E.P.C.S.R.

◇第5回目◇

みなさんこんにちは!ガストの土屋です。前回河内さんのメッセージで「詩」についてのお話が出ておりましたので、それならということで、今回から歌についてのお話をしましょう。

アルトネリコに登場する歌い手さんは4名。それぞれお願いした理由も、その形も全然違います。ちょっと開発秘話度が濃いですが、これから私の回4回に渡ってそれぞれの出逢いのお話をしましょう。

まず今回、第一回目は霜月はるかさん。
アトリエファンの皆様はご存知かと思いますが、イリスシリーズの看板歌姫です。そして彼女は、アルトネリコというプロジェクトを走らせるに至ったキーパーソンなのです。
今回のアルトネリコという企画の歌部分、すなわち「世界の中にとけ込んだ詩によるお話、そして詩の力をテーマにしたもの」というコンセプトは、実はこのイリス1の頃からありました。…といいますか、厳密にはアトリエ4作目、ユーディーのアトリエの頃から、サウンドとしてあがいて色々挑戦してはいたのですが、やはりアトリエシリーズはアトリエシリーズのコンセプトがありましたので、なかなか理想のものはできなかったのです。そして更にこの構想には、ゲームの世界観を支えられる最高の歌姫が沢山必要でした。
(そもそもその頃は、まだディレクターのお仕事はしていませんでしたので、夢物語のようにそんなことを考えていた程度でしたが。)
そんな中、イリス1の歌い手さんを探したときに出逢ったのが霜月はるかさんでした。彼女の存在を知ったのは、また別の方の企画したインディーズアルバムだったのですが、その後個人のオリジナル曲を聴き、一発で決めさせていただきました。その頃はまだ「歌はメジャーのプロダクションにお願いするもの」という固定観念がありましたので、会社にこの話を通すのはかなりドキドキだった記憶があります。結果としては、歌を聴いてもらい上もすんなりOKを出してくれ、そしてイリス1で彼女の歌が響くことになりました。
お陰様でイリス1のオープニングテーマは大好評。イリスと言えば霜月はるかという程の人気で、イリス2では「霜月さんが歌うなら買う」という人まで。そんな事もあり、またご本人もイリスシリーズをとても好きでいてくれておりましたので、その後も何かと彼女に歌をお願いすることが多くなっていきました。

そんな中で今回の「アルトネリコ」という企画が浮上しました。当時から一緒にお仕事していた彼女には、まず一番最初に話をしました。楽曲のコンセプトなどを話していくと、かなり乗り気になってくれ、すぐにOKが出ました。

アーティストが100%の力を出す時は、本人のやる気が120%を越えているときだと私は考えています。ですから、今回の企画ではファンタジー好き、伝承好き、そしてそういった世界観を本当に好きでいてくれる人にお願いしたかったのです。霜月さんはRPGが大好きで、またファンタジーが好き。今回のアルトネリコのコンセプトは、そんな民族系多重コーラス曲を多用した伝承詩、という、非常にファンタジー要素の多い企画でしたから、彼女にとってもきっと楽しみだったに違いありません。
実際、今回はゲーム内では4曲歌っていただきましたが、収録現場は本当に活き活きとしてエネルギーに満ちあふれていました。でなければ、毎日12時間ぶっ通しで4曲も歌ってくれなかったでしょう。更には作曲も2曲していただきました。この作曲も彼女の感性に任せ、自由に書いていただきました。

今回、これは全員に言えることですが、歌も作曲も、ゲームのシナリオと私の出したい方向性だけをアーティストさんに伝え、あとは感性に任せました。そうすることで本当にイイモノ、そして誰もが…更にはそのアーティストのファンの方々もが喜んでくれる作品が作れると考えているからです。
そして出来上がった曲達。特にこの霜月さん作曲の曲は、本当に「霜月はるか!」という感じの曲で(どんなだ)、霜月さんファンの皆様も、そしてこれから聴かれる方も、かならず好きになっていただけると思っております。とても大切なシーンで流れる曲で、両曲ともかなりこだわって、シーンへと組み込みをさせていただきました。

最後に彼女のアルバムを紹介。インディーズ流通ですが、「ユラグソラ」というアルバムがあります。このアルバムは私のお薦め。イリス1で「白夜幻想譚」を歌ってもらおうと決めたのは、このアルバムに収録されている「精霊祀」という曲がきっかけです。まだ聴いたことがない方は、是非一度聴いてみてください。