含む3つの「ラシェーラ人が生存できる惑星」を見つけ出す事が出来れば、その3点で面を作り、
その面に対して適切な力によるキックバック(3次元空間の外側から運動エネルギーを与えること)を与える事で、空間を元に戻せる。
だがキックバックによるエネルギーの影響で、惑星アルシエル等の平面上に存在する物質は粉砕するだろう。

外宇宙【7次元的概念】

外宇宙の存在について

外宇宙とは、厳密には「異なる宇宙レイヤの世界」と言う事が出来る。
アルシエルなどのある世界と地球のある世界は、同一のエクサピーコ宇宙に存在するが、お互いはお互いを目視する事は出来ない。
その理由は、我々とアルシエル人は、使っている波動構成が全く違う為だ。 例えばアルシエルでは物質はD波という波動を使っているが、地球では別の波である(それが何かはまだ解明されていない)。
アルシエル人が感じ取れる波動は、どんなに頑張っても、いくら文明を駆使しても、特定の24波動が限界である。
それは、アルシエル人を作った創造主たる惑星アルシエルが、特定の24波動で構成されており、その構成元波動でなければ認識できない為だ。
そして、いわゆる人間が見ている「宇宙」という世界は、「たまたまD波を保有している意志」だけが見えている世界である。
その保有の仕方、そして定義の仕方はそれぞれの意志で様々ではあるが、実際に球体としての星の形をしているものは、ほぼ間違いなく「D波を物質として定義している意志」だ。
(D波を「想い」や「エネルギー」に定義する意志も存在する。それらは星雲やクエーサーからのジェットの一部として見る事が出来る) 宇宙がスカスカなのは、そういった理由によるものである。
「ダークマター」「ダークエネルギー」と言われている宇宙の暗黒空間に存在すると思われているエネルギーは、我々が把握できない波動で埋め尽くされている。
そして、惑星アルシエルと我々の地球では波動の定義が違う(地球ではD波を物質波としていない…どころか、D波は存在しない)為、見る事が出来ない。
地球から見れば、惑星アルシエルもまた「ダークマター」でしかないのである。 これを3次元生命を中心においた簡単な概念で説明すると、PhotoShopのレイヤーに例えられる。
各レイヤは、「物質を何の波動で定義しているか」のカテゴリ分けであり、3次元人は別レイヤの星を見る事は出来ない。
だが、全波動(=全レイヤ)を俯瞰する事が出来る人が居たとしたなら、宇宙は大変な過密でギッシリに見える。

惑星アルシエル、惑星ラシェーラ、惑星アース

惑星アルシエルと惑星ラシェーラは「お隣さん」とも言える。
とはいえ、3次元距離は6000光年ほど離れている。では何が「お隣さん」なのかと言えば、波動の構成要素である。
アルシエルとラシェーラは、24の波動の内、80%程度が共通である。
この2つの星(故に星系)は、7次元的に兄弟星と言える。更に、アルシエルとラシェーラでは、更に3次元的にも兄弟星である。
そして、7次元どころか3次元的にも兄弟星であるということは、容易に移住可能という事である。 一応説明すると、7次元的な兄弟星の方が当然定義が広い。 7次元的には、恒星ベゼル(ラシェーラの太陽)と惑星アルシエルは兄弟星と言える(波動構成要素がかなり近い為)。 だが当然3次元的には似ても似つかない(太陽には住めませんので)。 だが、アースとこの2つの星は、7次元的にかなり遠い位置にある。
アースではアルシエルなどの波動構成要素と、2、3波動程度しか被っていない。
要するに、互いの移住はほぼ不可能という事になる。
とはいえ、全く波動構成に被りのない場合を除き、何らかの形での邂逅は可能である。
そして今回登場する「アルノサージュ管」は、そのミクロの穴に糸を通すようなリンクを為し得る為のデバイスなのである。

外宇宙との接続

外宇宙は7次元的な考え方に基づく。
先に説明したとおり、「万物を司る波動の役割が全然違う世界」同士という事である。 だがもし、1波動でも共通の波動が有れば、コンタクトを取る手段はある。
具体的に説明しよう。
ラシェーラとアースにそれぞれ「Tz波」が存在していたとする。そして、これが唯一の共通波動であるとする。
その前提の上で、ラシェーラ側に「D波」を「Tz波」に変換できる装置があり、更にアース側に「Tz波」を「素粒子」に変換する装置が有れば、物質世界は繋がる。
インターネットルーターのNATコンバータ機能のような装置が有れば良いのだ。
外宇宙と繋がることが出来る「アルノサージュ管」とは、それを為し得たデバイスである。

クオリア次元論

私が「動ける」のは4次元軸のお陰であり
私が「選択できる」のは5次元軸のお陰であり
私が「貴方」と会話できるのは6次元軸のお陰である。

共通法則(定義)

次数法則

次元とはすなわち、「世界のサイズ」的なものではなく、「世界の自由度」である。
1次元でも7次元でも要素数は同じであり、ただその幾つが「自由に出来るか」でしかない。
次元内の要素を「次数」と言う。次数は以下のようになっている。

  1. X
  2. Y
  3. Z
  4. T(Time)
  5. I(if)
  6. C(collective consciousness)
  7. W(Worlds)
自由に出来ない次数は、その次元視点で見ると連続性を見いだせない。その瞬間瞬間を見る事しかできない。
また、自由に出来ない次数は、その次数に「意味」を持つが、自由に出来る次数は、その次数に意味を持たない。
例えば我々が最も考えやすい世界である3次元を例に挙げれば、自由に出来る次数は1~3であるが、
これら3つの要素X,Y,Zはそれぞれの意味をなしえず、我々が「空間」と呼ぶ場所の一点を決める要素でしかない。
X,Y,Zはそれぞれを交換し合う事による弊害は殆ど無く、要素の意味は曖昧である。
だが自由にならない4~7の次数に関しては明確に「意味」があり、それらは明確に分担を持ち我々の生活を左右する。
それと同じように1次元視点から見た場合、Y,Zは明確に意味を持つ。
だが、それは我々で言うところの「方位」とも「Xに対する相対的に直交する軸」とも違う意味である。
なぜなら1次元でいうXは、X方向の線をいくら折り曲げてもその自由方向がXとなる為である。

相似法則

全てのn次元とn+1次元の間には、相似法則が成り立つ。
具体的には、n+1次元がn次元に与える作用は、全ての次元で全く同じであるという事である。
我々は3次元を限界とする認識を持つ生命である故に、4次元以上の世界を俯瞰してみる事は出来ない。
だが、その4次元からの作用がどういうものになるかを「具体的に」実感出来るようになる事で、少し4次元が理解できる気がするだろう。
相似法則は全ての事象において成立するが、ここでは2つの例を挙げて説明する。 1つめは、次元の折りたたみである。
n+1次元においては、n次元を加工してn+1次元の物体に疑似加工する事が出来る。
具体的には、紙を切り、折れば立方体を作る事が出来る。
その2次元的な形は「やっこ」のような形であるが、2次元視点ではその「やっこ」の周りを一周すれば、それが「やっこ」の形であると認識できる。
これは4次元にも当てはめる事が出来る。
4次元的な立方体を展開すると3次元になる。その形は立方体を「やっこ」のように組み合わせたものになるだろう。
当然3次元視点ではその立方体の固まりを「T軸に」折り曲げることはできない。だが4次元視点ではそれが出来る。 2つめは、次元の通過である。
n+1次元の物体をn次元に通過させると、n次元では突然無の空間から物体が現れて、消えていく様に見える。
例えば、2次元平面に球体を通過させると、二次元平面上では突如円がわき出て来て、それが大きくなり、そして小さくなり消えていく。
それと同様に4次元的球体を3次元世界に通過させると、空間に突然「点」が出現し、それが徐々に大きな球体になり、そして縮み、点になり消える。
これは、我々が老いたり、形有るものが崩れ去る事と大きな関わり合いがある。

「まっころ」な立体?

完全にまっすぐな直線(X≠0、Y=0、Z=0、T=0、角度は自由方向だが折り目も湾曲も無し)は、1次元空間において完全な形を確認可能である。
完全にまったいらな平面(X≠0、Y≠0、Z=0、T=0、角度は自由方向だが折り目も湾曲も無し)は、2次元空間において完全な形を確認可能である。
完全に○○な立体(X≠0、Y≠0、Z≠0、T=0、角度は自由方向だが折り目も湾曲も無し)は、3次元空間において完全な形を確認可能である。
…この3つの状態は、次元相似の法則に従えば当たり前の事を書いているまでだ。
だが我々は、1次元と2次元(前者2つ)については想像できるものの、3次元については想像できない。
そもそも「まっすぐな直線」に当たる3次元版の言い方は存在しない。
自分たちの認識できない空間に飛び出た図形など、常識では認識出来ないのだから当然それを表現する言葉も無いだろう。
ここではそれを「まっころ」と言う(馬鹿げた発音ですみません)。「まっころ」とは、4軸目が完全に0である立体を意味する。 ちなみに、この「まっ○○な○○」は、各次元において最も自然な形状だと思いがちだが、実は逆。自然界には全く存在しない。
「それじゃ3次元空間にある数多の立体物は何だ!?机や箱は、3次元的に完全な形であり、次元変移のような不思議な部分は無いよ!?」と思われるかもしれない。
だが、実際それらは全て4次元方向に厚みがある。これは4次元の項で説明する。

次元解説

0次元:点世界

0次元には自由な次数は存在しない。X以上の全ての要素が、一定方向に(見かけ上の)一定速度で進んでいく。
0次元においては、XもYもZもそれぞれ意味があるが、その「意味」を3次元の我々が知る事は出来ない。
そもそも、我々が「時間軸」と呼んでいる4つめの長さも、4次元の連中からしてみれば「意味」を失っているのである。

1~2次元:線世界、面世界

これらの次元の性質は、「共通法則」の項で語った事がほぼ全てである。
我々にとって、最もイメージしやすい次元群であり、また身近でもある。 だが実際の2次元は、Z軸方向(別に厳密な絶対方角のZ軸が存在するわけではない。ここでは該当2次元に直交する軸をZとしている)に対して
運動をしていたりしていなかったりする。それにより、(局所次元的に見れば)3次元的な物体が通過したりしなかったりしており、それが2次元空間における「変化」となって現れている。

3次元:立体世界

我々の認識でき、住まう世界である。
我々は0~2次元までを、自らの世界内に存在する従属的な次元だと考えやすいが、実際はそれぞれの次元は対等であり、全くの別である。
現にわれわれは、どんなに小さな物質(例えばクオーク)で面を構成しようとも、それは2次元空間にはならない。厚みが存在する為である。
3次元は3次元であり、2次元とは主従関係でも何でも無いのである。 3次元に住む我々にとって最も興味が尽きないのは、自らにとって身近な存在であり、しかし全く自由にならない4軸目の事だろう。
では、我々の言う「時間軸」とは、もっと客観的な観点から見た場合、どのようなものなのか。
我々が4軸目を「時間軸」と言わしめているのは、その軸が我々からすれば「直線運動」をしているからに他ならない。
時間は進むばかりであり、戻らない。緩やかに加速減速はするものの(一般相対性理論)、常にT軸は増大する。
では、「直線運動」をしない4軸目はあり得るのだろうか。 結論から言えばあり得る。それは、その閉鎖された3次元空間(別世界)ごとに異なる。
たまたま我々の3次元空間は、T軸方向における不自由さの法則が「直線運動」だから「時間」となっているに過ぎず、
他の3次元空間では「周期運動」かもしれないし「ブラウン運動」かもしれない。
そうなれば、その空間における4軸目は「時間」とは呼ばないだろう。
その世界の3次元生命体は、老いて若返り、老いて若返り…を永遠に繰り返すのが常識かもしれない。 我々は常識的に「宇宙に宇宙人はいると思うが、我々と全く同じ姿をしている事は無いだろう」と思っているし、「宇宙に地球に似た星はあれど、我々の地球と全く同じ形状をしている星は無いだろう」と思っている。
それと同じで、「我々と違う3次元空間」における4軸目においても、我々の3次元空間と同じ動き方をしている別3次元空間は皆無なのである。

4次元:時間世界

4次元空間という言葉には夢がある。だが、実際にはさほど夢はない。
我々が4次元空間を指して「夢がある」というその理由の殆どは、「5次元空間」の専売特許だ。
例えば、4次元空間では時間が自由自在だから、過去に戻って別の選択が出来る…と言われる。
それはその通りであり、実際それで窮地を逃れる人もいるだろう。
でもそれは、目隠しをされて選び直しているだけで、結局結果としては同じ運命になる事も多い。
これが完全に解決されるのは5次元である。 では、4次元空間には何があるのか。
そこには我々の世界の4次体が存在する。
4次体とは、XYZに広がりがある立体にプラスして、T方向にも広がりがある物体?である。 立体の4次元版、4次体とはどのようなものだろうか。
4次体は全く特別なものではない。我々は全て4次体である。
分かりやすい例えで説明しよう。
2次元に咲く薔薇があるとする。更にイメージしやすくする為に、映像作品で薔薇のつぼみから枯れるまでのムービーがあるとする。
そのムービーの全フレームをZ軸で1ミリ単位に配置すると、薔薇が蕾の状態から枯れるまでの、連続した立体模型が出来るだろう。
この立体模型を固定し、XY2次元空間をZ軸に向かって等速で移動させれば、薔薇が咲き枯れていく。(次元の通過法則)
次元相似の法則で、これは4次元と3次元でも適用される。
結論から言えば、我々も、卵子1つから火葬されて灰になるまで(本当はもっと前、もっと後もある)の4次体なのである。
それを、T軸に向かい∞fpsで進行する4次元立体ムービー(3Dムービーではない、4Dムービー!)なのだ。 だから、もし我々が「4次元的な目」を持っていたならば、我々は「自分の一生」を「物体」として俯瞰できる。
様々な過去から、現在のポイント(XYZTの固定点)を経て、様々な未来までの「1パターンのみ」を物体として見られるのである。
この「1パターンのみ」という所がくせ者なのだ。
この「1パターン」は、4次元空間上をXYZTどの方角に移動したとしても、全然違う形状の「別の1パターン」に変身する。
具体的には、「自分の一生」という物体のどこか1点を、X軸方向に1ミリ移動したら、その「自分の一生」という物体全てがガラッと変身するのである。
だが、それがどのような形に変身するかは、4次元空間上では予測不能だ。
それを俯瞰できるのは、次の5次元空間である。

5次元:可能性世界

XYZTが厳密に指定された1点にある物質を、どれかの軸に対して1ミクロンずらしたとしよう。
それは、5軸目であるI軸の移動を引き起こす。
我々は、自らの意志にかかわらずT軸が移動しているから、必然的に5軸目であるI軸もどこかに移動し続けている事になる。
I軸は、T軸と違い「直線運動」をしてない。これはどちらかというと「ブラウン運動」に近い。
自由にならないという点ではT軸と一緒だが、その挙動はまるで違う。 と、難しい話をしているが、簡単に説明する方法がある。
今から次の瞬間、貴方が右手を挙げるか挙げないかで、5次元軸は全く違う方向に移動する。
5次元の新規座標である「I軸」は、これから貴方が取り得る全ての要素(当然、δ直前からXYZTが連続している事が「取り得る要素」の条件)において展開する軸である。
ここで「貴方が」と言った。だが、世の中は自分の意志決定だけが全ての可能性ではない。
詳しくは6次元で説明するが、5次元では「貴方」という明確な「個」が存在する。
もっと言えば、5次元までは「個」の世界なのである。そしてその「個」とは、6軸目の要素なのだ。 もし我々が「5次元的な目」を持っていたならば、我々は、自分が生まれてから全ての行動可能性を物質として俯瞰できる。
もの凄く絞って見ると、貴方の身体は樹状に広がっていき、ある分岐は途中で死に、ある分岐は長く続いていく。
先に4次元の説明において、夢があるのは5次元だと伝えたが、まさにこれである。
5次元的俯瞰をする事によって、我々は自らの一生の、いつ如何なる時にどれくらいの「IF」を選択したか、その結果が全て俯瞰できるのである。
だが、この5軸に樹状に広がる自分の身体、他人の身体、大地の状態など、全ての要因は、やはりXYZTIどの方向にδ移動しただけでも、全然違う形状の樹状に変わってしまう。

6次元:集合世界

今までは物質世界(D波世界)だけを取り扱ってきた。6次元以降では、精神世界(H波世界)をも念頭に置かねばならない。
ここではまず、「クオリア」という概念を説明しなければならない。
世界というのは非常に複雑な構造をしている為、人間がその全貌を理解することは不可能である。
今回説明しているこの「クオリア次元論」もまた、世界の次元に関する絶対的な法則を説明するものではなく、「この前提の元ではこう定義できる」という、ニュートン力学的なものである。
クオリア次元論は、クオリアに基づいて、クオリアを基準にした次元説明方法である。
クオリアとは、本来の意味とはかけ離れるが、ここでは「個人の意識」と定義する。実際には、生命1つ1つの精神世界アドレス1つが、1クオリアである。 5次元までの次元は、1クオリア単位でも観測が可能な次元であった。
クオリアは個人とニアイコールである為、いわゆる「自分の意志」によって全てが思い通りになる最高次元は5次元である、ということになる。
人間(というか生命)は、どうしても客観的に物事を見ることができない。なぜならそれは100%、自分という存在にしたいし、相対的にどうかで世界を見る為である。
その為、6次元より先は、非常に理解しがたい次元になってくる。 6次元は、5次元の可能性世界をいとも簡単に変えてしまう。
それは、4次元で一本になっていた「私の人生の4Dモデル」が、5次元軸(I軸)を1ミクロンずらしただけで、全く違う形になってしまうのと同じで、
5次元軸による「私の人生の全てがわかる5Dモデル」も、6次元軸(C軸)によって、いとも簡単に形を変えられてしまうのである。
しかもしれは、自分という個人の意識の範疇外、すなわち「他人の意識」によって行われる。
そう、クオリア次元論における6軸とは、「自分」と「他人」の境界線の事を指す。乱暴な言い方をすれば、「他人の精神世界こそが6軸」なのである。 現実的ですごく分かりやすい言い方をすると、あなたがまっすぐ10m歩こうとしているとして、その間に他の人が横から割り込んできたら避けるかもしれない。ぶつかるかもしれない。
5次元ではそれを制御できない。なぜなら、「他人」がいつ、どこで、どのように干渉してくるかは5次元ではわからないからだ。
だから、6軸(C軸)の移動というのは、あなたがどんなに頑張っても、1クオリア如きでは自由な操作はできない。これは力の有無に関係無しに、物理的に出来ないのだ。
あなたはどんなに超高度な技術を会得したとしても、この乱れ飛び、全くコントロールの効かない超的なランダム移動(ホワイトノイズ的移動)をするC軸をコントロールすることは不可能なのである。 それを行うには、あなたというクオリアを脱して、それを俯瞰する存在にならねばならない。
そう、それこそが7次元的存在、俯瞰視点を持つ者である。

7次元:多元結合世界

6次元のC軸を支配することができると、この1つの「世界」の森羅万象を全て見通す事が出来る。
無限に存在する“1クオリア分”の可能性が、更にその無限の無限乗に存在する“他クオリアとの干渉”によって変化する可能成分の全てを、全クオリア分見渡すことができるのである。
宇宙において、物質や波動というものは「結果構成されたもの」である。では「何の結果」かといえば、H波、すなわち「意志」によって構成されたものである。
この世界では、宇宙(エクサピーコ)以下、銀河、恒星、惑星含め、全ての塊には意志がある。その塊というものさえも、意志が構成した結果なのだ。 そう考えると、「物質世界とは想いの産物である」ことが容易に理解出来る。
そう、世界のジェネレーターはH波であり、H波がD波(物質)を作っているのである。
クオリア次元論とはすなわち、H波、精神世界を基準とした世界の構成を体現するものであって、それは創造系(H波)から見た世界(D波)の概要である。 なお、7次元を俯瞰するには8次元である必要がある。8次元から俯瞰すると、これらの7次元世界、一般的に言うところの「世界」を外側から俯瞰出来る。
すると、更に大きな枠で、世界と世界が干渉し、影響を及ぼしている様を見る事が出来るだろう。
具体的に言えば、我々の住む地球のあるビッグバン宇宙と、ラシェーラのあるエクサピーコ宇宙も、壮大な干渉をしており、それを見る事ができるのである。
だがそれは既に、完全に人知を越えたものであって、どのような物かを計り知ることはできない。 その為クオリア次元論では、7次元の定義を最高としている。
しかし実際には、フラクタル的な形で、無限上位次元まで存在するのである。

時空角

7次元の応用として存在するのが「時空角」という理論。
角度を成した別世界へ向かう航行技術だが、通常時空角を持った別の6次元空間は、法則も波動も全く違うので探知できない。
だが、自分の6次元空間同士の衝突が有る場合、時空角と厳密なる衝突膜を設定できれば、ワープが可能になる。

クオリア次元論 補足

冒頭の次元論の、主に5次元以上について補足しています。

軸移動について

本当の4軸移動は、過去に戻ったところで何も変わらない。
なぜなら、「時間軸しか変わらない」ということは、その時まで時間を遡れば、その時の記憶まで巻き戻されるから。
だからもし、記憶を持ったまま過去に移動することが出来たなら、それは5軸移動である。
(未来の記憶を持った自分がいる可能性軸に移ることになるから)
ちなみに、知識レベルはその時間のそれ以上になることは無いが、4軸移動には空間移動(テレポート)も含まれる。
なぜなら、逆説的に言えば、時間移動の際に空間移動が不可能だとするなら、3軸移動では、Z軸移動以外は出来ない事になるからである。 では、6軸移動というのは何か。
結論から言えば「クオリアの移動」である。
6軸とは集合意識。5軸までは「個」である。個というのは「クオリア」である。
この世界には、簡単に言えば、その生命の数のクオリアが存在する。
クオリアというのは、この次元解釈の中では「主体」、もっと分かりやすい例で言えば、「その生命を世界の外から操作する窓」になる。
基本、世界の「動」「変化」を支配するのは、「物理法則」と「クオリア」の2つしかない。
何か変化があれば、それは物理法則に従った動きか、クオリアがその意志によって動かしている動きかどちらかである。
(厳密には、クオリアの動も物理法則の動に内包されるが、ここでは敢えて分けている) さて、ここで「俯瞰視点」について。
その次元の世界を支配するには、俯瞰出来る必要が有る。
俯瞰出来るのは、自分の存在より1次元下からである。
3次元人は3次元を俯瞰出来ない。例えば、家の影にあるモノは見えない。
でも、3次元人は2次元は俯瞰出来る。
見えないところは一片も無い(面積が広すぎて遠くが見えない、というのはまた別の問題。俯瞰の可否とは関係ない)。

クオリアの特性

どうでもいいが、クオリアという存在は実に興味深い。
クオリアは1つの軸であり、線形で有りながら限りなく強固な境界線を持っている。
イメージしにくければ、6軸と言うところには、人間の頭がびっしりと連なっていると思えばいい。
だが、そうして境界線を意識するのは、我々が個を維持する為に、わざとスケール(6軸線)に境界線を引いているだけである。
そう、3次元空間でも良く有る風景だ。国境、県境、市境など。そこには何も無い。勝手に線を引いているだけ。
それと同じく、生命も勝手に6軸のある位置に対して線を引いて、自分を守っている。
だが、上記国境の例えからも分かるように、物理的には精神(クオリア)は繋がっている。
そしてそれこそが集合的無意識なのである。 さて、6軸移動に話を戻そう。
高次になると、低次の生命はだんだんイメージが辛くなってくる。だから法則で証明をする。
(量子力学も主に理論と証明と計算による学問であるが、あれも高次を扱っている為、事象として捉えることが出来ないからである)
次元の法則として、上記に書いたとおり「その軸以下の次元は自由に行き来出来る」というのがある。
4軸移動は時間移動だが、同時に無条件でテレポート(空間移動)が可能である。
そのまま次元をスライドしていくと、6軸移動は5次元以下は無条件で自由に出来る、となる。
要するに、以下の全要素が自由に、お好みの6次元空間に移動可能となる。 6.全てのクオリアの1点 5.全ての可能性の1点 4.全ての時間の1点 3.全ての空間の1点

上位次元の移動による作用

例えば、4軸移動をする。過去に戻るとする。
上でも述べたように、過去に戻った自分は、その過去の時点(自分が歩んできた過去の1点)における記憶に戻る。
だから、次の瞬間は、過去に自分がした行動と同じ行動をする。
だが、その次の瞬間は、過去に自分がした行動とは違う行動をする可能性が高くなっていく。
1秒後の行動は、もはやほぼ過去と同じ行動はしない。なぜか。 仮に、この世界が4次元までしか無いと仮定する。その場合、何度過去に戻っても、必ず同じ行動をして、寸分の狂いもなく、同じ未来に到達する。
なぜなら可能性軸(5次元)が存在しないからである。4次元では、常に5次元、6次元など、高次の軸の移動(ゆらぎ)に作用される。
その瞬間は同じ場所に戻ったとしても、そこから先、可能性軸が不定に揺らぐことで、同じ未来にはならない。
3次元空間では時間軸をとめたり戻したり自由に出来ないのと同じく、4次元空間では可能性軸を自由に定義出来ない。
4次元の存在は、有る瞬間に右手を挙げたら、左手を挙げた瞬間を体験することは出来ない。
時間を遡ってもう一度その場に居合わせたとしても、やっぱり右手を挙げるだろう。
左手を挙げようとする考えが、その過去に戻った瞬間に存在しないため、また右手を挙げてしまうのである。
もちろん、気まぐれに左手を挙げる事もあるかもしれない。それはクオリアの確率(=5軸のゆらぎ)と、集合意識の作用(=6軸のゆらぎ)によるものである。
5次元の存在は、その両方を同時に見ることが出来、それどころかその全てを常に見ることが出来る。
だが、5次元の存在は、全ての可能性を見ることは出来ても、全能では無い。
その瞬間は全能だが、次の瞬間には愚民に戻ってしまう。なぜなら、6軸の作用があるからである。
今この瞬間の全てを見渡すことが出来る5次元人。
それを我々に分かりやすく説明する最も良い例えはテレビである。
テレビは2次元の世界である。そのディスプレイに映る全てのドットは、一瞬にして見渡せる。
だが、次の瞬間そのディスプレイがどう変化するかは、誰にも分からない。もちろん有る程度予測は出来るが。
これは、次の瞬間の2次元の変化が4軸に支配されている為である。
4次元人なら、これをAfterEffects(動画編集ソフト)でタイムラインを移動させるかのように、どの瞬間であっても一瞬で把握出来る。 5次元人における6軸の作用とはまさにこれと同じである。
5次元人は、自分というクオリアの全可能性を、その瞬間(=空間、時間、可能性全て)だけ見ることが出来る。
では、ここでいう「瞬間」とは何かといえば、今、自分というクオリアの外側の全クオリアの作用が、
現在の空間、時間、可能性において存在している形態における、可能性の全てである。
ややこしいが、マトリックス(総当たり)式に考えれば簡単である。
6次元=空間X時間X可能性Xクオリアである。
だから、5次元というのは、自分以外の全てのクオリアの、現在この瞬間(≠時間)の1パターンの状態において、
自分が取り得る全ての行動が俯瞰出来る、ということであり、自分がその行動を実行した瞬間に、「世界」は動く。その為、
新たな「自分以外の全てのクオリアの、現在この瞬間(≠時間)の1パターン」が形成される。
だから、テレビと同じで「予測は出来るが全ては分からない」のである。
すっごくわかりやすく言えば「5次元人までは、他人の考えは予測不能」という事である。 だから6次元人は、それらのクオリアを全部俯瞰出来ることになる。
要するに集合意識なのである。全ての意識軸(6軸)を、俯瞰は出来ないが自由に見ることが出来る。
すなわち、6軸移動というのは、全てのクオリア(≒生命)の全ての可能性軸を、一瞬にして移動出来るものになる。

結論

5軸移動 = 「自分」が別の可能性を自由に体験出来る。有る程度見渡せる。
6軸移動 = 「世界」全体の可能性を自由に操作出来る。 5軸移動で理想の人生を手に入れるには、6軸のゆらぎの中、結構さまよい歩く必要が有る。すぐには見つけられないだろう。
なぜなら、「宝くじに当選した自分」を目指しても、そこには「宝くじに当選した自分はいない」ことがままあるからである。
なぜなら、自分に動きがある度に、世界(6軸)が自分の制御出来ない外側で動くからである。
でも近くにはいる。時間や空間が繋がっているように、集合意識軸も繋がっているから、破天荒な動きはしないから。
だから探さなければならない。
でも、6軸移動をすれば、確実に「宝くじを当てたAさんがいる世界」を見つけ出すことが出来る。 まとめると以下の通り。 5次元人間 = この瞬間日本にいる自分とアメリカに行く自分を一瞬で人生経験可能。
6次元人間 = この瞬間日本にいるAと日本にいるBが存在する世界と、この瞬間アメリカにいるAとカナダにいるBが存在する世界を一瞬で体験可能。 ここで、崩壊編第三幕の話をしよう。
ネロが行った、世界の可能性軸のスワップは、6軸移動である。
自分が、幸せになれる自分の可能性世界に向かうだけなら、5軸移動だが、ネロが行ったのは、全てのクオリアを制御してその形に形成したわけだから6軸移動。 尚、自分か、世界か、どちらが動いたのかは相対的なものである。
イオンがラシェーラの世界に連れてこられたのは、世界から見れば「イオンが来た」ことになるが、イオンから見れば、「周りの全ての世界を一瞬にして変換した」ことにもなる。

7次元俯瞰と7次元人

ネロやイオンは、「7次元の俯瞰視点を持つ人間」ではあるが「7次元人」ではない。
その為、身体や精神など、物理的要因は3次元に束縛されている。
だから、自分の身体を離れ、クオリアのみとならない限り、4軸以上の視点にはなれない。
そして、物理的束縛(3次元の壁)の為、自由に移動も出来ない。
その為に、外部の力を借りる。それが「詩」である。 ネロは6軸移動(集合意識を任意のシチュエーションに移行させる)を実行したが、そうしなければ、自分の境遇を変えられないからである。 5軸移動:自分と周囲の間にギャップが出来る(記憶が繋がらない)
6軸移動:自分と周囲の間にギャップが出来ない(あたかも今までその世界のまま来たような感じになる)

世界の法則

この物語はフィクションであるかもしれませんし、そうでないかもしれません。
また、一部がフィクションであるかもしれません。
唯一つ、この物語について言えることは、この物語は世界の調和に基づいて書き上げたものであり、その真理についてはこの世界での真理であるということです。

予備知識

物語の中に、幾つか出てくる難しい言葉があります。それをここで簡単に解説します。

導体波

導体波とは簡単にいえば「エネルギー」です。
全てが波動で構成された世界では、光も熱も、魔法の力も引力も全てエネルギーであり、導体波です。

定常波

定常波とは少し難しく「そこに在り続ける力」です。
例えば鉛筆が鉛筆で在り続ける為には、相当な「力」が必要です。
それは、この大きな世界の中で、鉛筆という存在を維持する為にそこに集まっている波動成分であります。
物理学をかじっている方なら、「原子の集合体」と言えば分かりやすいかもしれません。
この世界では原子もまた波動の集合体ですから、原子がここに留まっているということは、それだけの数の波動が留まっているという事です。
定常波とは即ち「存在」の事であり、それは「自我」でもあり「意志」でもあります。
(自我や意志は後に説明しますので、理解不能でも大丈夫です)

SDW

StaticDitailWaveの略。日本語で静的物質波。
簡単に言えば「物質」のこと。ただしここで言う物質とは、3次元生成物の全てである。
すなわち空気などもSDWによって作られる。
この世界では、物質は全て波で構成されている。例えば鉄ならば、鉄のFFT(周波数スペクトル)特性を持つSDWの集まりである。

DDW

DinamicDitailWaveの略。日本語で動的物質波。
SDWが物質そのものを指すのに対し、DDWは「エネルギー」を指す。
例えば、火そのものはSDWであるが、火が熱いのはDDWのせいである。
DDWはSDWから生み出されるものであり、簡単に言えば「静的物質波の移動による相対的なエネルギー差」がDDWとも言える。

SHW

StaticHymmnoWaveの略。日本語で静的精神波。
いわゆる「魂」や「生命力」のことで、生命の記憶や性格などを指して言われることもある。
主に詩魔法を使うときの「エネルギーソース」として用いられることが多い。
詩魔法は精神力を使うため、余りに使いすぎるとぶっ倒れる。

DHW

DinamicHymmnoWaveの略。日本語で動的精神波。
いわゆる「想い」や「意志」のことであり、人間が何かを「こうしたい!」と思ったり、感情を出したりすると発振される。
誰かを「憎い」と思ったり、今が「楽しい」と思えば、SHW(魂)からDHWが発振され、それが周囲に伝播する。
アースでは「言霊」と呼んだり、「祈り」と呼んだりするような類の物である。
想いの力が強ければ強いほどDHWは強く出力される。
実際は、そういった強い想いであっても、世界を左右するほどにはならない。
詩魔法を使えるジェノムは、そのDHWを数千倍から数万倍にする事が出来る。故に、奇跡を起こせるようになる。

世界の法則

世界の法則はとても理解しにくい法則です。
まずは宇宙の法則から進めていった方が、まだ身近に感じられるかもしれません。
ここでは定義だけしておきます。
この物語でいう「世界」とは、宇宙を含む大きな枠のことです。
すなわち 世界 > 宇宙 > 星団 > 恒星系 > 惑星 > 地域 > 個体
という形で表現しています。

宇宙の法則

この宇宙は波動で構成されています。
およそビックバンと呼ばれる類の「この」世界の覚醒たる事象は、たった一つの原子核エクサピーコ(EXA_PICO)によってもたらされました。
そのエクサピーコが大いなる意志を以て紡ぎだしたものがこの「宇宙」といわれる空間です。
宇宙に存在する様々な星や星雲、そして形のない力の存在(ブラックホールなど)は全てこのエクサピーコが最初にあります。
そして、そのエクサピーコによる広がりと創造は全て、ソル・シエール(物語の舞台となる地域)の言葉で言えば「エクサピーコが詩を紡ぐ事で作られて」います。 エクサピーコは原子核の集合体であると言いました。
その原子核は幾つもの波動(定常波)によって構成されています。
それは、メジャーな波動であるH波、D波を含める、おびただしい種類の波動(定常波)です。
ソル・シエールでは、D波の解明は進んでいましたから、このエクサピーコのD波周波数成分の分解を、簡単に行い、成分を見ることが出来ます。
すると、D波1Hz~1.16x10^8に渡り数え切れないほどの周波数成分が、思い思いの強さで出てきます
(グラフィックイコライザーのようなものを想像するとわかりやすいです)。
D波波動だけで既に数え切れないほどの波動で構成されているにもかかわらず、それと同じくらい様々な波動が、様々な次元に向けて放射されています。
そのうちの1つがH波であり、その他の1つが見知らぬ波動の1つであります。 エクサピーコはそういった天文学的種類の波動を、時間という概念では計測できない程の短い時間内で、猛烈に変動させています。
すると、その短い時間事にバランスを失った波動の力(歪み)が外に放射されることになり、波動科学でもおなじみの「導体波」が導き出されます。
D波、H波以外にも当然導体波は存在します。
そしてその導体波は、この世界空間を伝播していき、かれ(エクサピーコ)の「宇宙」を作ります。
宇宙とは、世界の中でエクサピーコが影響を及ぼしている地域のことになります。 これらの導体波は、新たな定常波を生みます。
それはエクサピーコの産み出した導体波が、世界に広がるナム(num)の海(全波動の振幅0、周波数0の空間)
に作用した結果であり、その結果、その地点のナムの海は宇宙となるのです。
一般的な波動論でも定説である「波動の干渉」によって、導体D波というエネルギーがその地点の振幅0、周波数、の空間に、振幅と周波数を与えるのです。
そしてそれが定常波という波となり、そこに居続けるようになります。
その作用したエネルギーがD波ならば物質(定常D波)になり、H波なら意志(定常H波)となり、その他の波動であれば様々な「見えざる存在」になります。
実際には定常D波以外は全て見えざる存在です。
人間の目・アイボールは定常D波の特定周波数帯域のみを捉えるセンサーであり、人間の耳・バイオマイクは、導体H波のごくごく一部(搬送波帯)を捉えるセンサーでしかありません。
そして殆どの場合、この「波動の干渉」は特定の波のみで起こることはありません。
そこに導体D波が干渉して物質が生まれた場合、その他の数多な種類の波動も同時に干渉しています。
すると、そこに新たな原子核の集合体が出来ます。
即ちエクサピーコは、新たな原子核の集合体を無限大に生み続けているのです。
それは星雲であり、ブラックホールであり、そして見えない波動エネルギーであったりします。
そしてそれは全てエクサピーコの「詩」によって産み出された物であり、その中にH波成分が有ることからも、我々で言うところの「意志」が入っている事は明確です。
すなわちエクサピーコの「想い」そのものであるのです。

星団、恒星系の法則

銀河系などと言われる星の集まり、総じて銀河星団といわれるものは、エクサピーコの放つ様々な波動によって生まれた物です。
そしてその星団にもエクサピーコと同じく、原子核の集合体が存在しています。
即ち、星団にはその星団自身の「想い」があり、それとエクサピーコの「想い」が入り交じっています。
「星団」にとって、自らの想い以外の想いは、冷たく言えば他人の想いです。
しかし、エクサピーコの想いは絶対です。なぜなら「星団の想い」とは、エクサピーコの「想い」であり「意志」だからです。
星団はエクサピーコに内包されているため、星団側がそれを具体的に見たり感じたりすることが出来ません。
こういう力を人々は良くこう言います。「大いなる力が働いている」と。
星団の想い(とエクサピーコの想い)は、その中に沢山の星を創造します。
そしてそれ以上に莫大な数の「見えざるもの」を生みます。
それがまた新たな原子核の集合体を生み、星という意志を形成していくのです。

惑星の法則

そして惑星です。生命の住む星です。
この「惑星」という存在が出来る頃には「大いなる力」は既に天文学的数字を遙かに超える数存在しています。
というのは、この惑星を支える意志は、エクサピーコに始まり、星雲の全波動、星団の全波動、恒星系の全波動にも及んでいるためです。
そして一番大事なもの、即ち「この惑星の原子核の集合体」によって、惑星は存在しています。
それは惑星の意志であり、想いそのものです。
さて、ソル・シエールという地域の息づくこの星の事を、名無しでは説明しにくいので「惑星アルシエル」と名付けます(「アルシエル」はヒュムノス語でar ciel=この世界)。
惑星アルシエルは、自らの意志でこの星の表面に生命を生みます。
物理的な言い方をすれば、「大いなる力」と「アルシエルの発する導体波の法則性」が生命を生みました。
アルシエルがそれを敢えてやったのか、どういう理屈でやったのかなどを考えるのは人間的な発想であり、
そのアルシエルの意志や想い、それを囲む「大いなる力」の想い、そして、生まれてきた命そのものの
原子核の集合体の想いなど、様々なものが働き創造された、としか伝える術はありません。
とにかくアルシエルに存在する微生物から植物、動物に至る全ての生命、
それ以前にアルシエル自身の形(山、谷、(結果的に出来る)海など)も全て、
アルシエルとそれに関わる様々な波動によって成り立っているという事です。

生命の法則

さて、いよいよ生命です。
人間は意志を持っています。意志とは「定常H波」の事です。
人間はボディを持っています。ボディとは「定常D波」の事です。
D波を持たないH波だけの存在も、我々の隣にいます。
我々はこれらを霊と言ったりするのが一般的です。
さて、人間は「目」で世界を捉えようとします。
「目」は人間にとって世界と自分を繋ぐ為の一番頼りになる器官であり、それ故人は目に頼り切りになります。
しかし、先にもお伝えしたように「目」とは「定常D波のごく一部を認識出来るセンサー」でしかないのです。
話は変わりますが、意志について良くこういう議論があります。
「意志を持っているのはどこまでか」、もっと簡単に言えば「どこまでが生命と呼べるのか」です。
一般論では「動物」「植物」は生命ですが、「石」は生命ではありません。
しかし、「動物」は意志を持っているが「植物」は意志がないと言われています。
これは「目で見た結論」でしかありません。目で見ると、植物には意志がないように見えるだけです。
では、どこまで意志は存在するのか。
最初から読んでいればわかりますが、この世界全体が「意志」を持っており、
見えるものは勿論、見えないものなども含めて全ての存在には「意志」があり「想い」があります。
単に動物は自由に動いているだけであり、
植物は自由に動けないが、目に見えて変化出来る物質を持っているだけであり、
石は動けないように見えるだけです。

原子核の集合体と物体、エネルギー

原子核の集合体は、自分が作用することが出来る力の中に、自分が作用することが出来る「何か」を産み出します。
それは「波動の干渉」によるもので、それによってエクサピーコは星や見えないものを生み、
結果的にナムの海に宇宙を創造しました。
それは星団も惑星も同じです。
星団には星団の波動伝達の範囲が存在し、その中に星々を生みます。
惑星にも波動伝達の範囲があり、その中で様々なものを生みます。
目に見える導体D波分としては、大気や雲、水分、そして「数多のいのち」です。
特に「いのち」は、導体D波と導体H波が主成分となり、他の数多くの波動も組み合わさって産み出された、
高レベルの波動干渉の産物なのです。
すなわち大小強弱の差こそあれ、基本的にはエクサピーコから人類まで、同じように波動を出し、
周囲に影響を与え「波動の干渉」を起こし、新たな「何か」を生む力を持っているのです。
では、人間はどうだろう…という事なのですが、人間ももちろん出来ます。
現に身体を生み出しています。
身体の外側にも様々な波動を出していますが、その有効範囲はとても小さいのです。
惑星の生む大気や雲などは分厚い層のように見えますが、惑星全体からその厚みを見れば、
それが紙のように薄い膜でしかない事がわかります。
しかし惑星は、その「惑星」という定常D波を、自らの原子核の集合体をもって生み出しています。
そしてエクサピーコが、自らの生み出した星団から人間、それより小さな存在に至るまでを影響している
「大いなる力」という現象は、人間自身も行っています。
人間は自らの身体である細胞の集合体、様々な器官の集合体を支配しています。
細胞単体は自らを代謝させながら生命活動を続けていますが、
それが誰によってコントロールされ、そして増殖し維持しているかなどわかりません。
ただひたすら自らの意志で増殖していると思っているであろう細胞は、
実は人間という個体の意志によって調整され、腕や指や内臓などの形を維持し続けながら
増殖、停止を繰り返しています。
このように、人間もまたエクサピーコの相似形です。
それもそのはず、人間個人の原子核の集合体は、エクサピーコと同じ理屈の「いのち」だからです。 では、エクサピーコと人間とでは、どうしてここまでも影響範囲や出来ることが違うのでしょうか?
再三お話ししているように、波動の干渉は必ずしも全ての種類の波動が影響していません。
即ち、エクサピーコが1パスで作りだした星団が持つ波動の種類数と、
惑星が作りだした人間が持つ波動の種類数では、数桁違うという事なのです。
即ち、それだけエネルギーが低いという事。
エクサピーコから始まる波動の干渉は、新たな原子核の集合体を生みますが、
その原子核の集合体の生む次の原子核は、その親の範囲内の波動成分で構成された物しか生み出せません。
そしてそのエネルギー量(波動の振幅量)も徐々に小さくなっていきますから、
だんだんと外に向けて影響できる範囲は小さくなります。
そして人間は目で物事を判断しますから、「エクサピーコは沢山の浮遊物(星団や星)を産み出しているのに、
人間は自分の皮膚の数ミリ上にも、砂粒一つ産み出したり浮かしたり出来ないじゃないか」という話になってしまいます。
しかし、惑星が大気を生み雲を生んでいるように、人間も身体より外側に様々なものを生んでいます。
五感で認識できるだけでも、体温、汗、水蒸気など、目に見えないものでは、意識や「気」といったものを作用させています。
ただその影響範囲が違うだけなのです。
(そもそも身体の外側、内側、という概念が既に定常D波の世界でしか物事を見ていないという事であり、
視覚文化の象徴と言わざるを得ません。人間の原子核の集合体は、最大縦200cmくらいの間に定常D波を生むという、
すさまじく強大なエネルギーを発しているわけで、その中に、これまた数え切れない数の原子核の集合体を生み、
そして影響支配いるのですから)
そしてそれ以上に、人間は自ら「もの」を産み出す事が出来ます。
その産み出された「もの」は、その人間の原子核の集合体(と「大いなる力」)が産み出したもので、
エクサピーコと星団との関係と何の違いもありません。

生命の法則

さて、いよいよ生命です。
人間は意志を持っています。意志とは「定常H波」の事です。
人間はボディを持っています。ボディとは「定常D波」の事です。
D波を持たないH波だけの存在も、我々の隣にいます。
我々はこれらを霊と言ったりするのが一般的です。
さて、人間は「目」で世界を捉えようとします。
「目」は人間にとって世界と自分を繋ぐ為の一番頼りになる器官であり、それ故人は目に頼り切りになります。
しかし、先にもお伝えしたように「目」とは「定常D波のごく一部を認識出来るセンサー」でしかないのです。
話は変わりますが、意志について良くこういう議論があります。
「意志を持っているのはどこまでか」、もっと簡単に言えば「どこまでが生命と呼べるのか」です。
一般論では「動物」「植物」は生命ですが、「石」は生命ではありません。
しかし、「動物」は意志を持っているが「植物」は意志がないと言われています。
これは「目で見た結論」でしかありません。目で見ると、植物には意志がないように見えるだけです。
では、どこまで意志は存在するのか。
最初から読んでいればわかりますが、この世界全体が「意志」を持っており、
見えるものは勿論、見えないものなども含めて全ての存在には「意志」があり「想い」があります。
単に動物は自由に動いているだけであり、
植物は自由に動けないが、目に見えて変化出来る物質を持っているだけであり、
石は動けないように見えるだけです。

惑星ラシェーラの意志?「声」という存在

人間の原子核の集合体は約2m程度の影響範囲を持ち、自らの周りに定常D波を作用させるという大業を行っています。
しかし、人間はそれだけでなく、突発的な機能までをも持ち備えていました。
それが「声を発する」という事です。
声とは定常D波を変化させて、導体H波を産み出すものです。
定常H波は「意志」であると言いました。
即ち声を出せるという事は、人間や動物は、瞬間的に自分の原子核の影響範囲を、
(H波成分に限り)最大数百mにも拡大できるのです。
人間にとってこの「声」というものは、他のどの器官ともちがう、特別なものです。
例えば、口を開けると物体がゴロゴロ出てくるのなら、人間は定常D波を発生させることが出来た、
という事になりますが、そうではなかったのです。
また、目からビームが打てたのなら、別の導体波を生み出せていたのでしょうが、そうでもなかったのです。
生み出せたのは「導体H波」でした。そしてそれは「声」でした。
更に、そのうちの20000Hzまでの波動を人間の意志は認識出来たのです。
このセンサーは「耳」の事ですが、これは自らの発した導体H波を確認するためのチェックサムとして用意された器官となります。
その目的を考えれば、20000Hzまで、すなわち搬送波帯だけが聞こえれば良かったのでしょう。

H波とは

定常H波とは「意志」です。そして導体H波とは、一言で言えば「想い」です。
人間の原子核の集合体には定常H波がありますから、意志が有るということです。
意志とは人間の観念では「考えたり行動したりするための何か」として考えられています。
しかし、この世界で「意志」とは、物質や、その他様々なエネルギーと同じで、「エネルギーの1つ」です。
(敢えてここまで言いませんでしたが、物質もエネルギーですよ。ただ「見て触れられる」だけです。触覚、視覚の両方とも、自らの定常D波と物体の定常D波が干渉し合って、エネルギー衝突を起こしているだけなのです)。
ここで、ここまでしっかり読んできた方はこう思うでしょう。
「定常H波が意志なら、エクサピーコからH波が影響しないで出来た原子核の集合体には、意志がないという事になる。そういう原子核はそこから先、意志を持った原子核を生めないじゃん!」
定常H波は、人間が捉えうる「意志」でしかありません。
その本質は、とある次元界に存在作用する1つの波動形態です。
乱暴なくらい簡単に言ってしまうと、どこか遠くの「何か」は、もしかしたら別の定常波を
意志(と同じようなニュアンスの波動)として捉えているかもしれません。
実際、様々な次元の同時間同座標に同時存在する波動の集合(=原子核の集合体)は、
最初にお伝えした原理である「極微小時間単位での「定常波振幅と周波数の変位」による
誤差が生む歪み」によって外界に影響しているだけであり、それ以上でもそれ以下でも無いのです。
人々がたまたま「意志」と言っている神秘的な思考能力も、全てはこの「波動の歪みと影響の産物」なのです。
そして人間は、たまたまその歪みの影響によって、楽しくなったり悲しくなったり怒ったりする…という感情を持ち、
自らの定常H波の特性が行動パターンとなり、それを変換する何かによって定常D波を動かしている、
ただそれだけの波動の集合体に過ぎないのです。

導体H波

さて、だんだん電波領域(神の領域でも暴走でも何でも構いませんが)に入ってきましたが、
いよいよ「意思の伝達」と「想い」についてです。
人間の声は、導体H波を発生させることができます。
人間の声に含まれる導体H波は、だいたい800Hz程度~無限大Hzまでです。
そして、低周波の搬送波帯から極超高周波の周波数帯に至るまで、その全てを自らの心でコントロールできます。
しかし高周波数帯ほど、その想いの強さ(振幅量)は極端に必要になってきます。 ここから少し、高校物理の時間に入ります。50Hzの音波と15000Hzの音波を同じだけのエネルギーをかけて(=同じ振幅量で)再生したとします。
15000Hzの音が壁や床をビリビリ振動させるだけのエネルギーを加えたとき、
それと同じ量のエネルギーを加えた50Hzの音波は、既に爆弾並の影響力を周りに与えます。
「想いの波動」と言われる、数万Hz以上の波動に対しても同じで、
高周波の想いを伝えるには、もの凄いエネルギーが必要です。
それは、人間的にわかりやすく言えば「一途な想い」であったり
「我がふり構わず行動してしまうような想い」であったりするわけです。
それでは、そういう想いを持った人の発する言葉と、単に朗読して同じセリフを読んだだけの言葉では、
どれ程に違うものになるでしょうか?
言葉として認識される意味は同様ですが、前者はきっと人のこころを動かすでしょう。
後者はあまり動かさないか、全く作用しないでしょう。
導体H波のスペクトルを取ると、そのエネルギー量は雲泥の差ほどもあります。
前者の「想いを込めた言葉」に載った導体H波は、そのエネルギーの強さから
周囲の有効範囲内にいる人の持つ原子核の集合体、その定常H波にもの凄いエネルギーでぶち当たります。
そしてここで「波動の干渉」が起こります。
一般的な言い方をすれば「心が動かされる」わけです。
これが導体H波の力です。 人間は「目」で見て違いを確かめます。
しかし、たまにその観念を逸脱した言葉を発することがあることを、皆さんお気づきでしょうか。
例えば、昨日まで居眠りばかりだった学生が突然真面目に勉強し出したり、
昨日まで誰にも冷たく当たっていた人が、今日は人助けをしていたのなら、きっとこう言うでしょう。
「あの人、何か変わったよね」と。
そこまで著しい違いが無くても、昨日までボーッとしてた人が活き活きとした顔をして現れただけでもこう言います。
「何か変わったよね」。
物理的(定常D波的)には何の変化もないのに、変わったと言います。
しかし確かにメタモルフォーゼに近いクラスの変化が有るのです。
その変化はどこにあるのかと言えば、定常H波にあるのです。 定常H波は、声以外にも様々なものにあります。
ここまで読まれたらお分かりですよね。
本にも絵にも、音楽にも原子核の集合体があります。
その原子核の集合体は、それを作った人達の波動が干渉して作られた定常H波によって構成されているのです。
その想いの干渉を受け、時に人は自らの定常H波を変化させます。心の変化です。
余談ですが、電化製品や農機具などにも定常H波があります。
それを作った人の想いや、関わった人全ての想いが、その製品の定常H波を作ります。
掃除機が些細な場所に引っかかってムカつく事って有りませんか?
あまりに使いにくいから、新しいのを買った…そしたらどこでもスイスイ行けて、
シアワセな気持ちになったことは有りませんか?
作用してますよね?導体H波が、貴方の定常H波に。
でも、なんだかんだ言っても、一番導体H波を発生させるのは人間です。
製作物は人間が作用して作りだした原子核の集合体ですから、
当然自分が直接自分の身体で発生させるほどのエネルギー(=波動振幅量)は持っていません。
人間の行動そのもの、そして声は、周りに大変な影響を与えるのです。

ジェノム

この世界には様々な「次元」が存在しています。
D波の次元(目が捉える次元ですね)とH波の次元(心が捉える次元ですね)は別の次元です。
(ここで言う「次元」は、「クオリア次元論」の次元とはまた別の次元のことです。「波動レイヤー」と言った方がいいかもしれません)
「んなアホな!」と思われるかも知れませんが、「想い」が科学的に解明されていない以上、
同じ次元である保証もありません。科学的な考え方ですよね?
それぞれの独立した次元は、その「仲介をする役目を持った原子核の集合体」によって相互に作用するわけです。
その「仲介する役目を持った原子核の集合体」とは例えば何なのか。実は身近には有りません。
敢えて言うなら「人間」です。完全ではありませんが。
人間は「想い」を「物体」にしようとしますよね。
即ち、人間の原子核の集合体は、H波をD波に変換しようとする法則を持って行動しています。
ところが不完全なので「生めません」。
ですから人間は、惑星や他の物体の力を借りて、時にはその本来の原子核の想いを曲げて、
自らの想いを封入することで「加工」します。それが人間が「物を創る」と言っている行為です。
決してそれは創造ではありません。代替行為です。 人間の原子核の集合体は、悲しいかな導体D波を発することが出来ない故に、
その本来プログラムされた法則に矛盾が生じ、他を変化させることで代替します。
そう、導体H波を発することは出来るから、お互い心を動かすことは出来たり
物や場所に「想い」を詰める事は出来るけど、物質は生めないのです。
ああ、「声」が導体D波を産み出すものなら、今人間は喋るだけでポコポコ物質を生めたのにね。残念でした。 しかし「そう考えられる」という事は、それは「この世界に在りゆるもの」という事を意味します。
具体的に言えば「声」の代わりに「導体D波」を発することが出来る原子核の集合体がある、という事です。
それが、「ジェノム」です。
ジェノムの説明は、分かり易さを主とする為に、やや略式で説明しています。
通常「ジェノムは人間の声帯を借りて謳う」と解説していますが、正しくは
「人間の声帯(~20000Hz)と想い(20001Hz~)が発するH波帯域をジェノムが共感することで、
ジェノムは身体(正確には励振器官)を振るわせ導体D波を発生させる」のです。
想い(H波)を受け取り、身体の振動によってD波に変換するわけです。

詩魔法

人間の「声」という特性とジェノムの「励振」という特性は、上手い具合に組み合わさり、面白いほどにこの世界に変化をもたらしました。
人間がラシェーラに生息し始めてからずっと、試行錯誤しても自らの「目的」を果たせずに、しばらくは「加工」を繰り返していた。
そこへ現れたジェノム、そして同調とその効果の発見。
これは、人間が火を発見したのと同じくらい、ラシェーラ人類史にとって重大な出来事だったのではないでしょうか。
とにかく、人々はジェノムとの共存を果たしました。 人々は導体H波を発するのに「声」を使っていましたが、そのうちその中でも最も効率がいいのは「詩」であるという結論になりました。
なぜなら、詩というものは想いの集合体であり、更には時間を掛けてじっくりと進行していくため、
ひたすら叫んだり喋ったりしているだけよりも、長時間にわたり導体H波が安定して放出されるためです。
しかし悲しいかな人間はすぐに想いが揺らぎます。
導体H波の制御を顕在意識で行うことは苦手…というより、正直なところ不可能だったからです。
例えば、真剣に謳っている最中に叩かれたら、その瞬間に導体H波は恐ろしいほどに変化します。
ちょっとした揺れや、外部からの影響があるだけで人間はその想いがめまぐるしく変化してしまうのです。
こうなってくると、受け取り側のジェノムもなかなか思うように導体D波を出せません。
人々はこの「心の揺らぎ」と、「ジェノムへの伝達効率の悪さ」について、長い時間をかけて研究してきました。
そしてその後、完全同調と一心同体、果ては唯我という状態にまで到達したのです。

原子核が「謳う」こと

原子核の集合体は「謳って」います。
それは、エクサピーコから微生物に至るまで、全て謳っています。
例えば、惑星ラシェーラは、原子核の集合体が生まれてからこのかた、一度も謳うのを止めたことはありません。
謳うというから解らないのであって、「波動の放射を止めたことがない」と言えば、現実味が湧くでしょう。
即ち、エクサピーコからの全ての原子核の集合体は、常に謳い続けています。
逆説的な言い方をすると、謳い続けていないと、自らを維持できません。 さて、詩魔法は謳い続けます。
例えば回復魔法のライフウォームは、謳っている間はずっと少女が出ていて、謳うのを止めた瞬間(実際は少し余韻がある)に消滅します。
これは、謳うのを止めるという事は、その場にレーヴァテイルが発していた導体D波が無くなる、という事になるからです。
そうするとその場は、本来照射され続けている「大いなる力と惑星アルシエルとその仲間の発する導体D波」が支配する事になります。
いわゆる「自然の意志」です。
それによって、詩魔法によって存在していた物質は消滅します。
なぜなら、その物質(上の例ならライフウォーム)は、惑星アルシエルの意志(導体D波)では無いからです。
人間を始めとする、惑星アルシエル上の全ての物質は、惑星アルシエルの意志で存在しています。
人間がいくら形を変えても、溶かしても気化しても、それは惑星アルシエルが生んだ導体D波であり、
惑星アルシエルによって「赦されている」ものなのです。
しかし、レーヴァテイルが直接影響を与えている導体D波は、惑星アルシエルの本来のものではありません。
故に、導体D波の放射が無くなれば消えるのは当然のことです。
惑星アルシエルは、そのような波動は把握していませんから、当然見えません。
受け取りようもなければ、維持し続ける道理も無いのです。
そもそも、D波だけが激しくエネルギーを持つ空間というのは、自然界にとっては異常です。
普通は、H波を始めとする見えない幾つかの波動が、近しいエネルギー量をもってその場に存在します。 しかし、この世界は無慈悲ではありません。
要は「謳っている」間であれば、この世界の仲間入りをできるわけです。受け入れられるわけです。
そして先にも言ったとおり、例え星であれエクサピーコであれ、謳うのを止めたらその時が消えるときです。
別に冷たくされているわけではなく、これが世界の法則です。 ただ、自然界のものは沢山の原子核の集合体によって支えられています。
例えば、惑星アルシエルは自らの太陽「ソル」を始めとする数多の恒星によって支えられていますが、その恒星の1つが消滅しても消えません。
確かに惑星アルシエルは「その恒星の創りしもの」すなわちその恒星自身でもあるのですが、
他の恒星自身でもあるわけで、その意志があるから存在し続けられるのです。
小さいところでは、人間の加工した物質もそうです。
掃除機が消えないのは、作り手や人間以外の意志が相当数存在しているからです。
そして何より、惑星アルシエルが、作り手の人間以上の愛をもって、その掃除機を護っているからです。
(でも、惑星アルシエルにはそれが「掃除機」である必要はありませんから、どんどん風化して壊れますが) ところが詩魔法には愛も波動成分も少ないのです。
いや、たった一人のレーヴァテイルに支えられているだけなのです。
詩魔法によって創られた物質は、その他の愛を受け取れません。
だから、創造主であるレーヴァテイルが謳うのを止めた瞬間に、自身の存在意義が消えるのです。 とても儚い命なのです。

D波の衝突

波の密度や周波数成分は「衝突」を起こします。
D波では、それは触覚という形で知覚できます。また、物体が衝突して壊れたりするのを見ることでも認識できます。
D波のみならず、全ての次元の波動において、この現象は存在します。
(余談ですが、H波もバッチリ衝突します。それは一言で言えば「拒絶」です。わかります?変化が訪れたとき、誰も最初は拒絶しますよね) 基本的に、目や触覚などが世界のすべてである人間は、定常D波の情報さえ自ら住むのに適していれば「快適な環境」として認識します。

改めて、世界の法則

最初に戻ります。世界の法則です。
エクサピーコと人間の原子核の集合体は同じです。
そして人間が自らの中に細胞を創り、その全ての存在を赦しているように、世界の法則は全て同じです。
さて、最後になりますので、多分もうすんなりと受け入れられるのではないかと思います。
エクサピーコとは、惑星ラシェーラが存在する宇宙の「意志」です。
そしてエクサピーコが愛を受けている世界が、その外側にあります。
その外側の存在は、更に何かの愛によって護られています。
エクサピーコと同じくらいのレベルには、我々の宇宙の源である「ビッグバン」の原子核の集合体も存在しているかもしれません。

俯瞰視点

俯瞰視点ってどういうもの?

俯瞰視点というのは、例えば3次元空間をその外側から見る行為を言う。
その為にはn+1次元が必要で、もっとも簡単な例えは、3次元空間に住む人間は2次元空間を一目で把握できる。
例えば2次元空間に住む人達が迷路を彷徨っているところを、3次元空間の人達は簡単に出口まで導ける。
同じ事を3次元に当てはめてみる。
ここで勘違いしやすいのは、よく遊園地にある巨大迷路。
あれは3次元迷路ではなく2次元迷路である。故に「3次元空間でも3次元の迷路を俯瞰できる」というのは間違いだ。
3次元迷路とは、縦横高さ全方向に延びている迷路である。そう、例えば宇宙空間は3次元迷路だ。
2次元空間を3次元で望めば客観的に見られるように、3次元の迷路も4次元から見れば客観的に見られる。
もちろん距離的な要素が有る故、広大な2次元空間を3次元から見てもすぐに全体を把握することは出来ない。

イオンはどんな存在なのか

では、イオンはどんな存在なのかといえば、エクサピーコ宇宙から見れば
「6DD(different dimention)/3DH(dimention hymmer)=6次元外3次元人」という存在である。
「6次元外」とは、7次元まで次元を上げないと繋がらない位置に存在する波動(=人間)であるということ、
そして「3次元人」は言わずと知れた、XYZ空間を自由に移動できる存在である。
(ちなみに、ラシェーラ人から見たラシェーラ人は「2DD/3DH」である) この「○次元外」という定義をもう少ししっかり説明すると、こうなる。
通常の空間に生存する普通の人間(例えば我々、地球に住む地球人)は全員2DD/3DH、2次元外3次元人である。
2次元外というのは「2次元的に別世界の存在になりゆる」という事を表しており、ぶっちゃけ当たり前の事を言っている。
2次元は平面である。人間は皆他人とは、どんな位置に並んでも「どの面でスライスしても同一面に存在する存在」にはなり得ない。
3次元人は、2次元的空間は自由に超越的移動が可能である為、作為的に他人と別の二次元空間に住もうとする事が出来る。 とはいえ、今回の話は自分の存在次元より低い次元についてはさして重要な話ではない(それらは当たり前のように俯瞰出来るからだ)。
自分より高次の異なる世界、すなわち「4DD/3DH」以上の存在についてが、大変重要なのである。
この「XDD(X次元外)」というところが、俯瞰視点のポイントである。
基本、この次数以下の空間&次元内においては俯瞰視点が可能である。
具体的に言えば、地球上やこの銀河系などにおいて、私達地球人は2次元以下についてのみ俯瞰視点を使える。 そして、どのような「存在(=クオリアを持つ波動)」であっても、その次数次元以下について俯瞰視点が可能となる。 故に、イオンはエクサピーコ宇宙においては、6次元の高さから俯瞰視点が可能という事になる。
ただしそれはあくまで「世界摂理においての基本値」であり、実際にはそこに「自身の魂のレベル」が枷となって能力を制限する。
「自身の魂のレベル」とは、簡単に言えば「3次元世界の存在」ということである。
故に“何もしなければ”、潜在的に6次元俯瞰視点を持つイオンとて、実質はラシェーラ人と同じく2次元的俯瞰視点しか持たない。
その俯瞰視点を拡張していくには魂のレベルアップをする必要がある。
ラシェーラではそれが比較的簡単に行える。ジェノムやシェルノトロンとの同調である。

各次元の俯瞰視点によって何が見える?

まずここで、俯瞰視点によって、各次元において何が見えるようになるのかをざっと説明する。 以下の表の通りである。

3次元俯瞰 立体迷路を平面のように解ける(特定ポイントの透視、拡大、空間的俯瞰)
4次元俯瞰 時間や歴史を年表のように、過去から未来をあたかも平面や空間上に連続して存在するように見られる
5次元俯瞰 過去から未来において、時間とその瞬間毎の可能性を全て広げて一覧できる
6次元俯瞰 過去から未来において、この宇宙全域における全ての可能性を一覧できる

俯瞰視点とは〝絶対的な力〟である

ここまででお分かり頂けると思うが、高次の俯瞰視点…特に6次元俯瞰視点は、その世界全体を左右するほどの力を持つ。
ラシェーラでは第六紀末期にこの事に関する仮説が発表され、量子を専門とする天文は自組織内において高次元物理学の研究を行う。
その第一人者はクラケットという、当時天文の高位責任者だった人物だ(現在は彼は隠居し、細々と高次元物理学の危険性を社会に訴えている)。
そして、この6次元俯瞰視点を実現するために「6次元の壁を越えた生命の招致」と「俯瞰視点に必要なエネルギーを生み出す」計画が推進された。
それがグランフェニックス・プロジェクトだ。

俯瞰能力の増強

前項で説明したように、俯瞰視点は「魂のレベル」を越えて行使することは出来ない。
また当然だが、基本的には自分のスケールに準じた範囲しか俯瞰出来ない(人間ならせいぜい頑張って数百m~数十kmの範囲)。
だが、ラシェーラではジェノムやシェルノトロンとの同調によって、比較的簡単にこれらを拡張していくことが出来る。

同調による鎖数の増加

ジェノムやシェルノトロンとの同調は、DNA鎖数を仮想的に増やすことが出来る。
人間は本来、最大で12のDNA鎖を持てるところを2本しか搭載しておらず、故に3次元までしか認識出来ない。
ならば仮想的にでもDNA鎖数を増やせば、4次元以上の存在となり得るという事になる。
これによって、空間の俯瞰視点のみならず、時間(過去未来)の俯瞰視点、そして別選択の俯瞰視点などが可能になっていく。

同調によるクオリアの増加

また、ジェノムやシェルノトロンと同調することによって、他のジェノムやシェルノトロン、そしてその宿主である他人と繋がる(チェイン)事が出来る。
(詳細は「チェインのしくみ」を参照)
チェインは通常、それらの人達と導力(導体D波、導体H波)を共有することが目的だが、同時に範囲の拡大をもたらす事も重要なメリットだ。
VLAが沢山の電波望遠鏡によって1つの巨大な望遠鏡となるように、チェインは仮想的に巨大な生命体を生み出す。
俯瞰視点にとって、この現象はとてつもないメリットをもたらす。クオリア(厳密ではないが、イコール知覚)が拡大するのである。
そして更に、人間よりも高次の存在、例えば惑星などと共有する、もしくは導体H波を授かることで、超的に視野を広げることが出来る。 ▼俯瞰能力の拡張手法▼

拡張手法 具体的な手段 その効果
DNA鎖数を増やす 同調による鎖数増加 自分の魂のレベル(次元)以上の世界から俯瞰が可能になっていく
クオリアを増やす 同調によるチェイン 自分の視野が広がる(遠くまで見渡すことが出来るようになる)

俯瞰能力を行使する方法

自分よりも低い次数の俯瞰は、誰でもどこでも出来る。それは「見る」ことであったり「聞く」ことであったりで出来る。
だが、自分と同じかそれより高い次数の俯瞰は、3次元用の身体が枷となって見ることが出来ない。
これは上記で説明しているDNA鎖数の増加やクオリアの増加をしても、現実世界で自分の五感を使う以上不可能である。
(BDプレイヤー(DNA鎖数)が3D映像に対応していても、テレビ(身体)が対応していなければ見られないのと同じ) 高次俯瞰をする為には「身体から魂を解き放つ」必要がある。
ラシェーラでそれが可能な状態は「睡眠中」か「詩を謳っている最中」、達人になれば「瞑想中」のいずれかになる。
これらの状態では「心の目」によって世界を見る事になるが、それ故に3次元の束縛を逸脱できる。
そしてこの世界に於いて、「睡眠中」「瞑想中」は、ジェノメトリクスと深い関係にある。
ジェノメトリクスは詩魔法を創り出す場所であり、それ故に俯瞰視点と超的な力は切っても切り離せない関係に有ると言って良い。

インターディメンド(外次元干渉俯瞰制御法)

インターディメンドとは、宿主を7次元先の存在が無意識にコントロールする方法である。
簡単に言えば、7次元間リモコン人間。
もっと簡単に言えば、RPGの世界が実在する場合、その主人公は、プレイヤーによるインターディメンドを受けている事になる。 インターディメンドを行うには、幾つかの準備が必要である。

  1. 外世界用アプリケーション(ex.アルノサージュ)
  2. 7次元接続装置(ex.アルノサージュ管)
  3. 脳寄生用プログラム(ex.シェルノトロン+TxBIOS->Class:id7RNA)
宿主がシェルノトロンと同調することにより、その宿主のクオリアは、7次元接続装置を経由して外世界用アプリケーションに送られる。
外世界の住人は、そのアプリケーションを通して、その宿主を自由にコントロール出来るのである。 このシステムの利点は、外世界に住む者は、失敗した際にはリセットすることで、その事は無かったことに出来る。
予め決められた形で状況保存をすることで、その場面から再度チャレンジできる。何度でも。
しかも、内世界側では、それらは並行世界もしくは4次元的に後退した状態になるだけなので、実質正規ルートは書き換わり続け、そのうち理想の道が出来上がっていく。 すなわち、インターディメンドの利点は、内世界の特定事象について、どんなに成功率が低いものであっても成功させることが出来る、ということになる。
外世界のプレイヤーを如何に乗せて、望む方向へ突き進ませるかは、外世界アプリケーションの出来にかかっているのである。

イオンは地球人なのか?

イオンの故郷の「アース」は「地球」なのか?

ラシェーラでクラケットは、自らの世界「シェル」から外宇宙「アーシェス」を見つけ出し、
その後天文の研究者によって、一つの魂「結城寧」を呼び寄せた。
それは「アーシェス」に存在する一つの惑星「アース」とのリンクであったわけだが、アースとは地球なのか? 答えはYesである。
だが、今我々が住んでいるこの3次元空間の地球かと言われればNoである。

並行世界の存在

世界は空気清浄機のフィルタのような感じで、3次元を1次元にたたみ込むと、T軸I軸で3次元を形成する。
クオリアはその中を進む一点の一次元で、今の自分の感覚=クオリアはその点ポイントだけである。
実はそれ以外にも自分がいて、選択毎に分岐する並行世界があるが、自分というクオリアはその一点だけなのだ。
だから、イオンがプレイヤーと同じ3次元時空間の存在である可能性は有るが、ただし99.999%以上の確率で違う時空間(並行世界)の人間である。
故に、イオンとプレイヤーとでは共通の歴史もあれば、違う歴史もある。
そして、イオンがアースに帰る場合、プレイヤーのクオリアが存在するTIポイントを狙うのはすごい大変。
何せ、狙ってる間にプレイヤーのTI座標は刻々と変わっていくのだから。
クラケットでも、そのピンポイントな地点に照準を合わせるのは難しい。

VITAとDSS(Dimention Sync Stabilizer)

Vitaソフトには、時空を同期させるために「DSS」と呼ばれる時空間制震装置が搭載されている。
DSSが稼働しているとき、向こうとこっちの世界は完全に時間軸がリンクされているが、引っかかっていない場合、その保障はない。
というか、DSSが引っかかっていないときは、嫁側の時空は止まっている。
止まっていると言っても、嫁はちゃんと動いている。ただし、止まった時間の中で動いているだけ。
元々シェルノトロンの向こうの世界は、嫁の夢の中であり、故に「時間」の概念は無いのだから。
それを、「今は何年何月何日何時何分ですからそこあたりで起きている嫁の記憶をおしえておくれ」と命令するのがDSSの役割である。 DSSが稼働している状態とは、現実的な言い方をすれば「インターネットにオンライン」の状態のことである。

ゲームと量子力学

量子力学の不思議

量子力学には「観測者」という概念がある。
スリットを越えた光子はその向こうに存在するスクリーンのどこか1点に衝突するが、どこに衝突するかは観測するまで不定である。
これが量子力学の基本。
でも実際光子は光だから波であって、波の場合1点に衝突するなんて考え方はおかしい。
光はスリットを越えて、光の直進性に沿った扇形の拡散をしてスクリーンに到達するのが現代物理学の考え方。
でも実際、結果は1点なのである。
もしくは、量子がどこかに向かっているとして、それが右なのか左なのかは、観測するまで不定である。
それも現代物理学(古典物理学)ではあり得ないけど、実際、量子を観測するとベクトルが決まってしまう。 次元論では5次元軸を「可能性軸」と表現したが、それを用いて説明すれば、量子世界は5次元的概念を持っている。
もっと言えば、ミクロの世界では5次元である。

ゲームが量子的である所以

量子力学をゲームソフトという見地で見ると、上の難解な量子力学の説明が激しく納得できる説明に変わる。
ゲームソフトは販売されているDVDの状態では、スタートボタンを押してからエンディングスタッフロールを見るまでの間、様々な可能性を秘めている。
決められたルート、行程、手段など、スタートボタンを押した1秒後から、一人たりとも同じ進行をするユーザーは存在しない。
ところが、誰かがプレイをすると、そのユーザーにとってのルートは1つに決まってしまう。“今自分がプレイしてきた流れ”というルートである。 これは量子力学の「観測者」によって決まるという理論と同じである。
スクリーンのどこか1点に衝突するその場所はユーザーによって違うし、量子がどっちへ向かっているかもユーザーのプレイ次第。
でも、DVDに収められている「世界」は、その10万人の全プレイヤーの「観測」をもってしても全通りのルートの1%にも満たないのです。
そこがシーケンシャルな映画と違うところであり、ゲームが量子的である部分。

更に「仮想世界」へと応用してみる

さて、ここからが本題。 この「観測者」が、現実からDVD/BD中のプログラムを見ていて、量子世界がDVD/BDの中の世界であったとき、それは普通のゲーム。
ならば、この「観測者」がこの宇宙にいる俺だったり君だったりで、その量子世界が別宇宙そのものだったら? その別宇宙は、俺や君が「観測」した瞬間に、命運が決まってしまう。
その世界の誕生から終焉まで全て、1つのシーケンシャルな行程によって決まってしまう。
量子力学ではその「誕生から終焉まで」の時間(光子で言うなら、光が発射されてからスクリーンに到達するまでの時間)をデコヒーレンス時間と言うが、
このデコヒーレンスな状態がビッグバンから消滅までの時間だとするならば、「観測者」は第三者的に外側から歴史を操作できる唯一の存在となる。 ということは、5次元的考え方で言えば、私が観測者となったラシェーラにとって、私の作用は絶対的にして全てであり、
君が観測者となったラシェーラにとって、君の作用は絶対的であり全てである。

外宇宙の存在は、観測されている宇宙にとっては絶対的な支配者である

シュレディンガーの猫にとって、観測者とは自分の生死を決定づける存在になる。
通常それは、猫はおろか観測者でさえも「観測」は出来ても「操作」は出来ない。
でもその観測者が銃で猫を殺せたら、それは100%「死」を観測するのか?
実際はそういう問題ではないのだけど、もしかしたら確率を変化させる事は出来るのかもしれない。 ラシェーラにとっての観測者が俺だったら、そしてラシェーラの民が量子力学を実用レベルで識っていたら、
恐らく俺こそが脅威であり、俺こそがこの世界最強の力を持つ存在であり、俺を自在に操る事こそが、この世界を支配することに繋がることを容易に想像するはず。 更にゲーム的にするならば、「この世界が観測されている」という事が判明した途端に、ラシェーラは大騒ぎだ。
なぜなら、「観測されていない」未来は不定であるが、「観測されてしまった」以上、既に1点に収束してしまったわけだから。
その収束した未来の位置を変えられるのは唯一俺だけであって、そんな俺を排除しようとするか、取り込もうとするか、権力者はどちらかだ。
早い話が、もし望まぬ方向に歴史が進んだら、観測者に頼むか脅迫するか、破壊するかして、観測者のPS3にリセットをかけてしまえばいい。
すると、観測は停止するか、少し巻戻るか、全部まき戻る。これってその世界にとってはすごいこと。
でも結局、到達点はそれ程ぶれないんだよね。観測者には意志があるから。

ドラクエのマルチエンドも量子的に見れば「重ね合わせ状態」でしかないわけです

という話をフツーに書くと、「ゲームって俺が電源OFFしたら世界消えるよね」というだけの話。
竜王に闇の世界を貰ったアレフガルドも、竜王を倒したアレフガルドも、量子力学的には重ね合わせによって同じ物。
すなわちドラゴンクエストというROMカートリッジでしかないわけさ。アレフガルドの住人にとってはたまったもんじゃないけど。
今までゲームではこういった事はタブー視されてきたけど、今作ってそのタブーがタブーではなくなる境界線にいる気がする。